2011年5月9日③ 勝負は一瞬
2011年5月9日 午前11時47分
《YOU WIN》と画面に表示がでた。
勝負は一瞬の内に決まったユキナがぎこちなく雷系の魔法サンダーを唱え、その閃光が煌めいた。ほんの一秒後。辺り一面が炎で包まれた。雷の音に紛れてわずか一秒の間にシンゴがレベル7の炎系魔法ファイアーを発動したのだ。
レベル7のファイアーは自分の周り3~5メートルを焼きつくすという魔法だ。
8人の男達はユキナのサンダーに気を取られ。晋吾の魔法にまるで対応できなかった。
《倒した相手をどうしますか?》
・とどめをさす・身ぐるみを剥ぐ・捕える・何もしない・
体感スコープにコマンドが表示された。
「すご~い、晋吾❤よくそんなレベルの高い魔法が一回の練習でできるね」
優季菜は感心して言った。
「まあ、ね・・この囲まれた状況だったらこの魔法がベストだと思ってね」
「しかし、凄いな。半分倒せたらOKだと思っていたけど。一発で仕留められるとはね」
晋吾は意外そうに言う。
「まだ、この人たちも戦いに慣れてないのよ。ゲームが発売されてまだ二日目だし・・」
「だろうな・・人数だけ集めても、このゲームは勝てないってことだな」
「とりあえず、どうする?この人たち」優季菜は晋吾に聞いた。
「そうだなぁ」晋吾はちょっと考えた・・
「勘弁してくれ、勘弁してくれ」男達は口ぐちに言った。
《身ぐるみを剥ぐ》をシンゴは躊躇いなく選択し、さらに《すべて奪う》を選択した。
・とどめをさす・捕える・何もしない・
残りのコマンドが表示された。
《捕える》を選択すると[捕獲]の表示に男達8人の名前が表示され、バトルモードは終了した。
「うわ~晋吾・・容赦ないね・・」
「あれ?ユッキーは見逃してあげた方がよかったの?」
「そんなことないけど・・ゲームとはいえ実際にお金奪ったのと一緒だから・・なんだか可哀そうだなって・・」
「ま、自業自得だろ。俺はバトル開始前に忠告してやったんだし」
「ふふふ・・晋吾って裕太と性格違うよね!」
「えっ!なに急に?」
「だって、裕太ならこの状況ならたぶん見逃してたと思うんだよね・・」
「そうだな、あいつなら多分、見逃してただろうな」
「それなのに親友って、なんだか面白いね」
「まあ、性格が違うからお互いの長所も分かるし欠点も分かる、似ているより面白いだろ?」
「そう言われるとそうね♪」優季菜は納得した。と同時に・・・
パチパチパチ突然、後ろから拍手をする音が聞こえた。
「いや~お見事です」ボイスチャットで話しかけてきたのは[タイガ]と表示された、魔物使い風のキャラクターだ。そして、その後ろには[ユミ]という白魔導士風のキャラクターもいる。
「貴方たちの闘い・・観戦モードで観させてもらいました。いやー凄いですねホント一瞬!」
「・・・・・」シンゴが無言だったので
「なにかようですか♪」ユキナはボイスチャットで明るく答えると
「実は・・」後ろに控えてたユミが口を開いた。