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仙女の碁盤!  作者: あべもちけい
4/19

第4話 図書委員の夏

「行ってきまーす」

「行っておいでー!」

「あ、私もっ!」

「違う学校の子が行っても仕方ないだろう。生徒手帳、見せてみ?」

「あ・・・・・・」

迂闊だった。生徒手帳とはなんぞや。

(おい、せいとてちょう、ってなんだ)

(あのなぁ・・・学生ならみんな持ってる。こういうのだよ)

副店長にばれないように、爛柯にこっそりと見せる。

(なるほど・・・自分の名前や写真を入れた小さな手帳のことか)

私はちょちょいとそれをまねて作り上げた。

(こんな感じでいいか?)

(まぁ・・・いいけど。それも仙人とかの力?)

(まぁね。正しくは、仙女)

(むぅ・・・・・・)

なんだか解せない。目の前で非現実な事を見せられても、すぐに納得などできない。

「へぇ・・・2年E組ねぇ。なんだ。まおと一緒のクラスじゃないか。この前の授業参観では見なかったな!」

「さ、最近、転校してきたんだっ!」

「こんな別嬪なのに黙ってたなんてねぇ・・・」

(別嬪とか)

俺はあらためて少女? の事をじっと見つめた。

なるほど。副店長が言うだけのものはあるかもしれない。

少年週刊誌の表紙に飾られていてもおかしくない美貌だ。

「ほれたか? 少年」

「ばっ・・・!」

俺は思わず顔を赤らめる。

(あんた、確か千年生きてるとかなんとか言ってなかったか?)

(言ったぞ。言ってやったぞ?)

(く~~~~~っっっっ!)

なんか悔しい。ロリじゃなかっただけ耐えられた。

「で? 仲良く委員会活動というわけか?」

「まぁ・・・ね?」

俺は首をかしげる。これのどこが仲がいいんだろう?

(図書委員会?)

(あーもう、面倒くさいなぁ・・・学校での委員会活動だよ。委員会も説明した方がいい?)

(そのあたりはなんとなく分かる)

「なんだなんだ。さっきからこそこそと。堂々といちゃついていいからな?」

「ないわっ!」

「ないっ!」

「ほら、あんたも、カマトトしてないで、普段の今の調子でしゃべってもあたしは構わないから」

「バレてるし。カマトトだって」

俺は笑う。

「~~~~~! いらぬ恥をかいたわ!」

顔を赤くしながら、二人、通学路を行く。

「で? なんで休みの日なのに学校に行く?」

「本当はだいたい毎日みんな行ってるんだけど。俺は、委員会活動しかやってないから、

当番制で週に3回15時ぐらいまでやってるんだ」

「何をするんだ?」

「図書室にある本の貸し出しと整頓かな。誰もいない時間は、自分で本を読んでいてもいいし」

「そもそも、現代のことにあまり詳しくないのだが、学校では囲碁は習わんのか?」

「今時、囲碁部とかも少ないからねぇ。確か、少人数で来年あたり潰れるんじゃないかという

ぐらいの囲碁部なら、あったような」

「なぜ入らない?」

「人数が少なすぎて、部長やらされそうだから」

「それでもいいのではないか?」

「店の仕事があるから」

「・・・お主、どこか達観しているようなところがあるな。仙人もびっくりじゃないか?」

「ふーん」

どこか素っ気ない部分のある少年だな、と訝しむ。どこか世間を遠くから眺めているような。

「まぁ、ある意味、図書委員も結構忙しいし。そういうのも悪くないでしょ」

「スポーツはやらんのか?」

「ま、できないし」

(できない?)

迂闊な事を聞いたか? と訝しむ。

「それに、今時の囲碁、なめちゃいけないよ。今時は、頭脳スポーツだとかも言われてるし。

だから、それで充分さ」

「・・・・・・」

こいつは、いろいろと問題を抱えていそうだな、と考える。

パートナーにしたのは迂闊だったか。

「とりあえずさ、同じ学校だっていうことにしたんならさ、それなりに勉強はして行ってよ」

「まぁ、そうさな」

今時の下界の事情も知っておかなくてはならないし。

「その、委員会とやらは、忙しいのか?」

「まぁ、それなりに。本がちゃんと整理整頓しているかチェックしないといけないし、

図書の貸し出しもしないといけないし」

「図書の貸し出し?」

「本をタダで借りられる」

「へーーー・・・ほーーーーーーただで!?」

思わず知的好奇心が上向きになる。

「ま、貸し出しカード、作ってやるよ」

「あ、あぁ」

「貸し出しは一週間に2冊まで」

「1日で充分じゃないか」

「・・・・・・」

どうもやりづらい。等身大の少女のようでいて、中身は千年は生きている仙人なのだ。

「まぁ、千年、と言ったが、あくまでもたとえじゃ。正確には3千年じゃよ?」

「3千!?」

「まぁ、西王母さまともなれば1万年・・・いや、もっと生きておられるじゃろうが」

「西王母!?!?!? 会った事、あるの!?」

「会った事もなにも、上司じゃ」

「ぶっ」

俺はむせる。いろいろなファンタジー伝奇ではよく見かける西王母。それが、目の前の少女の上司。

「な、なんの仕事をしてるって言ってたっけ?」

「主に、天界の森羅万象を司る碁盤の管理じゃ。神々と仙人との囲碁の試合の調整なぞもしておる」

「・・・・・・っ」

俺は、さっきから咳き込みっぱなしだった。

(どうしよう。偉いやつに出会ってしまったのかもしれない)

むしろ、頭の中で、警報が鳴り響いていた。

「どうした? 私が言ってる事がけったいな事に思えて来たか? ならまた浮いてやろうか?」

「い、いいですいいですっ!」

何故か敬語になってしまう。いろいろと巻き込まれたくはない。



(あーもう、なんでこんなことになったんだ)

俺は、図書室の受付カウンターに、少女と二人で座っていた。

幸いにももともとこの図書室は利用者が少なく、借りに来た事がめったにない。

「はい。これが、貸し出しカード。本当は、自分の印鑑を押すんだけど、ないだろうから名前書いておいて」

「あ、あぁ」

しどろもどろ、『後爛柯』と書く。

「まぁ、私も事が終わればすぐに仙界に戻るから」

「で、紛失したのは黒石全部って事ね」

「そうだ」

「団体戦とかイベントとかでカッツリと回収できればいいとして」

「囲碁のイベントとかもあるのか」

「まぁ、この町でも町おこしの一環として、囲碁のイベントが夏休み中に開催されているんだ。

俺達も、参加予定だけど、正式な囲碁部はあるから、あくまでも個人参加だけどね」

「ふむふむ。で、お主は何を読んでいる?」

「これ? 詰碁の本。なんだかんだと、跡取り息子としては、勉強しておきたいなと思って。

図書委員だったら、自分のリクエストも通りやすいのが利点かな」

「なるほどなるほど」

「なんだかんだと、さ」

俺は、爛柯に、と言うよりも、自分に語りかけるように呟く。

「俺、どうしようもなく囲碁が好きなんだよな。めちゃくちゃとっちめられても、嫌な思いを味わっても、

立ち直れない程悔しい思いをしてもさ、また、いつの間にか囲碁と向き合ってるんだ」

「性分、だな」

「好きとか嫌いとかのレベルの話じゃないんだよね。なんなんだろうね、こういうの。趣味とも違う

レベルの話」

「お主、意外と、囲碁仙人に向いているのかも、しれないな」

「!?」

俺は、ガタッと立ち上がる。

「囲碁仙人!? やめてくれよそんな冗談! 俺、店を継がなくちゃならないんだしっ」

「まぁ、店を継いだ後でも、なれなくはないがな」

「死んだ後、とか?」

「冗談じゃよ」

「図書室では静かにしているようにっ!」

「なるほど、そういうものなのか」

そう言えばその辺の説明をしていなかった。いろいろとやりにくい。

俺は呼吸を整えながら椅子に座りなおす。


「失礼しまーす」

その時だった。一人の少女がおそるおそる、本で顔を隠しながら図書室へと入って来た。

「本を返しに来ましたっ」

三つ編みおさげで眼鏡の少女だな、と爛柯は思う。

(ん? 詰碁の本? タイトルは、『受と攻の攻防』? ふむ、しのぎの事かな?)

「あ、あの。この本とても面白かったです。薦めてくれてありがとうっ! 

し、白がとても鬼畜すぎて興奮しましたっ!」

「面白かったなら嬉しいよ」

「?」

私は謎のニュアンスを、そのセリフの中に感じ取る。だが、それが何を意味するのかまでは分からない。

「次はこのシリーズの続きを借りてみたいですっ。どこにありますか?」

「それなら、この間の場所の近くだよ?」

こなれたように立ち上がると、少女を案内し、迷いもなくその本があったと思われるスペースがある

場所へと誘導する。

「へぇ・・・わりと、囲碁関連の本がいっぱいあるんだな」

私は二人の後ろから、蔵書のタイトルを目で追う。

「ひゃ!?」

「こら、爛柯、駄目じゃないか。びっくりするだろ?」

「・・・爛柯? 聞いた事ないかも? 囲碁の別名ではあるけど。もしかして囲碁の化身とか!?」

私はびくっとする。まぁ、森羅万象を司る囲碁の碁盤を管理するのであれば、ある意味そうかもしれない。

「碁盤の管理を任されてはいるが、化身ではないよ」

思わずぼろっと言ってしまう。

「まお君、ここに丁度、囲碁を分かる人が1名います。さて、私達2名を加えると何名でしょう」

「3名、かなー」

何を言いたいか分かる分、遠い目をしながらおもむろに言う。

「団体戦、できるよねーっ!」

「団体であれば、ね」

「囲碁部に入ろう!」

「断定前提で言われたっ」

「もったいないよ。君ともあろうものが。今時、”囲碁が好きだからやってるだけなんです。勝ち負けなんて

気にしてないんです!”なんて、天使みたいな人、いないよ~!」

「気にしてはいるけど」

なんだか変な方向に脳内で変換されているような気がしてならない。

「君にはもう一人、男性ライバルが必要なんだよ。それも、金髪超絶美少年とかっ!」

「何かの読み過ぎ」

「銀河の興亡をかけて、盤上で攻防が繰り広げられる!」

「あ、それ、普通に普通の事だけどね。今こうしている間にも、我々は碁盤の森羅万象の中の一つの事象に

過ぎず」

「あなた、爛柯ちゃん、だったっけ!? ぜひ、囲碁部に入って!?」

「えっ」

まだ世間の事も知らない事が多いのに、いきなり部活と言われても。

「この子さ、中国から短期間留学しに来ただけだから、数か月もすれば帰ってしまうよ?」

いろいろとトラブルに巻き込まれるのはごめんだ。適当にあしらう。

「夏休み、遊びに来てくれるだけでもいいからっ。まお君も」

「ところで、あなたのお名前は?」

肝心なところを聴きそびれるところだった。

「私? 私の名前は草田弥生。よろしくっ! あ、これペンネームじゃなくて、本名だからね!」

意味が分からない。

「囲碁ってほんと、テレビを見ているだけでたまらないわっ。いい年ししたおじさまが、

攻とか受とか何事もなかったような顔をして言ってのける! これが天国じゃなくてなんなの!?

そこにしびれるあこがれる!」

「なんだか、ねじ曲がった美観の持ち主なのだろうな、ということは分かった」

性癖、と言わないでおいてやっただけでもありがたいと思え。

後で、その辺調べておこう。これからも関わりがありそうだし。

「そういやさ、今年の夏は忙しくないの? いつも祭りがあるから忙しいとか行っていたのに」

「今年はどうもねぇ、イベントとか中止になることが多くて」

「そうか。そっちもか。なんか地球、全体的におかしなことになってるな。バランスが崩れたというか」

「そっちも?」

「お店の方もどうもね。なんとか副店長は立ち直ったみたいだけど、俺が継ぐまでに店がなくなったら

洒落にならないし」

「そっちも大変ね」

「まぁね」

地球全体が、どことなくおかしなことになっている気がするのは否めない。

爛柯が言っていた宇宙を司る碁盤の石の消失に関わったりするのだろうか。

「学生は、大変だ」

「同じく」

まぁ、勉強をしていれば学生の本分だと言われれば勉学できるだけでもありがたいのだが。

「まお君はさ、やっぱり囲碁部に戻るつもりはないのかな」

「うん、まぁ・・・」

好き嫌いの世界だけではない。勝負の方へバランスが傾きすぎてしまった分、

俺の内面は崩壊した。

「裏切られるのはもう嫌だからさ」

「まあ、引きずってたんだ」

たかが1年、されど1年。あんな嫌な思いだけはしたくない。ひたすら相手をつぶしにかかって来るだけの

囲碁にはぶちあたりたくなかった。

「あれさあ、AIだったんでしょ? 仕方ないじゃん。たぶん、あんただけじゃないよ」

「それはそうだろうけど」

部活の特訓に導入されたAI。部員はほぼ壊滅的にのったうちにされ、気力をごっそりと抜かれた。

立ち上がるだけの気力すら、奪われた。

「あのプログラムを作った奴は、きっと、悪魔か何かに心を売ったんじゃないかって思う」

「まぁさ、コンピューターがそれこそ心をもって、相手によって違う棋風にしたりしたら

それこそ大変じゃない」

「そうだけどさ。まだ、そいつと戦いあってるお前はえらいと思うよ。動機が不純だとしても」

「鬼畜キャラ大好きッ子ですからっ!」

意味が分からない。関わりたくない世界だった。

「ほんと、お店を継ぐんなら、賞の一つや二つ、取っておいてもいいと思うんだけどなぁ」

「……碁石が、つかめないんだ。震えて」

「まだ、治らないんだ、それ」

「まぁ、ね。囲碁の本読んだり、テレビを見ていたりする分には構わないんだけど、

面と向かって、試合ができない」

「それでも強いんだから、羨ましいのになっ。いつでも戻って来てくれていいのに」

コンピューター囲碁、そのものもトラウマになっているから、あえて彼女はそれを薦めない。

「それでも好きでいられるだけ、すごいと思うんだけどな」

好き、ということなんだろうかこれは。いつかそのAIに復讐をしたいという気持ちも含まれていない

だろうか。復讐したいと思ってみても、勝てないのが分かっているから、

こう、立ち直れないままでいるのではないだろうか。

「本当に嫌いになったら見向きもしないはずだし。そうなってもそれでも好きってことは強いんじゃない

かな」

「実力が伴えば、ね」

「・・・・・・」

爛柯は、二人の事をじっと見つめていた。

「仲がいいな、二人とも。腐れ縁というやつか?」

「腐れ縁! いい響きよね腐れ縁! 分かってる、爛柯ちゃん!」

なぜか、鼻息荒く、両手を握りしめてくる。どうやら、なぜか気に入られたらしい。

「最近、何か囲碁で困っていたりすることはないか?」

おそるおそる、ポケットの中にある携帯の電源を入れておく。

「しいて言えば、マンネリかしてるってところかな。受と攻が進歩しないというか。

それ以上の手を編み出せないあたりが不満かな。新しい要素がほしいところ!」

何か、異次元の言葉を話しているように聞こえるのは気のせいか。

理解したら最後かもしれない。

(反応なし、か)

そっと携帯の電源を切る。どうやら、この娘に石は入っていないようだ。


「貴様達、ずいぶんと暇にしているようだなぁ」

その時、ずいぶんとガタイの大きい教師が大量のプリンターを持って入って来た。

「この資料のホッチキス、手伝ってくれんかなぁ」

「えっ、でももうすぐ終了時間ですけど」

俺は時計を見る。当番が終了する時間まであと30分だ。

どうみても、今からやって終わるような物量ではない。

「そもそも生徒が手伝う事じゃないですよー」

草田も驚いている。

「どうせ、だべっているだけだろ、お前ら。俺の仕事を黙って手伝え!」

(俺の仕事・・・)

俺は不満げに草田を見つめる。

(こいつ、なんか嫌な感じするな。いっそのこと、囲碁の勝負しかけられないか?)

初対面でも、その男教師の印象は最悪だった。

見れば、まおもこちらの様子を伺っていた。


「仕方ないな」

私はポリポリと頭を描く。こういう事務処理的な仕事は山のようにやってのけて来た。

「終わらせれば、いいんでしょ? 見本は」

「お、おう? 見かけない生徒だな? まぁ、終わらせてくれるんだったら構わないが」

「なるほど。その変なハサミみたいなので挟んでいけばいいのね」

仙女をなめんなよ、とそのハサミみたいなのを両手で構える。

「爛柯、ホッチキス、使った事あるの?!」

「ほっちきす?」

「使った事がないとな。今時の学生ってやつは」

その言葉にカチンと来る。

「手伝うぞ、爛柯!」

「私も! 早く帰らないと再放送に間に合わないし!」

それぞれ、理由はどうあれ、手伝ってくれるのはありがたい。

「これで、どうかしら?」

教師は、ぽかーんと硬直したままだった。頭の上に、資料を全部積んでやる。

「あ、ありがとな」

「どういたしましてっ!」

教師はものの5分で終わった事に驚きつつも、何も文句を返せず図書室を出て行った。


「なんだあの教師は。態度がなってないな」

「おかしいなぁ、あの先生、普段はああじゃないんだけどな?」

「まるで、別人だったねぇ」

その割に、石の反応はなかった。なんなのだろう。

「とりあえず、そろそろ、帰る支度をするとするか」

「なんだかよく分からなかったけど、私も帰ろう。あ、そう言えば爛柯ちゃんって、

どこに住んでるの? 次の学期から授業に参加する?」

「まぁ、事情が長引けばその可能性もないが、家ならこいつの家だ」

「えぇええええええええーーーーーー!?!?!? びっくりだよ、まお君!? いつの間に

何その萌える展開!? こいつとか言われてるし!?」

「萌えるな萌えるな。よく分からないから萌えるな。

爛柯は短期間だけ家に泊まる事になった留学生だ。うん、そんな感じ」

「そんな感じ?」

「気にしない気にしない。さ、図書室もそろそろ鍵をかけるから、身支度身支度」

「それにしても、すごかったねぇ、さっきの爛柯ちゃん。まるで拳法の達人みたいだった。

やっぱ本場で習ったの?」

「まぁ、武術も多少なりには。囲碁をたしなむのに多少必要だし」

「すごいなー! 本格的だね! おしいなぁ。爛柯ちゃんも囲碁部に入ってくれればなぁ」

「囲碁部とやらに入ると、何があるんだ?」

「そりゃ、毎日碁が打てるし、部費でいろんな大会とかイベントとか出られるし、

新刊のネタも浮かぶし」

「新刊のネタ?」

「な、なんでもないなんでもないっ。でも、せっかくだからこの3人で部活やれればいいのにねぇ、

まお君?」

「まぁ、囲碁を打たなくてもいいんなら」

「この、ひねくれもの。人一倍囲碁が好きなくせに」

「・・・・・・そのAIとやらは、さぞかし強い人物なのだろうなぁ。一つ、勝負してみたいものだが」

腕が鳴る。

「いやいや、AIって人じゃないよ、コンピューター」

「こんぴゅうたぁ?」

「ま、今度来た時にでもやらせてみたらどうかな」

「うん! やらせてみる!」

なぜ鼻息を荒くするのか分からない。分かったらアウトのような気がした。


ともあれ、無事に帰れそうである。

(あの教師、なんか気になったのだがな・・・)

爛柯はそっと携帯をしまったのだった。

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