SS 闇落ち主人公と犬耳従者(なお、封印は解けた)
ジェイド視点のSSです。
気軽に楽しんでいたたげれば嬉しいです。
「ジャーーン!これ、今流行りの「闇の力に抗う主人公」シリーズの衣装なの!しかも……ふふふ」
ルフィーナは、真っ黒で生地も高級でありながら、裾が何故かボロボロにされてある、違和感が満載な服を掲げた。
そして、何故か襟が異常に高い。
手に持った眼帯は?
隣に置いてある、包帯は一体……。
嫌な予感しかしない。
彼女は胸を張って、自分の功績のように説明した。
「クロエ監修なの!公式にも認められたんですって。だからね、ジェイドに衣装モデルをやって欲しいって」
「いやだーー!!お嬢様!むりむりむり!俺にはむり!」
「大丈夫!ジェイドは顔がいいんだから!スタイルもいいし!ピッタリだわ」
俺はこれが似合う男……?
褒め言葉だよね?
内心、痛々しいとしか思えない。
「うわー!本当ですね、ルフィーナ様。ジェイドにピッタリです!いやー凄いな〜」
軽い口調が耳障りだ。
「レイアス。いつからそこに居た」
「最初から。っていうか、ここ、君の執務室じゃん」
そうだった。彼女の言動に一瞬で現実が飛んでいってしまった。
「あの、お嬢様。……俺には、ちょっと敷居が高いというか……。他にもっと適任が」
「何を言ってるの?私が知っている中で、ジェイドが一番格好いいわ」
――正直嬉しい。彼女の純粋な好意に甘えて、抱き寄せたくなる……が!
「あ、出版社の人と作者様、そして画家が1時間後に来るんだわ!急がないと」
そう言って、ルフィーナはパンパンと手を叩いた。
待っていたかのように入ってくる、エマとメアリー。
エマは首を振っている。メアリーはルフィーナから見えない位置で親指を立てていた。
逃げられない――。
そう悟った俺は大人しく、心を殺して着替えたのだった。
◇◇◇
「完璧よ!さすが私のジェイドだわ!どこに出しても恥ずかしくない、闇落ち主人公よ!」
いや、恥ずかしいです……。
「……!ふ、ふふ……!」
「……笑うなよ」
顔を背けて肩を震わせているレイアスに釘を刺す。
「でも、眼帯!その右手の包帯……!」
奴が指差した、眼帯。
そして何故かボロボロに加工された包帯を巻かれた腕。
何故だ。包帯がこれでは意味がないだろう。
「何をゴチャゴチャ言ってるの!ほら〜、ちゃんと台詞も教えたでしょう?お披露目まで時間がないわ」
ルフィーナが急かしてくる。
分かってる。彼女は純粋に褒めてくれている。
だが――!
「……俺の右手の封印が、今まさに解けかかっている……」
「はい、次!」
「……この邪眼を使うしかないのか……」
半分、魂が抜け出した状態で台詞を言う。
片膝を付いて眼帯を取るまでかセットだった。
――逃げたい。
「あははははははは!」
ずっと黙っていたレイアスが指を指して笑ってくる。
(レイアス、後で締める)
「あら、レイアスもノリノリね?大丈夫!あなた用の衣装もあるから!ジェイドの次はあなたね」
「え」
「あははは……。同じ目に遭ってみろ。最高に笑えるぞ」
逃げられないように、レイアスの襟首を掴む。
どうせ爆死するなら、派手に巻き込まないとな……?
「はい、これ!レイアスには相棒の獣人役よ。犬耳でかわいいけれど、裏では――ふふふ」
犬耳のカチューシャを持ってメアリーが近づいていく。
「え、え、待ってください……!ルフィーナ様!」
その後訪れた客には、痛々しい男二人が並んだその光景を絶賛された。
作者という人物からは握手を求められた。
画家は、涙を流しながら色々なポーズを要求し――。
俺達は黙々と、しかし演技指導の通りにこなしていった。
◇◇◇
「ジェイド……。僕、今日、大切な何かが削られた気がするよ」
「あぁ、珍しく意見が合うな。俺も何かの封印が解けそうだった……」
やっぱり、大好きなキャラたちだと実感します。
息抜きに好きなキャラに甘えてしまいます(笑)




