2011年6月10日④ 昔見た番組
2011年6月10日 午後10時50分
「へぇ~中学生や高校生もまだ勝ち残っているんだ・・意外・・あっ昭芳!一人はTAIGAだよ」
神田志穂が羽賀根昭芳に向って三次試験の結果を見ながら言った。
「ああ、ホントだ・・本名は長門大我か・・まあ、あの頭の切れ具合なら順当に勝ち残っていても不思議じゃないな」
2次試験の時、作戦でゲーム機を交換した高校生だ・・
「あの女の子は中学生か・・結構可愛いじゃない」
3人ではしゃいでいる彼らを見て昭芳が答えた。
どうやら仲間って感じではなさそうだ・・この試験で知り合ったような関係ってとこか・・
「昭芳はあんなコがタイプなの?」ニヤニヤしながら志穂が聞いてきた
「いやいや、タイプというか・・アイドル級の女の子を生で見るの初めてだからさ」
ツヤツヤの黒髪のショートカット、整った顔立ち、大きな瞳・・・これから大人になったらもっと綺麗になりそうな子だなと昭芳は想像した。
「さて、皆様!3次試験が終わったばかりで大変恐縮ですが・・これより第4次試験の会場にご案内致します」
ベテランアナウンサーの武田美枝子が3次試験の合格者に伝えた。
「えっ、早いなあ・・」少し驚いた神田志穂が呟いた。
「だな・・・」昭芳も同調した。
「4次試験会場にはバスで移動しますが皆様には、このヘッドホンとアイマスクを着用して頂きます。移動時間は13時間を予定しておりますので、今のうちに、お手洗いのご利用をお願いいたします」
「13時間ってちょっと長いよね」志穂がちょっと不安げな表情を見せた
「確かに・・しかし、バスで13時間っていったら、おそらく・・」昭芳は少し考えた
「おそらく?」志穂は昭芳の目を見た。
「まあ、わかんないけど・・距離的には北海道か九州・・でもバスで北海道に行くにはフェリーを使わないといけないから・・」昭芳が言うと・・
「じゃあ、九州ってことね。私たちの地元が近いから、有利になるといいね」
昭芳と志穂は一次試験で福岡の会場で知り合った仲だ・・
「それにしても、ヘッドホンとアイマスクね・・昔、似たような番組があったな・・」昭芳が昔見た番組を思い出しながら言った。
「あっ、それ知ってる電波少年っていう番組でしょ、アイマスクとヘッドホンをしてどこかに連れて行かれるっていう」
「そうそう、あの番組。まさか自分がどこに連れて行かれるか分からないなんて状況になるとはな・・あの時の出演者の気持ちが今、少しわかってきたよ。まあ、こんなこと考えるよりも先にトイレ済ましてた方がいいですよ、志穂さん」
「そうだね、まずはトイレの心配ね」笑いながら志穂は言った