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エリス・ミドル  作者: 飴色茶箱
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2011年4月29日 自分はどこまで飛べるのか・・

2011年4月29日


上田城の千本桜祭りも終わりようやく、最近は暖かくなってきた。


上田駅で駅そばを食べるのは、高校受験からの願かけだ。上田駅でそばを食べて大学受験も入社試験も合格してきた。大輔にとっては縁起の良いジンクスだった。


「大輔が会社辞めるって、言った時は一時はどうなるのかと思ってたけど・・この二ヶ月間よく頑張ったわね。今までで一番努力したんじゃない?」


「そうだね、母さん」


ふとしたことから一月の終わりに東京にあるBARで「最強のニート決定戦」の存在を知った。


大輔は一ヵ月間、毎日悩んだ。


そして二ヶ月前、五年と十ヶ月勤めた会社を辞めた。


特に不満があったわけではない、人間関係も良かったし、給料にも満足していた。ただ、自分はもっと他のことができるんじゃないのか?それを見つけるために、テレビ局の「最強のニート決定戦」に出場することにした。


仕事を辞めて二ヶ月間、今までの事が猛スピードで駆けめぐる。みっちりと準備したんだ。簡単には負けない。負けるはずがない。


この二ヶ月間はすごく充実していたように思う。「最強のニート決定戦」は知力、体力に自信のある者を募集していた。


知力、というのは何を指しているのかよく分からなかったので、朝6時に起きて、昼の12時まで大学入試用の勉強。


科目はセンター試験で使われる科目すべてをまんべんなくやった。13時から16時まではスポーツジムで汗を流し、18時から21時までは、新聞を読んだり、クイズやパズルを解いたり、あるときは、なぞなぞを解いたり、雑学を蓄えたりした。そして22時から23時までは1時間みっちり走り込んだ。


大学入試の勉強をしていると、今になって目から鱗の知識だと感じる、何で学生時代、もっと勉強してなかったんだろう・・体力も体を動かすのが楽しい。


心身共に研ぎ澄まされた状態、人生の中で今が一番肉体も精神も研ぎ澄まされていると感じる。


自分を磨くってのも、たまには悪くないな。この自分を磨く時間がとても貴重に感じられた。



負けるはずない・・当然勝ちに行く・・どこまでならいける?自分はどこまでやれるのか考えるとワクワクしてきた。



「大輔!精一杯頑張っておいで!!応援してるわよ」


「ありがと、母さん」城戸大輔は明るく母親に言った。



「負けたら、またすぐに働くから、心配しないで」

大輔は控えめな作り笑いをして言う。


「別に心配なんかしてないわよ、貴方の好きなようにやりなさい」


いい母親を持ったな・・・自分がここまでいい準備ができたのは彼女のおかげだ。大輔はそう思いながら、静かに頷いて母に手を振った。


「ああ、じゃあ、行ってくるよ。」

そう言って新幹線「あさま」の1号車の自由席に乗り込んだ。


一次試験は全国五会場で同時に行われる予定だ。会場近くで一泊して、万全の体制で一次試験に臨もう。「よし!!やるか!」両手で頬を叩いて気合いをいれた上田育ちの大輔は東京に向かった。


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