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エリス・ミドル  作者: 飴色茶箱
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2011年4月30日⑨ 交渉は緩急をつけて

2011年4月30日 午後14時50分 一次試験 東京会場



「お兄さん!」

春日優季菜はインタビューが終わった三輪裕太を呼び止めた。


「何、何か用?」そっけなく裕太は答えた。


「すみません、急に呼びとめちゃって・・」優季奈はペコリと頭を下げた。


(あ~さっきのインタビューで見てた通りの性格だ・・)優季菜は思った。

 「さっきのインタビュー見てました。すごいなぁ。もう試験終わったんですよね?」


「ああ、そうだけど」


優季菜は視線を泳がせながら小声で

「で、え~と・・その もしよかったら、ちょっと手伝って欲しいと思って・・」


「はぁ?何で俺があんたの手伝いをやらないといけないの?」

裕太は怪訝な顔をして言った。


(フフフ・・この対応も予想通り)優季菜は内心微笑んだ。


「じゃ、じゃあ どうすれば、手伝ってもらえますか?」

困惑した顔で優季菜は尋ねた。


「俺が、あんたの試験を手伝って、何かメリットがあるのかな?」

皮肉っぽく裕太は言った。


このタイプに直接的な色仕掛けは通用しない・・経験から優季菜は感じた。

そして、プライドが高いので何かと交換条件っていうのも成功率が低く感じられた。

とすると、残りの方法は・・・


「あの・・私、競馬が得意なんです。プロ馬券師だから。今度、よかったら・・

え~と。」優季菜は困ったような表情を浮かべた。


「俺に競馬の勝ち方教えてくれるってこと?」裕太は訊いた。


「いえ、今度。一緒に馬を見に行きませんか?私、馬の表情が読めるんです」

優季菜は力強く自信を持って言った。


ちょっと驚いて裕太は「あはははは、君、面白いね ははは」


「やるよ、これ、答え合わせ用に、メモっておいた回答だけど・・まあ、復習するレベルの問題でもなかったしな・・」


「ありがとうございます、助かりました」フフ・・上手くいった。そう思いながら優季菜はメモを受け取った。


「上手くいったって思ってるでしょ。今」裕太はニヤリとしながら優季菜に言った。


「えっ!」優季菜は一瞬不意を突かれた振りをした。しかし、すぐに笑顔で

「ウフフ♡ばれてました?鋭いですね裕太さんは心が読めるんですか?」

笑顔で裕太に返した。


「あははは、ばれてるのも、あんたの中では計算済みでしょ。うまいねぇ、まあ、そういう奴も嫌いじゃないけど」


そう言いながら三輪裕太は会場を後にした。


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