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第四話 ラクト村のレイナ

「へぇー村長さんは孤児院もやってるんですね」



俺とアリス様、そしてリリスは村長の家に招待されて一緒に夕飯をご馳走になっていた。



前菜のサラダから、クリームのスープにパン。



その他もろもろが並び、中々のご馳走であった。



「いえ、そんなだいそれた物ではありません。ただ、身寄りのない子供達を一時的に引き取り、里親が見つかるまで預からせて頂いてるだけですよ。この間も子供が一人巣立って行ったばかりでして、きっとあの子達も兄弟の様に仲良くしてましたので寂しい思いをしてると思うんです。ですから、もしよろしければ明日にでも子供達とお話しして頂ければと思いまして……。そのー……ご迷惑で無ければですが……」



「そんな、迷惑だなんて……。俺はこう見えてもおっぱいと可愛い女の子の次に子供が好きですから! あっ、でもロリコンとかそんなんじゃ無いっすからね。どんなにおっぱいが好きでも、流石に小さい子のおっぱいはストライクゾーンの外ですから安心して下さいよ!」



そうやって言うと村長のレイナさんは一瞬、ポカーンとしてからクスクスと笑った。



「リュウセイ様は面白い方なんですね。きっといいお仲間や人に恵まれて育ったに違いありませんね。羨ましい限りです」



「どうなんっすかね。まぁ、普通に育ったと思いますけど……。でも、それを言うならレイナさんの方こそ、慈善活動までやってしかもただの通りすがりの俺達までも招待頂いて……。本当に頭が上がりません」



そう言って俺はガバッと頭を下げた。



いやホントに善人っているもんなんだな。



「ホントよね。本来であれば、魔獣を倒したあたしだけが招待されていたはずなのに。なんでここにあんた達が居るのかしらね。村長さんもお人好しが過ぎてるんじゃない? ホント信じられないわよ。孤児院? の慈善活動もそうだけど偽善もここまでいったらただのバカよね」



そうやってリリスは、パンをちぎりながら悪態をついた。



「うるさいぞ、おっぱい剣士! 俺を馬鹿にするのはいいけど! レイナさんを悪く言うのは止めろよな」



「なっ! おっぱい剣士って何よ? それに、あたしは真実を言っただけじゃない!」



「真実なら何を言っても良いのかよ? 確かにレイナさんのやってる事は偽善かもしれない……。だけど、やらない偽善よりやる偽善って言うだろ? 大体、何もやらない奴が頑張って何かをやってる人を否定するのはおかしいだろ! お前はそんなんだから、彼氏の一人もできねーんだよ!」



「な、なんで……あんたはあたしに彼氏が居ない事を知ってるのよ! それに、今はあたしに彼氏がいようがいまいが関係ないでしょ! それを言ったら、あんただっていつも……え、えっちな事しか考えてないからモテないのよ!」



「おい待て! 俺がいつえっちな事を考えてるって言った? 俺はどんな時もおっぱいの事しか考えてない! それは邪念等なく、純粋におっぱいを一つの奇跡の芸術として捉え、心から愛してるからだ!」



そう言って、俺とリリスはテーブルを挟んていがみ合う。




「まぁまぁ、お二人とも落ち着いて下さい。今は村長さんのお家で食事中ですので……。リリスさんのお気持ちは分かりますので、わたしの方から謝罪させて頂きます。わたし達も事情があったと言え、リリスさんの面子を潰してしまった事には代わりありませんし……。本当に申し訳ありませんでした」



そう言ってアリス様は深々と頭を下げた。



「なんで、アリス様が謝るんですか……。悪いのはおっぱい剣士なのに」



「おっぱい剣士って言うな! それにあたしは悪い事を言ったとは思って無いわよ! ま、まぁ今回はそっちの可愛い女の子に免じて許して上げるわ! 感謝しなさい! けど、こんな可愛い女の子がこんな冴えない男と一緒に居るなんて……。世の中分からないものよね……」



「冴えない男で悪かったな」



確かにアリス様は、おっぱいだけじゃなくて容姿もめちゃくちゃ可愛い。



これは、良からぬハエがたからぬ様にちゃんと見ておかないといけないな。



特におっぱいを。



「そうですね……。リリス様には後で村の皆からと言う事で少しばかりですが謝礼をお支払いさせて頂きます。遅れてしまい申し訳ありません」



そう言ってレイナさんは、リリスに頭を下げる。



「あら、物分りのいい村長さんじゃない! この世の中は等価交換が基本ですもんね!冒険者や傭兵だって慈善事業じゃないし。じゃあ、後で部屋まで持ってきてね」



リリスはそうやって言うと、ご機嫌に食事を終わらせ部屋に戻って行った。



なんて言うか、言いたい事は分かるけどいけすかねー奴だなあのおっぱい剣士。



「あのー……。リュウセイ様方も私が至らないばかりにご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありません。本当に明日までと言わずにいつまでも居て下さって結構ですので………。リリス様もそうですが、一人でも多くの方がいらっしゃる方が私も賑やかで楽しいですし……」



レイナさんはそうやって言うと、すっと目線を奥にやった。



その先には、写真立てが飾られておりレイナさんと旦那さんであろう男の人と幼い娘さんが三人で笑顔で映る写真があった。



「あのー……その写真の方は?」



「そうですね……。少しばかり長くなってしまいますが、寂しい女の一人言だとでも思って聞いて下さい……。

見ての通り私は今は独り身で、この広い家に一人暮らしなんです。ニ年ほど前に娘と夫を事故で無くしまして……。

夫は本当に優しい人で、どんなに仕事が忙しくても家族の為に時間を作ってくれる人で……。本当に、本当に私には勿体無い位の夫でした。そして、娘は当時まだ五歳でこれから成長して行くのが本当に楽しみで……。いつも、お母さんの為にと庭に咲く花を持って来てくれる様な、本当に心の優しい女の子でした。いつも、毎日が幸せでずっとこんな日が続けば良いなと思っていた矢先です……。

それは、突然として起きました……。

その日は朝から雨が降り続けた日でした。夕食を取り終わって片付けをしていた時の事です。小さな事で娘を叱ってしまい、娘は泣きながら雨が降る夜に家を飛び出しました。そして、急いで追いかけようとした私を夫が、自分が行くからと止め。夫も娘を追いかけて出て行きました。

あぁ……きっと夫なら直ぐに見つけて戻って来るだろう。だから、私は娘の大好きだったパンケーキを焼いて帰って来たら謝ろうと思っていました……。

それから、一時間立っても、二時間立っても二人は戻って来ません。流石に心配になった私は、準備をして家を出ました。雨が降る暗い夜道をランタンで照らしながら二人の名前を呼びます。途中で、私の声に気付いた村の人が手伝ってくれもしました。

そして……。皆に協力して貰い捜索してから、一時間程たった時の事です。村の外から見つけた事を知らせる笛がなりました。それから私は笛がなった方にかけます。

その時の私は、あぁ……良かった。夫が娘を見つけて戻って来たんだ。きっと二人も寒い思いをしているだろうから、温かいミルクを用意して二人を暖めなくちゃと思っていました。

そして、二人の元に着いた時でした。それからの事は、あまり覚えていません……。聞いた話しでは魔獣に襲われ、見るにも耐えない姿になった二人を見て錯乱した私を村の人が止めてくれたらしく……。気付いた時には、葬式も終わっており私には一人で住むには大きすぎる家だけが残っていました……。

そして、当時の私は何度も二人の後を追ってしまおうと試みたのですが……。結局は、未遂で終わってしまい。それから、半年程たって落ち着きを取り戻した頃でした。私が身寄りのない子供達を引き取ろうと思ったのは……」



そう言ってレイナさんはとても悲しそうに、遠い目をした。



「そのー……なんて言うか、すいません」



ついいたたまれなくなり謝ってしまう。



「いえ、私が勝手に話しただけですから……。それよりも、こんな退屈なお話しを聞かせてしまい申しわけありません」



「その……俺がこんな事を言うのもおかしいかもしれませんけど。旦那さんも、娘さんもきっと天国からレイナさんの事を見守ってくれてますよ……。アリス様もそう思いますよね?」



「そうですね……。天界に行けるのは清らかな魂のみですが、お二人ならきっと大丈夫でしょう。神は常に人々の事をお見守りになっていますから……」



─────。



───。


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