表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白い結婚!?それなら、私の戸籍をあげちゃいます!〜え?拾った彼は公爵様でした!?  作者: しぃ太郎
第二部 公爵家で頑張るお嬢様

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/73

17 ジェイド視点〜 甘えて欲しい

よくあるゆるふわ設定です。

ご都合主義でも温かい目で読んで下さると嬉しいです。



『暫くは顔を見たくないかな』

 

 ポツリと小声で言った、彼女の言葉。

 心臓が止まるかと思った。


 気配を消して彼女たちの会話を聞いていた俺は、きっと酷い顔色だっただろう。

 

 出会ってから初めて拒絶された。

 

 何だこれ。

 一時的だ、きっとそうだ。

 

 彼女はそんなに薄情な人じゃない。

 苛烈に怒るくせに弱くて。

 執着しないくせに、情が深くて。


 ――くそ!なんでこんなにも上手くいかない。


 昔、クロエと彼女と三人で。

 俺が買ってきた食事で笑い合った時のことを思い出した。

 あの時の方が幸せだった気がする。



 それからは部屋に戻り書類仕事を片付けた。

 

 ――騎士団の編成も、見直さなければ。

 叔父が経費を削って着服していたせいでかなり弱体化している。

 断罪した騎士団長の後釜をそのまま副団長に任せていたが、また選定した方が無難かもしれない。

 

 一度公爵領にも出向き、現地の代官と税について相談しなければ。税率を下げて領地を回復させなければ。

 

「ジェイド、無理して仕事詰め込みすぎだよ。サインが必要な物以外は僕が纏めておくから、少し休めって」


「ああ」


 声すらも苛つくようになったな、こいつは。

 やはり斬ったら少しは気分がマシになるかもしれない。


 彼女にしっかりと説明できない理由で疑われ、悲しませてしまった。



 こんな醜い政争は早く終わらせて、彼女を抱き締めたい。

 もう汚い人間ばかり相手にしていたくない。

 

 ルフィーナ。

 クロエだけじゃなくて、俺にも頼ってくれよ――。






 夜に、彼女に付けていた護衛から報告が上がった。

 よりにもよって、ヘレン・ラスマンとジュリアス第二王子に会ったとは。


 また厄介な人物達だ。

 ヘレンは狙って会いに行ったんだろうが……。


 ジュリアス王子は、本当に偶然だろう。

 彼は、側妃やレクシビル公爵の庇護という名の元、監視をされて生きている。


 彼の境遇には、王妃も同情している。

 

 だが。

 まさに権力に振り回される、傀儡の王になり得る。

 

 彼らを処断して国の分断を避ける。

 そこには何の感情も浮かばない。


 自分の事でもない、ただの知り合いだ。

 もう彼は幼い子供でもない。

 彼自身が行動を起こせば良かったのだ。


 それが、忌むべき王家に続く血の歴史だとしても、側妃を彼自身の手で何とかするべきだった。


 ――弱いからだ。弱いから利用されて食い潰される。

 (でも、ルフィーナは同情してしまったんだろう)


 弱い者に優しくて、健気で、すぐに感情移入してしまう。

 俺に無いものを全て彼女が持っている。

 だからこそ貴重で大切で愛しい。



 ◇◇◇



 夜中のノックの音。

 足音も、息遣いも消せていない彼女の気配。


 ドアを開けてあげると、いつになく不安そうな彼女が立っていた。


「ジェイド、部屋に入れてくれない?ちょっとね、今日は色々あって……」


 やはり、昼間の事が彼女の心に影を落としたのだろう。

 でも、こんな場面ではいつもクロエを頼ってきたルフィーナ。


「ジェイドは強いよね……。凄いなぁ。私は弱くて駄目になることばかりなの。だから、ジェイドに頼りたくなったのかな……」


「珍しいね、ルフィーナが俺に頼ってくるなんて」


 ――ここまで弱った姿を俺に見せくれるなんて。


 嬉しさを押し殺し、彼女に聞いてみた。

 弱っている理由も知っている。優しい彼女が心を痛めない筈がない。


 愛しくて、頭にキスを落とす。

 調子に乗って涙が少し浮かんだ瞳にも。

 その滑らかな頬にも。


「今日はジェイドじゃなきゃ駄目みたい」


 嬉しい。俺に頼ってきてくれる彼女がとてつもなく愛しい。


「私って、本当は弱くて情けなくて何も出来ない人間なのよ。そして、すぐに何かに同情する傲慢な人間なの」


 ――ははは。そんなの初めて会った時から知っているよ。何年付き合ってると思っているの?


 慰めるように、また彼女の頭にキスをして抱きしめる。


「いいから、溺れちゃってよ。ルフィーナに出来ない事を俺がして、俺に出来ない事を君がすればいいじゃないか」


「そうだね。貴方が出来ない事を私が。絶対に出来るようになるからね――」


 彼女は一方的な関係を嫌う。

 自分が、相手に何かを差し出さなければ愛されないと思い込んでいるからだ。


 でもね。

 そんな事は関係なく、君に惚れる男もここにいるんだよ――。


 一晩中彼女を抱き締めてソファに座っていた。


 彼女は、ジュリアス王子を心の中に入れてしまったらしい。

 確かに繊細な感性は共通しているのかもしれない。


 このまま彼の首を落とせば、きっと一生忘れずに背負って生きていくのだろう。


 俺以外の男が彼女の心に入り込むなんて許せない。

 それが罪悪感だとしても――。

 

 (一生抱える傷?でも、そんな事は許せない)

 

 ――どうしようか。

 

 頭の中で、色々と考えながら。

 彼女の温かさを肩で感じながらこれからの事を考えていた。

いつも、読んで下さる方、ブクマしてくださる方、評価してくださる方、リアクションしてくださる全ての方に支えられています。

ありがとうございます!本当に励みになっています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ