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エリス・ミドル  作者: 飴色茶箱
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2011年2月2日 感謝の言葉

2011年2月2日



「どうです?紺野?テレビ局との交渉は?」パソコンの画面を見ながら御堂賢一は尋ねた。


「はい、準備は着々と整っています。それと、めぼしき人材のリストもここに揃えております。目をお通しください」


綺麗にクリップで留めている書類を賢一に差し出した。


「ほお」うなずきながら賢一はきれいに整理されたリストを手に取った。


「ありがとう、流石に仕事が早いですねぇ!」感心した表情で賢一は紺野をねぎらった。


「私の方も、気になる方には声をかけてきました。さて・・何人集まるか・・」


紺野由美、自分の秘書として雇って、15年、今、彼女は43歳・・


年齢の割には、綺麗な顔立ちで笑顔が可愛い。着こなしや化粧も丁寧でいつも手抜きがない。居るだけで安らぎを与えてくれる。言われたことは迅速にこなすし、意見を求めるとすぐに返事が返ってくる。時には私を驚かすほどのアイデアも披露した、かといって、仕事に口を出してくるわけではない。紺野がいると、ものすごく仕事がやりやすい。



しばらく間をおいて、御堂賢一は深呼吸した。



「紺野!今日は君に言っておきたいことがあります」



決意を決めたような賢一の表情に由美は心を痛めた。(いよいよ手術するのですね・・・)


「はい!なんでしょうか?」賢一の言うことは分かっていたがきちんと返答した。


「昨日やっと見つかったんです、ぴったりな体が・・・」


「本当ですか?よかったぁ、じゃあ、手術するんですね・・成功することを心の底から祈っています」

紺野は笑顔で言った。


「とりあえず、今までのお礼を言わせてください。」

「これまで、ありがとう、君と仕事ができて、本当に幸せだった。もっと君と仕事がしたかった・・・」御堂賢一は本当に寂しそうに言った。


「そう言って頂けるだけで、私には、十分すぎるお言葉です」紺野は涙がこぼれ落ちそうになった。


「私の方こそ今まで、ありがとうございました・・きっと成功しますよ。手術。また、一緒に仕事をさせてください」


「ああ、だと、いいんですが・・成功確率は限りなく低い」

そして言葉を続けた「私にもしものことがあったら、見届けてほしいんだ、私の後継者選びを・・君に監査役を頼む、詳しい指示はこのノートにまとめてあります」


「わかりました、責任を持ってお受けします」紺野由美はニコッと優しく微笑んだ

「四ヶ月前に賢一さんから、癌の告白を受けたときからわたしは・・」


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