表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エリス・ミドル  作者: 飴色茶箱
8/91

2011年1月23日 テレビ局の敏腕プロデューサー

2011年1月23日


「亜由美ちゃん、お疲れ!今日は表情もよかったし満点だったぜ♪」


新日本テレビ内の自販機が並んでいる、リフレッシュルームで笑顔の可愛い新人アナウンサーの新藤亜由美に声をかけた。


自販機からジョージアのエメラルドマウンテン缶コーヒーを取り出した斉藤は亜由美に差し出した。


「あっ斉藤さん、ありがとうございます。」ニコニコしながら新藤亜由美は返事をした。


新藤亜由美の笑顔を見て、(新人アナは元気があっていいねぇ~・・)なんてことを思いながら、テレビ局でプロデューサーをやっている斉藤密流は、たばこの煙を肺に入れた。


「ふぅ~・亜由美ちゃんはたばこ吸わないんだっけ?」


「はい、斎藤さんはタバコが似合いますねぇ」


「そうか?」


「なんか、大人の男って感じでカッコいいです」


「最近は、たばこの値段も上がって、高額納税者だからな!少しは敬ってもらわないとな」


「フフフ、斎藤さんって面白いですね。」


斉藤密流は東大卒で社内でも出世頭として一目置かれる存在だった。入社五年目にして早くもプロデューサーを任され、手がける番組もなかなか評判がよかった。そして最近になって、ようやく自分の描いている番組が作れるようになってきた。




毎日の仕事が絶好調な、そんな時、社員食堂で日替わり定食を食べている時、他の制作部隊の面白そうな話を聞いた。


「なあ、今度の番組は新日本テレビ開局30周年記念として、今までに見たことのないような番組を作るらしいぜ」


「今までにない番組って?」


「何でも、大金持ちの遺産を優勝したものが手に入れるという番組らしいぜ」




今度、七時間特番で最強の無職を決める番組をつくるらしい。特に面白いと思ったのは、話を持ってきたのが、日本でも10指に入る個人投資家らしく、優勝者にはその投資家の資産を相続する権利がもらえるらしい。


(いったい、いくらぐらいになるんだ?・・・)


その投資家、御堂賢一は62歳。まだまだ死ぬような年じゃ無いんじゃないかと思ったが。医者から肝臓ガンを宣告され余命がもう一年無いらしい。


テレビ局はこの企画に乗り気だ。制作費はすべて、御堂賢一に出資してもらえるのだ、つまりノーリスク!!こんなにうまい話はない。


斉藤密流は情報をテレビ局で入る情報は、すべて集めた。とはいっても、大まかな内容しか分からなかったが、一次試験は学力試験、二次試験は体力試験・・ここまではテレビ局との打ち合わせで事前準備も行われるが、ここから先がわからなかった。


おそらく、投資家側だけで準備した試験をこなしていくことになるだろうか?ここからは、テレビ局も追っかけるだけとなる。




「面白い!!」




気づいたら番組の話を聞いたその日のうちに会社を辞めていた。



「え~斉藤さんやめちゃうんですか~」「突然すぎますよ、どうしたんですか」「これからじゃないですか~」机の荷物をまとめていると、社内の社員から会うたびに声をかけられた。


「ちょっと、他にやりたいこと見つかってさ・・・悪いなみんな・・」



未練はない。



三ヶ月にも及ぶ試験は無職じゃないと出られない。ならば辞めるしかない。

「人生は一度きりだ!楽しまないとな!」


一次試験開催は4月30日。エントリーは4月10日まで、まだ時間はある。とりあえず勉強、運動で一次試験、二次試験の準備だな。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ