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マイの心【旅行編】

 私はマイ。アネゴ達と旅行に来ている。普通は寒いはずなのにここはとても暖かくていいとこ…。今はアネゴとマキとナナさんと一緒に自転車に揺られながら観光?ってことしている。自宅とは違って、凄く…青い空が広く見えていてちょっと気持ちがいい。


 でもね…私はあの時…アネゴから「この!死にたがりのくそ野郎が!!!」って、言われてから私の心はそのことで頭がいっぱい…、どうしていいのかもわからない。…ただわからない。本当に…何がしたいのか何をしていいのかもわからなくなっている。マキと星の砂を集めたけど…願いなんてよくわからなかった。


「おいマイ!」

「…なに?」


「星の砂がはいったビンを見るのもいいだがな!ぜってー振り落とされるなよな?二人乗りで自転車を再度加速するのって、結構しんどいからなー。だからな!しっかり掴まってろよ!!」


「うん」マイは星の砂をポケットに入れ、アネゴに抱きついた。


 私は、抱きつくのは嫌いじゃない…いい匂いがするから…。ちょっと心が落ち着くから…。アネゴの匂いを嗅いでいると…どことなくお母さんのことを思い出す。

 ……………あの時の私は…笑っていたのかな…。昔の私…。


「お母さん…」

「うっ…うう…な〜に…?」


 あの時ことは…覚えている。お母さんはよく、テーブルの上でうずくまっていた。いつも笑って、動き回っていたお母さんがテーブルから動こうとしなかった。私はお母さんを元気にしようと絵を描いてもっていった。


「あのね。パパとママの絵を描いたの!だから…見てほしい」


 私の描いた絵には、右に母親の立ち絵、左にお父さんの立ち絵、真ん中には私の絵をかいた。その絵をお母さんに渡した。だけど…あんなことされるなんて思わなかった…。


「んん〜……」


 お母さんは苦しそうに絵をとり、ジッと絵を見て、すぐにその絵の上の中心に手を持っていき、私の眼の前で私の描いた絵を半分に破り捨てた。あの時の私は本当に驚いた。いつも優しかったお母さんがそんなことするなんて…。


「え…ど…どうして…。ねぇ!お母さんなんで破いたの!?ねぇ!ねぇ!お母さん!なんで!ねぇ!なんでなの!ねぇー!」


 私はなんで破いたのか、何度も言った…。するとお母さんいきなりは立ち上がって、いきなり…。


 …パシッ!


 と、私のほっぺに平手打ちをした。平手打ちされた私はそのまんま、座り込み、しばらくお母さんと見つめあった後に、お母さんは絵について話し始めた。


「あんたの絵ね。破いたことで完成したのよ?…どういう意味かわかるかしらね〜?ほーんと…皮肉なもんよね。子供にまで侮辱されるなんてね…」


 お母さんは上から見下したような目で座り込んでいる私に言った。


「感謝しなさいよ。あなたの素敵な絵はね、その通りになる運命なんだからね。意味なんてわからないでしょうね。本当、悪魔みたいな子だわ。2度とそんな意味のない余計なことはしないことね」


 そう言うとお母さんは私が書いたやぶれた絵を床に捨て、足で踏みつけた。


「そんな…」


 この時だったと思う。私の中で何かがヒビが入るような音が聞こえたのわ。


「もうあんたなんかに興味ないから、部屋にでも閉じこもっていれば?かなり目障りよ?」


 そう言うとお母さんは携帯をいじりながらお酒を飲み始めた。私はなにもわからないまま、部屋に戻ろうと歩き始めた時だった。お母さんは最後にたぶんひどいことを言ったと思う。


「あんたなんかね〜。産むんじゃなかったわよ。本当、じゃまでゴミみたいな存在ね!」


 あの時の言葉、なんて言っていたのかわからなかった。けど…私はなんとなくその意味がわかった気がした。そして私は思った。私の居場所なんて…もうここにはないんだって…。


 あれからのこと…私はまだ思い出せないでいる。違う…思い出したくないだけなんだと思う。思い出したらきっと胸の奥がまたズキズキするから…涙が出ると思うから…。だから私は、もう笑うのも泣くのも嫌がることも怪我をしても、ぶたれても、私は何も思わなくないようにしてきた。だって、だれも助けてくれないのだから…。なんで…空は青いのだろう。もう成長したくないな…。


 だけど…アネゴとマキと暮らすことになって、私は少しだけ…元気になった…と思う。色々あったけど、この人たちは…、マキは優しくしてくれる。ミナさんもちょっと変だけど、優しくしてくれる。アネゴは…どうなんだろう…。私のことやっぱり嫌いなのかな。


 アネゴはこの旅行の間も私ことを嫌っているのだと、私は思う。だから私は…何もしないでいようと思った。それがいい気がするから。だけど…この旅行中は…アネゴはちょっと優しいな、と思えた。そんなアネゴは、私ことどう思ってるのかな…私もアネゴのこと…どう思っているんだろう…。見つめる先にあるアネゴの背中は大きくて、パパママみたいな大人なんだよね。私はこうやって、掴まるだけの仲なのかな。

 …考えてもわからない。でも…これからもアネゴ達の側にいようとも思っている。あの家とは違う…私の仲間…なのかな…。きっと、私は大丈夫。うん、大丈夫。いつも通りでいよう。この風のように…逆らわないように…。


 キッ!ガシャン!


「おっし!やっと着いたな!星の砂浜から遠くはなかったが、道がガタガタしてて疲れたぜ〜。マイ!自転車安定させっから動くなよ?そのあとに抱っこするからな!」

「うん」


「はぁ…やーっと、つきやしたっすね!大人二人で2ケツはさすがに辛いっすね…」

「あはは!まぁまぁ!帰りはあちしがこいだるし!安心し〜な!」


 俺たちは自転車をこぎ、コンドイ浜にたどり着いた。天気は晴れていて広い砂浜と広い海が見渡せた。


「おー!人が人っ子一人いねぇーじゃねーか!これならのんびり出来そうだな!」

「そうっすね!あっしは水着着てきてるので海に入ろうと思いやす!」


「ちょっと待ち〜マキやん?今シーズンオフって、知っとるか?なんの調査も整備もしとらん海に入るのはちょっと危険なんやで?」


「えー!そうなんすか!?見る限りでは大丈夫そうに思いやすが…」

「やめとき〜?クラゲに刺されるで!」

「えー…はぁ…せっかく着て来たのに…残念っす…」


「ありゃ…。まぁ!浅瀬ぐらいやったら大丈夫やと思うわ!がっつりは泳げへんけどそれでもいいなら大丈夫やと思うし!それで堪忍してなぁ!」


「おお!入れるんっすね!よかった!せっかく来たのに入れないのは嫌っすからね!それじゃぁアネゴ!ちょっと浸かってきやす!」

「おーそうか。楽しんでこい!俺はマイと話あっから、砂浜で座って待ってるぜ〜」

「了解っす!ナナさんも行きやしょう!」


「え!?あちしはいいよ〜!水着着てないし!それに…海は腐るほど入ったし!」

「大丈夫っすよ!この気温なら濡れてもすぐ乾きやすって!」

「もー足だけやで〜」


 マキとナナは海で遊び始めた。アネゴは抱っこしていたマイを砂場に座らせて、アネゴもマイの隣に座って話をはじめた。


「どうだ〜?まだ足痛いか?」

「うん、まだちょっと痛い…」


「そうか…」

「うん」


「…なぁマイ。この島に来てどうだ?何か変われそうか?」

「初めて、海を見た。ぐらいかな?」

「まぁ…、ガキからすればそれが初めての感想なんだろうな」


「ねぇ」

「うん?なんだ?」


「アネゴはどうして私の側にいるの?嫌じゃないの?」


「ん〜どうなんだろうな〜。最近はそこまで嫌じゃなくなったと思うぞ。たしかにお互いに嫌なことがあったわけだ。色々な方法でお前の親を探し出して、とっとととっ捕まえて、お前の親にお前を返品して、お金も返してもらって、いつも通りの生活に戻ろうとばかり考えていた。でもな、お前とすごしててその気持ちが結構、薄れていった。もう4?5ヶ月も一緒に暮らしてんだから情もわくわな…。家でも家事もしてくれているし、朝も起こしてくれる。ごはんだって、手伝ってもくれるしね。そんなお前を見てて俺も若干だがな!許さなきゃいけねぇーんじゃねーかと思ってきたんだよ。だからそろそろ距離を縮めねぇーと思ってな。今回の旅行の目的はそれなんだよ。お前との距離は遠かったからな〜。このままじゃいけねーとも思ったわけだ!わかったか?」


「わからない…」

「はぁ…要するにだ!」

「…ん?」

「マイ、俺たち…家族にならねぇーか?」


「え?」

「俺たちは仲間、それはマキと俺だけだったからだ。今回でマイもいるし、同居人数も3人だからな!仲間じゃなくて、家族の方が聞こえはいい方だと思うだろ?」

「家族…うん…」

「だからな!マイ!俺たちの家族になれよ!」


「……………」

「まぁ…否定権はお前にはないがな!ただお前がどうしても元の家族に戻りたいと言うのならそれでもいい…。子供は、本当の親の方が安心するからな…。決めるのはお前だぜ、マイ!」

「うん……」


「すぐに答えは出さなくていいが…俺たちの家に帰るまでにはいえよ!俺はそれと同時に行動するからよ」

「わかった…」

「ふっ。じゃーその話は終わりだ。それじゃ〜寝転ぶか!」

「え?」


「ほら!お前も寝転んでみろ!」

「うん」


 アネゴに言われるがまま私は砂浜に寝転んだ。そして青い空を見ながらアネゴは言った。


「なにが見える?」

「…空?」

「違うな!俺らが見ているのは全てなんだぜ!嘘、偽りもないものだ」

「そうなの?」


「そう。全てだ。俺たちが見てるものが真実!本当なんだよ」

「真実…?」

「わからねぇーか?分かりやすく言うとだな、暖かいだろう?胸の奥が!」

「ん〜わからない」


「まぁ嘘がない。つまり安心なんだよ」

「安心…」


「そう。俺たちは仲間がいるから、側に見方がいるからこそできる安心なんだ!………だからな…マイ。もうなにも悩むな…。今は誰もお前を傷つけたりしないからよ。もちろん、俺ももうひどいことは言わない。だから安心してゆっくりしたらいいんだぜ。寝転んで空を見ている間は悩みはな、捨てろ。その悩みは帰ったらいくらでも相手してやるからよ…」


「うん…ありがとう…?」


「なんかクセェ〜こと言ったな〜。子供相手になに言ってんだかな」


 初めてわかったかもしれない。この気持ちが落ち着いてるのはアネゴ達がいるからなんだって…。

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