表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白い結婚!?それなら、私の戸籍をあげちゃいます!〜え?拾った彼は公爵様でした!?  作者: しぃ太郎
第二部 公爵家で頑張るお嬢様

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/73

15 第二王子ジュリアス

よくあるゆるふわ設定です。

ご都合主義でも温かい目で読んで下さると嬉しいです。




 さっきのブティックでのストレスを、スイーツ店で発散した私達。


 ――美味しかったぁー!


 次は、チーズ系を食べてみたいわ。

 小さめサイズなのが良かった。色々な味が楽しめるんだもの。


 食べ過ぎたからちょっと街中を散歩しよう、ということになったのだが……。


「ねぇねぇ、クロエ。あそこに怪しい人が居ない?何キョロキョロしているのかしら。しかも、誤魔化しているけど、確実に平民には見えないわ」

 

「うーーん。何だか見覚えがあるんですけど……。私もあまりにも社交界から離れすぎてわかりませんね」

 

 メアリーが耳元で教えてくれる。


「護衛がそこかしこに居ますね。彼から目を離さない所を見ると、確実です。結構な身分のお方かと」


 ――うわ。関わりたくないわ。

 

「クロエ、あっちに行きましょう。厄介事の予感が物凄いわ」

 

 記憶を探っているのか、その人物を凝視していたクロエの腕を掴み、反対方向へ誘導しようとした。


 ――が、遅かった……!


「おや、随分と久しぶりな友人と再会したかな」


 うわー、絡んできたわ。逃げ場がない。

 街中で(多分)お忍びだから、正式な挨拶は必要ないけれど、話しかけられては無視は出来ない。


「あぁ……!思い出したわ。従兄弟の弟君ね。――なぜ、貴方がこんな街中をうろうろしているの?」


 クロエの従兄弟――父方は、伯爵位よね。

 母方の方は考えたくもないわ……。王族か。

 

 しかも従兄弟ではなく、従兄弟の弟。

 彼が側妃の息子――第二王子だ。


「お久しぶり、ここではジュリアンとでも呼んでおいて。ただの平民どうし、気軽に話そう、ね?」


 何だか軽い。聞いていた話よりも軽い。

 こんな人が継承争い真っ最中の第二王子?

 

 もっと野心でギラギラして、嫌味な感じを想像していたわ、御免なさい。


「相変わらずね。そんな事をしている場合?」

「そちらこそ、相変わらず辛辣だ」


 クロエの態度から、昔から険悪ではなかった空気が伝わる。


「初めまして、ルフィーナです。今日は、何をしに街へ?」


 私も声をかけてみる。


「ご令嬢には興味がないと思うよ?大して面白いことはないし。買い物とかじゃなくて、少し危険な場所にも行くしね。そうだ、一緒に来る?」


 買い物して甘い物を食べて街を散歩。

 それも楽しかった。が。

 

 その後に第二王子が少し危険な場所に行く――?私の好奇心が顔をだしてしまう。


「別に誘拐とか暗殺の心配は無いよ。隠れている護衛は近衛の者だ。まぁ、私の見張りでもあるし。王にも兄上にも忠誠を誓っているから、彼等の前では安全だよ」


 メアリーがいる。エマもいる。彼の護衛も多いという。メアリーを見ると、やれやれとでも言っているように首を振っている。


 いきなり暗殺――とかは無さそうよね。

 どうせ、エマとメアリー以外にもジェイドが隠れて護衛を付けているはずだ。


 でも、折角第二王子を知る機会だ。逃すなんてあり得ない。


「誘っていただけるなら喜んで」

「お嬢様が行くなら、私もお付き合いしますよ」

 

 クロエに目配せしたが、反対はされなかった。

 

 ――なるほど。


 彼自身には何も思う所は無いのか――。

 寧ろ彼の立場に同情的なのかもしれない。



 ◇◇◇



 それはとても意外だった。


 彼は、お気に入りの画家を連れ歩いて、街の色々なものをスケッチさせていたのだ。

 

 芸術が好きだとは噂で聞いていた。

 しかし、彼が描かせていたのは――。


 ――路地裏で座り込んでいる痩せた浮浪児。

 ――昼間から、男性に声を掛ける娼婦。

 ――小さな乳幼児を背中と胸に2人も紐で括って仕事をする女性。


「ジュリアン様はなぜ、このような絵を?」


 美しい芸術を愛するという第二王子。

 貴族が好む絵では絶対に無い。


 でも、彼は何故――。


 人々を見ている瞳にも嫌悪感は浮かんでいない。


「私の世界はさ、私に綺麗なものしか見せないように管理されているんだ」


 それはそうだろう。彼は王族で、だからこそ大切に育てられてきた筈だ。


「周りの貴族も、ご令嬢もそうだ。綺麗なものしか見ないで、汚いものを見せないように育てる。そうでしょう?」


 貴族は平民と関わらない。特に、彼等のような貧民には。

 寄付という形で、貴族としての役割は果たすだろう。施しもするだろう。


 だが――。


「だからかな?貴族が、何故彼らが汚いと言える?それはそういうふうに育てられているからだろうね」


「相変わらず、ね。そんな事をしていて母君もその後ろにいる方も怒らないの?」


「まぁ、お怒りだろうね。でも私はそれに少しだけ反抗しているだけだよ。たまにこうやって自由を与えてくれるんだ」


 クロエの質問に答えて、彼は路地裏の彼らにパンをあげた。

 お金を渡すと、その後トラブルになり暴力などで強い者に奪われる。目の前で食べ終わるのを待つ方がいいと学んだらしい。


 この人が。この人が、ただ母親が隣国の姫君だという理由だけで強欲な権力者に利用されるのか。


 今の情勢では、彼に未来は――。


「お嬢様、帰りましょう。もうすぐ暗くなりますよ?」

「ええ」


「じゃあね、お嬢様方。また会えるといいね?」

「はい、今日は色々な経験ができました。ジュリアン様も……」


『お元気で?』

『また会いましょう?』


 なんと言っていいかわからず、言葉が続かなくなってしまった。


 彼は、それに気づいたのか気づかなかったのか。

 手を軽くあげて私達と別れた。




 

いつも、読んで下さる方、ブクマしてくださる方、評価してくださる方、リアクションしてくださる全ての方に支えられています。

ありがとうございます!本当に励みになっています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ