18 結婚式は幸せじゃなきゃね
この話は本編と全く同じです。
読み飛ばしても大丈夫です。
その後、辺境伯閣下の助けもあり、家臣たちは反対意見を取り下げ黙り込んだ。
私達の入れ替わりは成功した。
そもそもがユリア様を何処かの貴族の養子にする等、色々と方法があったと思うのだがこれが難しかった事が今回の原因だ。
ユリア様の実家のイメージが悪すぎたのだ。
数々の悪徳な商売を展開し、国への税の申告を偽装する等など。
幼い彼女だけを残し、当主は処刑、その他親族には強制労働や禁固刑等が課された。
そのまま男爵家は爵位を剥奪されユリア様は平民の少女になった。
そんな厄介な家門の娘を自分の家に入れたがる貴族は居ない。
まぁそんな背景がありエーリク様とユリア様は長年結ばれなかった……と、ね。
幼い頃に平民になった彼女は顔を知っている人も少なく、そして実家から冷遇されていた私も社交界に出ていなかった。
そんな彼女の事情と私の現状が噛み合い上手く事が運んだ。
(勿論うちのジョンが一番活躍したけれどもね)
様々な証拠でお父様を追いやり、従兄弟が伯爵家を継いだ。私の実家への『ざまぁ』は成功したのだ。
――うーん。でも、目の前で断罪してないからこれも失敗かしら。
義母と義妹は上手く逃げたようだがその後は別に追うつもりもない。
ま、興味無いしね?
◇◇◇
――そして今日。
無事に、愛し合う二人の結婚式が行われる事になったのだ。
「まぁ、結婚おめでとうございます!イリーナ様」
「ふふ、貴方のお陰でね、ユリア様。本当にありがとう」
美しく純白のウェディングドレスを着ているイリーナ様に祝福の言葉を伝える。
――本来は立ち位置が違っている私達。会話が分かりにくいのは仕方がない。戸籍をあげたのだから。
花嫁衣装を着ているのは彼女とエーリク様で。
観客席に居るのは私と、ジョンとジェーン。
私はイリーナの名を捨てた。
これからはユリアとして、平民として生きていく。
結構な金額を受け取る契約だったしね。
意外と気に入った辺境伯領に、大きめの一軒家も貰ったし。
もう伯爵令嬢でもない、自由で、お金をいっぱい貰った平民だ。うん、なんてラッキー。
家に尽くすとか、貴族の義務も全部無くなったわ。
――それなら、ジョン達の本当の名前を聞いてもいい頃合いかしら?
私もユリアって柄じゃないし、自分で名前をつけ直しても良いかもしれない。
ジョンとジェーン。
何処かの王子様やお姫様だって構わないわ。
あなた達が答えたくないならそれでもいい。
私は大事なものさえ守れればそれでいいのだもの。
(昔から、手に握り込んだものは絶対に離さないって言われてたんだから)
「ユリア様、お飲み物は?」
「お前はお嬢に絡んでくるな!邪魔!邪魔なの!お嬢には俺がいればいいのーー!」
最近はエダン卿も私によく話しかけてきてジョンを苛立たせている。
私は花嫁が空高く投げたブーケを見上げ、その日差しが眩しくて諦めたけれど。
でも、周りが騒がしく楽しくて笑い声をあげた。




