12 エーリク視点 〜面白い彼女
この話は本編と全く同じです。
読み飛ばしても大丈夫です。
――先程の出会いから驚かされた。
思った以上に気が強そうな彼女。
そして彼女を守る様に後ろに立つ二人の視線の強さに。
「彼女は、なんというか独特なタイプだね?父上も気に入ったみたいだ」
道中に彼女の護衛に充てたエダンに声を掛けた。
「ええ。とても逞しく強い女性です。実家を後にした時の彼女も痛烈で見ていて胸がすく思いでした。辺境までの旅程でも弱音など吐きませんでしたよ」
――ただ、だからといってまだ年若い女性だ。伯爵家ではあまり良い境遇とはいえないと聞いていたから、この話を申し込んだが……。
「………一言だけ、幼馴染みとして申し上げても宜しいでしょうか」
「ああ。お前の率直な意見が聞きたい」
「貴方が、ユリア嬢を伴侶として選んだって別にいい。だが、他人の人生を利用する事の重みを理解しておけよ。そして、利用しているつもりでも逆に食われる可能性もあるって事もな」
――凄いな。エダンにまでここまで言わせるとは。
彼女の力強い瞳。あの強さは、辺境の男を惹きつけるのかもしれない。
「面白いな、そこまでお前に気に入られたのか彼女は」
――ユリアは弱い。この辺境で生きていけない程にか弱すぎる。だから、今回の白い結婚の提案だった。
没落した男爵家の、平民に落ちぶれた彼女を守るために。
でも、自分がイリーナの立場だったら。
実家に売られたも同然で嫁ぎに行き、形だけで、愛も得られずにそのまま放置されるなんて耐えられるのだろうか。
(ユリアなら耐えられないだろうな)
「参ったな。警戒するべきか、味方に引き入れるべきか。……それにしても従者の彼も面白かったな」
射殺しそうな眼差しで。でも、彼女には気づかれないように、こちらを最大限の憎しみを込めた目で見ていた。
面差しには人間性と感情が出る。
きっと、彼女を大切に想っているのだろう。
そして彼女の為なら何でもすると既に決めているのだろう。
それにしても。
彼女を軽んじてはいけない。
――そう警戒させる力強い瞳だった。あの翠の瞳は。
彼女が食事を終えた後、面と向かって話してみよう。ユリアも紹介しなければ。
彼女なら、陰湿さを感じさせない彼女ならば、ユリアの事を紹介出来るかもしれない。




