宿屋とめし
唖然としながらも何とか立ち直り扉を開き中に入っ
てみると、一階は食堂もやっているらしくなかなか
な賑わいにつつまれてあちらこちらで、騒がしい話
し声が聞こえた。辺りを見回していると、扉を入っ
て右側にあるカウンター席の向こう側にいたヒゲず
らの強面なおっちゃんが話しかけてきた。
「おい坊主泊まりか、それとも飯か?飯なら空いてる席に座りな。泊まりならあっちのカウンターにいる俺の娘のところにって受付をすませろ。」
と扉の左側にある小さめのコの字型のカウンターの
中にいる15、6才位の女の子を指差しながら言っ
た。
「あっ、泊まりです!向こうですね。分かりました。」
そう答えると女の子がいるカウンターに向かった。
「すいません、泊まりなんですけど空いてますか?」
「いらっしゃいませ!はい空いてますよ!一泊銅貨30枚の三千メニーになります。何泊されますか?」
笑顔でそう答えてくれた女の子は結構かわいい赤毛
のショートカットで150㎝位の小柄な子だった。
『結構かわいいな~。でもお金の価値がよく分からんな。どうするか。』
「あの~?」
「はっ!すいません、えっとこれで何日泊まれますか?」
ぼーっと考えていた俺は城で貰った金貨を一枚取り
出して女の子にて渡した。
「えっ!あっはい!金貨一枚で33泊できてお釣りが銅貨十枚です!あと朝夕はここで食事ができます。もちろんお昼も別に料金がかかりますが、食べられます。朝夕は、お父さんに言ってもらえれば食べられます。」
金貨を見て驚いた顔をしていたが、すぐに計算して
言ってくる辺り頭もいいようだ。しかしこれでなん
となくお金の価値が分かったぞ。銅貨一枚は百円位
で銅貨百枚で、銀貨一枚銀貨十枚で、金貨一枚だな
おそらく。他にも貨幣があるかもしてないけどだい
たいは合ってるだろう。
「じゃあそれでお願いします!お世話になります。」
「はい!こちらこそお願いします!それと銅貨一枚でお湯を用意出来ますので、入り用ならいって下さい。コノ宿をでて右に少し行くと、公衆浴場がありますので、お風呂がいいならそちらにいって下さい。銅貨五枚で入れますよ!私もたまに行ってます。気持ちいいですよ!」
「分かりました。ありがとうございます!行ってみます。」
『この世界にも風呂があったのかよかった!』
心の中で喜んでいると女の子が鍵を渡してきた。
「こちらが部屋の鍵です。二階の211号室です。扉に番号が書いてあるのですぐ分かると思います。」
「ありがとう・・・っとまだ名前聞いてなかったね。俺は龍崎双太ってゆうんだ宜しく!」
「あっハイ私はエミリーって言います宜しくお願いします!」
挨拶した後二階に行く階段を上り自分の部屋にむっ
かて歩き出した。部屋につき鍵を使って中にはいる
とベットと小さい机に椅子が一つとシンプルな部屋
だった。一人なら十分な部屋でベットに腰かけて一
息つくと落ち着いたのか腹の虫が目を覚ました。
「腹減ったな、なんか食べに行くか!」
昼飯を食べるため部屋を出て、一階に降りるとエミ
リー鍵を預けちょっと出てくると伝えて宿の外にで
た。
「宿屋の飯も気になるけど、やっぱりさっきのいい匂いの屋台も気になるからな!」
そうつぶやいて、さっきの屋台があるところに歩い
ていくと、やはりいい匂いがただよってきた。
「まずはやっぱり串焼きだな!」
「おっちゃん一本ちょうだい!」
試しに一本頼んでみる。いい笑顔をするおっちゃん
が焼きたてを差し出してくる。
「あいよ!一本銅貨三枚だ!熱いから気よつけろよ!」
銅貨を渡して串焼きを受け取ると、火傷しないよう
に気よつけながら口の中にほおばった。
「!!!!!うま~!?」
「わはははは!そうだろう!そいつはこの近くで捕れる鳥型の魔物、ガーデンバードの肉だ!」
「魔物!?魔物って食べられるの?」
「当たり前だろう!一部食べられない奴もいるが大抵の魔物は食べられるぞ!特にランクが上なほど美味い!ガーデンバードは、ランクは低いが普通の鳥よりは断然美味いぞ!」
「へーそうなんだー!?」
魔物が食べられることに驚いていると、いつの間に
か一本目が無くなっていた。
「おっちゃん、もう五本頂戴!」
「わはははは!気に入ったか!ほら火傷すんなよ!」
お金を払い串焼きを受け取るとまた来るといってそ
の場を後にした。次に行ったのはスープにいろんな
具を入れて売っているところだ!
「おばちゃん一杯ちょうだい!」
「はいよ!一杯銅貨五枚ね!」
銅貨を払いスープを受け取り一口飲むと鶏がらのだ
しがベースのさっぱりとした味だった。
「これも美味い!おばちゃんもしかしてこの出汁ってガーデンバード?」
「そうだよ!ガーデンバードはこの辺の名物だからね!具のつくねも、ガーデンバードを使ってるんだよ!」
「そうなんだー!うん美味い!また来るよ!」
そういってその場を後にした。ゆっくりするため広
場あった椅子に座って串焼きとスープを食べてお腹
が膨れると、眠気が来たので、宿に帰ることにした
。宿に帰りエミリーに、挨拶して鍵をもらい自分の
部屋に入りベットに寝転がると途端に眠気が襲って
そのまま意識を手離した。