37 レイアス視点〜 本当に狂っているのは
あ、、レイアスはヤバいと思ってくだされば成功だと思っています。
苦手な戦闘シーンはこれからの課題にしたいです。
☆よくあるゆるふわ設定です。
ご都合主義でも温かい目で読んで下さると嬉しいです。
「がっ!があああああぁぁ!」
一人目の喉元を掻き斬った。血を噴き出しているが中々倒れない。後ろの三人がそいつを押しのけて、盾を構えて突入してくる。
流石に重装備では無いが、盾も用意してるのか。
小型な盾は自分が守りたい所を守るだけだ。
その場で直ぐに身体を反転させ、剣撃を避ける。
仲間が邪魔で、狙ってくる場所が限られてくるのが狭い扉の良い所!――だね!
避けた瞬間に盾を構えた奴の足元に蹴りを入れる。
バランスを崩したその眉間に剣を突き刺す!
はははは!
国王直々の暗殺専門部隊とは戦ったこと無かったんだよねぇ!
やっぱりお綺麗な事だ!
一方的な戦いしかあまりしてこなかったんだろう?
――自分達が押されて制圧される経験ってものを味わっときなよ!
三人目が懐に手を入れる。
甘いね。そんな事は予想済みだ。その瞬間、後ろからナイフが飛んでくる。眉間に深く突き刺さったナイフにそれを取り出せずに悲鳴をあげる。――楽勝!
そのまま、そいつの喉元に更に剣を突き刺してとどめを刺す。
ほらね、僕たちだって暗殺者に育てられてるんだから。ジェイドが見逃す筈がない。
最後の一人がなかなか掛かってこないな。
入口が死体だらけでちょっと怯えちゃった?
そんな事無いよね?
だって、お行儀よく訓練された狼くんだもんね?
(ありゃ、本当に?戦略的撤退ってやつ?)
僕に背中を向けて、ここから逃げ出してしまった。
すぐにその背中を斬りつけようとしたが――。
――そこで思い出した。あ、生け捕り!忘れてた!
「ジェイド!交代!」
声を上げたその時には、彼はさっきの暗殺者を追って走り出していた。
「上出来!」
ジェイドは、扉から逃げ出していた男に蹴りを入れて廊下の壁に叩きつけ、痺れ薬が塗ってあるだろうナイフを足に突き刺した。
――僕じゃ殺してしまう可能性が高いからね。
怯えた猟犬はちゃんと捕まえて、躾け直さないと。
「取り敢えず、こいつを縛り上げる。部屋を変えてまた襲撃に備えよう」
そう言って、ジェイドは僕に捕縛用の縄を投げつけ、奥で震えているお嬢様達の方に向かって行った。
はいはい。僕が縛りますよ。血だらけじゃまた嫌われちゃうからね。
縛り上げて、一応念の為に気絶させてから適当な部屋の隅に転がしておく。
あーあ、思ったより簡単だったのは少数だったからかなぁ。部屋の中での待ち伏せっていうのもこちらに有利だったし。
でも、物足りない。
こんな物か?これで襲撃が終わり?
――そういえば、側妃のお気に入りのあの騎士。
あいつがまだ来ていない……。
隣国で名を馳せた騎士だったっけ?
うーん。真っ当な騎士との戦いはあんまり燃えないんだよね。体格的にも不利だから一対一で対決とか苦手だし。
近くに気配は無いが――。
本格的な騎士相手では、ジェイドの方が向いているかな。後は交代して任せてもいいかもしれない。
(そいつを捕らえる事が一番の成果だろうし)
今回の火事の容疑者で公爵家襲撃の実行役。そして側妃の側近。そうなったら最高のカードだ。
来てくれるかな?
外のギルド員が大分減らしてくれているんだろう。
窓からの突入が無い。
ここから突入してくる人数が少なくて助かる。
外ではまだ疎らに剣戟が鳴り響いている。
今のうちに、武器の補充をしなければ。
夜はまだまだ明けていないんだから。
「お嬢様、クロエ。直ぐに部屋を移動するよ。まだ本命が来ていないから備えておこう」
後ろで二人の手を引いているジェイドの声がするけど……。
入口が悲惨な事になってるから刺激が強いんじゃないかな?――と思ったが、やはり彼は育ちが違う。ちゃんと配慮して、頭からすっぽりと上着を掛けて抱き上げている。
えーと。クロエを置いていくの?
僕が居るから大丈夫だけれど。
奥に移動して一応声を掛けてみる。
「君のお兄さんって、結構あれだよね。君に対しては酷いよね」
血塗れだから、怖がらせちゃうかも。
「――そうね。レイアス、あんたも無事で良かった。あんなに大勢に一人でってあんた達馬鹿じゃないの」
クロエが強がりを言っているが、相当怖かったのだろう。震えている。あーー、どうすれば?
仕方がないので、ベッドのシーツを引き剥がしてクロエに掛けてグルグルと巻く。
「取り敢えず、ジェイドを追っていくよ。部屋を移動しよう。息苦しくない?――僕、ちょっと血塗れだからこれしか方法無いんだよね」
そっと抱き上げて、聞いてみる。
頷く気配があるから大丈夫だろう。
本当にジェイドは、色々と僕に任せすぎる。
こんな役は慣れてないし、柄じゃ無いのになぁ。
「あの弱虫で泣き虫だったレイアスがね……。苦労したのね、私たち全員。みんな昔とは変わっちゃったわ」
少ししんみりとした空気が流れる。苦手だ。それを軽い口調で受け流す。
「そうだね。大分変わっちゃったかもね。でも変わらなかったら、今この場で会話できてないでしょ」
「そうね。ジェイドも知らない内に大分変わっているし。あんたなんか全然別人みたいだし。血塗れで笑っていたわよ、ホラーよ」
ははは。ホラーね。確かに彼女から見たら、まさにそうかもね。血塗れだしね。
ヒョイッと死体を飛び越える。その衝撃に、彼女の身体が強張った。
――あ、ジェイドなら声を掛けてからあまり振動を伝えないように跨いで行く筈だ。
僕はこういう所が上手くない。というか、あいつが気取っている。
「あれー?冒険活劇も好きだって言ってなかった?あと最近はホラーにも嵌ってるって。僕なんてどっちもいけるじゃん!ははは!」
「どっちも現実では楽しくないって気付いたわ。特にホラーは勘弁ね。――まだ来るのかしら。あんたのその自信過剰な所が心配だわ」
心配性なクロエに、安心させようと声を掛けた。
「大丈夫だって。これが終わったら、僕の夢で憧れだった先輩と修行にでも出ようかって約束してて!」
「だから、それが死亡フラグよーー!!」
え?駄目だった?
クロエの発言が半分も分からないけれど、少し空気が和らいだから良かった。
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