現代の魔女
「ねぇ師匠」
「なんだい、弟子よ」
「何で師匠は百歳を優に越えてるのにそんなに綺麗な黒髪と美貌なの?」
「それはね、魔法を使ってるからだよ?」
「何で師匠の服はいつも綺麗なの?」
「それはね、魔法を使ってるからだよ」
「何で師匠はそんなに色々できるのに、こんなところに閉じ籠ってるの?」
「それはね、私が力を持ちすぎてるからだよ」
「何で力を持ちすぎると閉じ籠るの?」
「それはね、人間に嫌われ、蔑まれ、挙げ句の果てに変な理由で殺されてしまうのが怖いからだよ」
「過去の魔女狩りですか?」
「そうだよ。あれのせいで魔女も、そうでない人もたくさん死んだ」
「でも師匠」
「なんだい?」
「現代では魔女のための職業というものがあってですね」
「そんなのまやかしだよ」
「魔女のための職業斡旋所があってですね」
「惑わされるな、坊や」
「……師匠、僕の貯金が底をつきました」
「え」
「師匠の薬も薬学者が安く売ってて買い手が減りました」
「え」
「魔女の仕事って給料いいんですよ」
「……」
「働いてください」
「嫌だ!」
「働いてくれたら毎日身の回りの世話をしてあげます」
「!」
「郵便の受け取りもしてあげます」
「……ぐぬぬ」
「ゲームの二人プレイの相手になります」
「……仕方ない、俗世に降りるか」
「頑張ってください、師匠」