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白い結婚!?それなら、私の戸籍をあげちゃいます!〜え?拾った彼は公爵様でした!?  作者: しぃ太郎
第一部 お嬢様と双子と、白い結婚

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08 縁談?ならば義母と義妹に会心の一撃を!

こちらは、多少加筆しましたが短編とほぼ変わらない内容になります。



「イリーナ。喜べお前に縁談が来た。辺境伯家のご子息からだ。詳細は追って知らせる」


 結婚?この家から出られるの?


「あらイリーナお姉様。お相手を知らないの? 専ら没落して平民に落ちた元男爵令嬢と恋仲だって評判よ? 愛されない妻って最悪よね。まぁ、本当かどうかは自分で確かめてくれば?」


 同い年の義妹、シンシアが小馬鹿にしたように話しかけてくる。

 この子は私を虐げることで嗜虐心を満たしているのだ。


(相変わらず性格悪いわ〜)


 しかし成る程、訳ありな結婚なのね。

 お相手には既に恋人がいて、形だけの妻が必要……。

 それが私だと。


 (うーん、どうしようかしら。辺境に行くのは困らないんだけど愛人とバチバチやるのは面倒ねぇ)


 無視してもいいんだけれど、無駄に突っかかられたりしたら気分も悪いし、周りに冷遇されるのも目に見える。

 気が乗らない……。


 でも仕方ないか。この家にも私の居場所は無い。

 前妻の娘の私には、後妻の地味な嫌がらせが続くし、その義妹は性悪だし。


「わかりました。辺境に嫁ぎます」

 

 その場で承諾し、部屋に戻る。


 しかし、嫁ぐ前にあの義妹の顔をぶん殴ってやりたい。ついでに義母も。勿論グーでだ。


 物理的には不可能なんだけれど。

 家を出る時に、絶対に嫌がらせして出ていこう、そう誓って眠りについた。




「ねぇ、ジョン?辺境伯のご子息について何か知ってる?」


 従者のジョンに聞いてみる。

 彼は、亜麻色のふんわりとした髪をかき上げながら言った。

「まぁ噂程度ですけれどね」


 彼の珍しい翠眼は、私のお気に入りだ。

 因みに今お茶を淹れてくれているのはジェーン。

 私に付いてくれている唯一のメイドである。


 ジョンとジェーンは、私が貧民街で見つけた双子で、家族同然の存在だ。


「いや~……。あんまりお嬢に聞かせたくないお話ばかりですよ」

(まじか)

「知らなきゃ始まらないから、とりあえず教えてくれる? あなたが聞いている限り全部」


 ――幼馴染みの、没落した男爵令嬢と恋仲である。

 ――何処かに隠し子がいるらしい。

 ――白い結婚の相手を探し回っている。

 ――辺境伯領の騎士との仲が怪しいので男色疑惑もある。


 成る程。噂は噂でしかないけれど、旦那様には期待しないほうがいいのかしら?


 (まぁ、何事も飛び込んでみなければわからないか。私には帰る場所もないんだし。強気でいくしか無いわ)

 


 ◇◇◇



 父が結婚を承諾してから1週間も経っていない。


 まぁ、厄介者扱いの娘が上の身分の方に嫁ぐのだ。

 訳ありだとしても、それはよく食いついた事だろう。

 それは食いつく勢いも凄かっただろうが……。



 ――しかし早い。そして速すぎる。

 これは、都合のよい相手を逃さないって事かしら。


「シーベルト伯爵令嬢、お迎えにあがりました。セイムズ辺境伯領までの道程をお守り致します」


 一番地位が高いのか、藍色の髪と琥珀色の瞳の騎士が私の手を取りエスコートした。


 (おぉ……本物の騎士様からのエスコートだわ……)


 そして数人の騎士が辺境伯の紋章入りの馬車を囲んでいる。


 ――さすが。これは一般的な犯罪者は怖くて手を出せないでしょうね。それなりに長い旅路になりそうだから、彼らが同伴してくれるのは安心出来る。



「ええ、よろしく頼みます。私の世話をしてくれる、ジョンとジェーンよ。二人とは同じ馬車で行きます。後はそちらの都合に合わせるわ」


 ジョンとジェーンは間髪を入れずに頭を下げる。



 その時、義妹のシンシアが私に飛び付くように話しかけてきた。

 普段は汚物扱いなのにね?


「お姉様、お身体に気をつけてね! シンシア寂しくなっちゃうわ。たまには近況を教えてね」


 ふふふ。私の不幸な有り様を知りたいって?


「そうするわ。心配ありがとう。あなたも婚約者と仲良くね」

 (物理的には無理だから、違うダメージを食らえ!)


 私は今思い出したかのように、話題を変えた。


「……あ! 心配といえば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()手渡しして指摘しておいたわ。義妹はシンシアで『プシュケー』じゃないってね」


「な!……え、何を……」


 あは。面白い顔になってるわよシンシア。


「匿名での手紙のやり取りなんてロマンティックね。だって、特別にお熱い手紙だったんでしょう? あなたの婚約者、お顔が真っ赤になっちゃってたわ。本当に羨ましい」


「……!あ……あんた」


 言葉が出てこなくなったシンシアはもういいかしら? これから、三角関係? いやそれ以上の痴情の縺れで大変な事になるわね。


 チヤホヤされるのが好きなあなたが一人の男性で満足できる訳ないものねぇ。


 くるりと向きを変え、義母の方を見て笑顔で言った。


「そういえばお義母さま。お父様の()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()? 誰かの手に渡ったら大変ですのに。勿論、お母様がちゃんと回収して元の場所に戻していたら別ですけれど」


 暗に、持ち出して内緒で使っているだろうと匂わせてやる。


「な……」


 あらあら。こちらも顔色が酷い事になっているわ。最近嵌ってしまった賭博と男性たちの事は内緒だったのね?


 いつ言ってやろうかとウズウズしてたのよ。


 楽しすぎるわ〜。



「では、皆様。ご多幸とご健勝を遠い地からお祈りしていますわ。お世話になりました」


 義母を睨み付けていた父は、無理やりにその引き攣った顔で私を見送ってくれた。


「ああ。お前も辺境伯閣下に失礼のないようにしなさい。それと、辺境の地でしっかりと役目を果たすようにな」


 お父様、実は貴方の秘密も色々と握ってるんですよ?

 

 ――まだ使わないけれど、ね?


 ギルドの諜報員と侍従の二足の草鞋(わらじ)、便利なジョン!

 なんて素晴らしい。たくさん履き潰してあげるわ!

 

 あ、違った。沢山大事に履いてあげるわね。

 

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