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白い結婚!?それなら、私の戸籍をあげちゃいます!〜え?拾った彼は公爵様でした!?  作者: しぃ太郎
第一部 お嬢様と双子と、白い結婚

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02 街に到着、そして天使に遭遇?

【短編】『白い結婚!?それなら、私の戸籍をあげちゃいます!』の連載版です。大幅加筆しております。


よくあるゆるふわ設定です。

ご都合主義でも温かい目で読んで下さると嬉しいです。

 

 クロエが見つけた場所はうまい具合に目立たない所にあった。


 俺たちは音を立てない様に落ち葉や枝を集め、入り口を目立たないように隠し。

 二人で狭い空間で身を寄せ合った。


「どうなっちゃうのかな。お父様とお母様はどうなったんだろう。私たちどうなっちゃうんだろう。怖いよ……」

「……俺がいる。クロエだけは絶対に守る」


 クロエが震えているのか。

 俺が震えていたのか。


「身分を明かすのは危険だ。母上の言葉を守るなら、公爵家も他の貴族も信用出来ない。親の居ない孤児の振りをして街に行こう」


「でも、街の保安部隊は?保護してくれるんじゃないかしら」

「買収されているかもしれない。公爵家、恐らくは叔父や親戚が犯人だろう。既に保安隊にも手が入っていてもおかしくない」

 

 ――俺たちは十三歳でまだ後見人が必要な年齢だ。

 無事に公爵家に戻れたとしても、叔父がその立場になるだろう。

 すぐに殺されるか、ゆっくりと殺されるかの違いだけだ。

 

「今日は月が明るくて良かった。足元に気をつけながら、街を目指そう。夜は危険だが他に方法がない」

「わかった」

 

 辺りが暗くなり、今は人の気配を感じない。

 手を伸ばして這い出てみる。

 

 少し身体が強張っているが大丈夫だ。

 身体を伸ばしてみると、脇腹に激痛が走った。

 触ってみると、ぬるりとした液体が手についた。


  (あまりの緊張で気づかなかったのか)

 

 医者じゃないから、怪我の状態もわからない。

 でも、まだ倒れてはいない。

 

 だから大丈夫。大丈夫じゃなくては駄目なんだ。

「ジェイド、それ……!怪我してるじゃない」

 

 クロエが慌ててスカートを破ろうする。

 

 逃げる時に傷や裂け目が出来ていたドレスは子供の力でも破けたようだ。

 

 でも、包帯の代わりにはならなくて、俺達はあまりにも無知で無力だから、その布で傷口を強く圧迫する事しか出来なかった。


 ――何が引き金になったのか。


 自分達がこんなにも無力だからか。

 両親の死、それを悼む暇もなく背を背けて逃げないといけなかった事に対しての罪悪感か。


「行こう、クロエ。なるべく早く街に着きたい。大丈夫だよ。……きっと大丈夫……」

「うん、私も頑張るから、ジェイドも泣かないで」

 

 俺の目からは涙が溢れて止まらなかった。

 同じ様にクロエも声を殺して泣いている。

 

 不安で仕方がない。でもクロエを守るんだ。俺がしっかりしないと。わかっているのに。

 

 ――でも、その晩は涙が枯れるまで二人で泣きながら歩き続けた。



 ◇◇◇



「街が見えてきた……」

 

 ――逃げている二日間の間に、俺達は今後の事を話し合った。

 ――信頼出来る人が欲しい事。

 ――お金も無く、この服装では目立つ事。

 ――とりあえず、両親を狙った奴らに見つからない様にする事。

 ――お互いの名前は絶対に言わない事。

 

 子供が二人で居ると目立つので、まずは俺が一人で街までの道を通る馬車を物色した。


 商人だと、貴族と繋がりがあるかもしれない。

 出来れば農民がいい。


 街に野菜を卸しに行く馬車が通りがかり、悩んだ末に呼び止める。


「すみません!」

「おう、どうした坊主。大分汚れてるな。泥まみれじゃないか」


 貴族だと見破られない様に、事前に頭から泥を被り、両頬に布を詰めて顔の輪郭を変えたのが功を奏したのか。

 怪しまれている様子は見受けられない。


「近所の奴らにやられて……。これじゃ帰れないから何か被れるような布とか無いかな?汚くて使い道がないようなものでいいんだ。二枚あると助かるんです」


 口の中の布のお陰でモゴモゴとした声で上手に喋る事が出来ない。


「あぁ、そんな形姿(なり)じゃなぁ。ほれ、これなら捨てる予定だからやるよ!」

 

 その中年男性は、気前よく二枚の布をくれた。


「ありがとう!親に謝るのに、どうすればいいか悩んでたんだ」


 そう言って、男は片手を上げて荷馬車を走らせて行った。

 俺はその後ろで頭を下げる。


 ――上手くいったか?彼から俺の情報が漏れる可能性はあるだろうか。わからない。貴族には見えなかったかもしれないが、俺達の瞳の色は珍しい。


 手に入った襤褸(ぼろ)切れの布を頭から被り、森の中で待っているクロエの元へ向かった。


「クロエ!布が手に入った。これを頭から被るんだ。なるべく下を向いて、顔を見せない様に。それから、嫌かもしれないが顔を泥で汚しておいて。出来れば俺みたいに頬にも詰め物を」

 

「うん、わかった。ありがとう。やっぱりジェイドは凄いわ。私ももう少し頑張らないとね」


 服の切れ端を口の中に詰めながらクロエが言った。

 その声が沈んでいる。


「よし、ふっくらした顔になった。これで誰も、あの美少女だと言われていたクロエには見えないな。ははは」

 

 少しでも元気づけたくて、軽口を叩く。


「何よ、ジェイドだって女の子に大人気な公子様には全然見えないわよ」

 

 クロエも、俺の意図に気づいて乗ってくれる。俺たちは負けない。一人じゃなく、二人一緒だから。


 こうして、俺たちは街の中に入っていった。


 ――途中、呼び止められたが子ども同士で喧嘩して、お互いに家出をしたが、仲直りして帰る途中だと説明した。


 俺たちは馬車で移動するのが基本だったから、少し散歩をする以外に街を歩いたことがない。


 街のことがよくわからない。

 挙動不審で目立つかもしれない。

 早く安全で休める場所を見つけたかった。


 ただ、この汚い恰好では通りを歩けない。

 やはり裏通りを行くことにした。裏道は、綺麗で賑やかな大通りとは全然違った。


 ゴミが散乱し、倒れている人間や座り込んで酒を飲んでいる者。男女が絡み合っているところにも遭遇した。


 身を隠すには格好の場所だが。

 

 俺達もここに馴染まなくては。悪目立ちはしたくない。


 ――しかし。

  (うわ……。今は駄目だ、こんな場所で気絶したらクロエが……!)


 ずっと我慢して抑えていた脇腹の怪我が痛み出す。

 気の緩みからか貧血からか。意識を保っていられない。

「ジ………!お兄ちゃん!」

 

 目の前がグニャグニャになって、地面に倒れ込んだ。

 腕に力を入れて起き上がろうとしても無駄だった。


 くそ。情けない。これじゃあ――兄失格だ……。


「あら、あなた達。まだ子供じゃない。どうしたの……って怪我しているじゃない!え!死んじゃうの!?」


 ――目の前に金髪碧眼の小さな天使が見える。

 

  (これは……本格的に……やばい、死ぬかも)


 俺はそのまま意識を失ってしまった。



いつも、読んで下さる方、ブクマしてくださる方、評価してくださる方、リアクションしてくださる全ての方に支えられています。

ありがとうございます!本当に励みになっています。

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