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白い結婚!?それなら、私の戸籍をあげちゃいます!〜え?拾った彼は公爵様でした!?  作者: しぃ太郎
第二部 公爵家で頑張るお嬢様

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45『猫を助けに行きませんか?』

よくあるゆるふわ設定です。

ご都合主義でも温かい目で読んで下さると嬉しいです。



 私が寝る準備をしていると、バルコニーの外から窓を叩く音がする。

 ――ジェイドが来た。今回は随分と遅くに登場だ。

 窓を開けると、やっぱり彼が居た。

 先日の反逆の証拠等の後処理、そして新たに国王になった陛下の側近として毎日忙しくしているみたいだ。


「今日はどうしたの?だいぶ疲れてるわね」

「うん。漸く色々な事が片付いてさ。いつもお嬢様が言っているみたいに癒してくれない?」


『いいよ』と答えそうになったが。

 先日、裁判で処刑が決まった商人や下位貴族や実行犯。そして、毒を賜る事になった高位貴族たち。

 側妃の裁判も終わり、幽閉よりも毒を選んだと聞く。


 彼らは詳しい話を教えてくれないから、全て新聞で読んだだけだけれど。


「元第二王子も平民になって追放刑なんでしょう?いつ執行されるの?」

 

 そう。

 新聞にも大々的に書いてあった。

『権力に振り回され、悪女の母親に利用された王子』として。

 詳しい話がどうしても聞きたかった。


「実は、お嬢様に内緒にしていたことがあってさ。君は基本的に男が嫌いでしょう。俺がルフィーナに一途だから、心の中に入れてくれているだけでしょう?」


 質問に質問で答えるんじゃない。

 もしかして、誤魔化されたのかしら。


 ――男が嫌い?まぁ確かに。お互いに何年も側にいたのだ。

 私が彼の表情で心境の変化にまで気がつくように。

 彼もまた、私の事をよくわかっている。


「それがどうしたの?」

「でも、同情してしまった男が居るでしょう。元第二王子とか?」


 心の中を見透かされた気がした。

 同情した。――だからそれをジェイドに聞きたかったのだ。


「実はさ、お嬢様の好きな『ざまぁ』?は違うかな、君にちょっとしたハッピーエンドを用意してあげたいんだけれど。今聞くのと、一番いい演出で聞くのとどっちがいい?」

 

 それは、問題発言ね。無関係なら演出された物を見たいけれど……。

 

「あのね、私の好きな小説ならヒーローが問題を全部片付けてくれてハッピーエンドだけれど。私ってそういう大人しいタイプだと思う?」

「あはは!それはルフィーナには似合わないよね」

 

 そうよ。似合わないのよ、私に可憐な役は。

 空気も読めないし?よく言われるから気にしているんだから。

 でも、無知で無謀な事ばかりする自分勝手な人にもなりたくないけれど。


「いいから教えなさいよ。私と何年一緒にいるの?全部わかってくれているでしょう。私にも出来ることがあるから聞いてくれたんでしょう?」


 抱きしめているとやっぱり感じるこの感情。

 うぅー!この野郎!硬い筋肉質な胸、はぁ幸せ。やっぱり大好きだわ。


「だよねー。実はさ、ルフィーナがちょっと気にしていた彼を攫って後輩のギルド員として育てようかと思って」

「は?そんな事出来るの?」

「ほら『ネイムレス』。彼も随分と気にしている。平民になったら、あの王子様なんて拐われて男娼にでもさせられちゃいそうでしょう」


 ――色々と軽いな!でも悲惨な未来しか無いのは理解できる。あの美人なお顔じゃね……。

 いやいや、貴方に権力があるのは知っているけども。


「ちゃんと陛下の許可を取ってから行動するのよね?一応、刑罰なのよ?」

 

 親の罪を被るなんて理不尽だと私も思うけれど。国が決定して下した罰だ。


「うん。そこは大丈夫。だから今度、一緒に第一王子――じゃないかった陛下にお礼に行こうね。皇太后様もルフィーナに会いたいって」

「うわー……。生まれながらの権力者って怖い。気軽に誘う発想が怖い」

「これからは国王の側近になってしまうんだけれど。一緒について来てくれる?陛下に借りがあるから矢面に立たされて大変なんだけど」


 うん。市井では色々と英雄譚みたいに語られてるものね。それでも私の答えは決まっている。


「勿論よ。この前約束したでしょう。一緒に生きて一緒に死にましょうって」


 そう答えたら、彼は更に力を入れて抱き締めてきた。

 少し苦しいくらいに。


「ねぇ。未だに、死にかけの子猫を見捨てた事が忘れられないお嬢様。俺は、貴女に一生忘れられない男がいるなんて耐えられない」


 大袈裟に言うわね。

 でも確かに、私にはそんな一面もあるかもしれない。

 それが顔見知りで、ただ利用された人だったのなら忘れる事なんて出来ないかもしれない。


「貴方こそ、よくそんな事まで覚えているわね。幼い頃の話でしょう。――それで、私にその猫を助けるチャンスをくれるのね?」


「ええ、ちょっとお忍びで。貴女が心配していた可哀想な猫を説得に行こうかな、と思いまして。一緒に来たいでしょう?いえ、俺が連れて行きたいんです。彼の選択を自分で見ないと捨てきれないでしょう?」


 ――猫。選択、彼。ちょっと遠回しすぎる。

 でも、心残りが無いように。

 私にもちゃんと伝えて、一緒に誘ってくれる。

 なんて素敵な人なんだろう。

 私なんて居ないほうが色々と楽なはずなのに。


「あの時の、幼かった私を救ってくれるって?」

「うん。お嬢様が望むなら。一緒に可哀想な猫を助けに行かない?」

「行くわ!行くに決まってる!」


 私の答えは一択だ。せっかくの心遣いだ。

 せっかくの彼の優しさだ。


「猫が助けられるのを拒否するかもしれないけれど、それでもいい?」

「勿論。手負いの生き物は最初は差し伸べられた手に警戒するものよ?ね、身に覚えあるでしょう?」

「ゴホッ!――それって俺のこと?」


 ジェイドがいきなり自分に矛先が向けられた事に驚いて咽る。当時の彼も警戒心丸出しの猫みたいだった。

 本人に言ったら拗ねちゃうかしら。


「ふふふ。ごめんごめん。じゃあまずは頑張って疲れて帰ってきた未来の旦那様を癒してあげようかな」


 抱きついて、頭を撫でてあげる。

 柔らかくて気持ちいい手触り。


「知ってた?俺って撫でられるより、相手を撫でてあげたほうが癒されるんだけど」

 

 撫でていた手を掴まれて、掌にキスをされる。

 いやいやいや。

 思っていたのと違うわ!猫ちゃんの話だったじゃない。そのまま、猫ちゃん扱いで居てください!


「そ、そそそれで、いつ助けに行くの?」

「情報だと、明日の朝に放逐されるから。今夜に説得に行く?」


 ジェイドの手が!身体を撫でられるのは心臓に悪い!


「行きます!行こう!すぐに行こうーー!」

「そんな所も可愛いよね。じゃあ、陛下には話を通してあるし隠し通路から行こうか。よし、じゃあ今から王宮にお忍びデートだ」

「隠し通路?」

王城の隠し通路なんて――ちょっと怖くてワクワクするわね。

「うん、隠し通路を使うよ。エマとメアリーにすぐに準備を。彼女達なら伝わると思うけど、目立たなくて動きやすい服でね」


 ◇◇◇


「ネイムレスは心配性だね。ジェイドの為にギルドでも指折りのメンバーを用意してくれるなんて」

「お前と話す時間が惜しい、黙れよレイアス」

「寂しいこというよなぁ〜。僕だって色々動いたのに」


 多分、本当に色々と動いてくれたのだろう。

 本人が気にしてないからいいのかしら。


「よし、みんな宜しく頼む」

 

 彼が連れてきたギルド員か王宮の騎士なのか。

 彼の号令で動き始める。

 ――王宮にお忍びデート。なんて怖くてドキドキする響きかしら。


「俺の体力が持つまではお嬢様を抱きかかえて行きたいけど……。たぶん無理だから、このメンバーで交代で」


 最後の!言う必要あったかしら!?

 もうちょっと真綿に包んで言ってくれる!?


「実は、王族の脱出用にこの公爵邸の庭にも地下通路がある。――叔父が知らなくて幸いだったな。まぁ、そんな度胸も無かっただろうけど」


 それは、結構な距離を移動するから仕方ないとしても。――苛つくわ。他の人に抱きかかえられたら、必要以上に抱きついてやる。


「よし、時間もない。今頃ネイムレスも動いてくれているはずだから、『猫』の部屋に直接向かう」


 集まった人員に指示を出してから、彼がもう一度私に問う。


「最後に言っておくけど、ここまでしても必ずしも助かりたいと思う人間ばかりじゃないんだよ、お嬢様。彼は家族が血を流すのを見ることになる」

「そうよね。でもきっといいのよ、自分で選べるなら。それが彼の信念で尊厳だわ」


 彼は私の答えを聞いて頷いた。周りのメンバーに手で合図する。


「じゃあ、出発だ」

「でも足を引っ張らないかしら。ちょっと運動神経に自信がないわ」

「一応、許可も取ったから、最悪見つかっても問題にはなるでしょうけど、罪には問われませんよ?」


 ――それは安心させているのかしら。

 全然ロマンチックじゃないデートだけれど。

 彼は、私を抱えて走り出した。


 さあ、あの時助けられなかった子猫じゃないけれど。

 それを挽回するための機会をくれたんだ。

 なんとしても助けるわ。


 ――私の為に。自分の為に利己的で偽善的な行動に出ましょう!

 

いつも、読んで下さる方、ブクマしてくださる方、評価してくださる方、リアクションしてくださる全ての方に支えられています。

ありがとうございます!本当に励みになっています。

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