ナナと言う女性とは…【旅行編】
二人の会話が止まった。聞こえてくるのは何もない無音の世界。ナナとアネゴは顔を向かい合いながらお互いの目を見ながら沈黙した。ナナの目は、アネゴの何かを見透かす見たいに見続け、逆にアネゴは、何も知られまいと強気な目をした。するとアネゴはニヤリと笑い、話し始めた。
「まだまだだな。お前の目では俺の心は見透かせない。もちろん、考えもだ」
ナナもまた、ニヤリと笑いアネゴを罵倒した。
「ふふふ!そんな風に隠したって無理やで〜。頭の悪いあんた事だから、すぐに何企んでるかわかるんよ〜?ねーねーおバカさんは何をしようとしてるのかあちしに話してくれてもええんとちゃう?そうしないと…あちしはアホなあんたらからあの子を没収することになるんやけど〜?」
「おいおい!頭が悪いだとかアホだとか、低脳すぎる発言控えてくれねぇーかな?それしか言えないバカにか見えねーわ!あっはは!これだから頭の悪いババアは困るぜ!」
「あら?図星だったの〜?ごめんやで〜!気にしてたのね〜?あんた見てるのそんな風にしか見えんのや〜!本当、ごめんね〜?頭の悪いオバさんで!でも…、話をすり替えたあんたはあちしより、ババアなんとちゃうか〜?そんなんな〜バカらしい答えやなくて、あの子の事!話してくれへんかな〜?」
青い海、青い空、白い雲、海辺の砂浜で遊ぶマキとマイ。こんなにもいい天気のはずなのに今にも雷が落ちそうな二人の会話である。
「おいおい。俺の旅行を台無ししたいならそう言ってくれればいいじゃねぇーか。そんなにも白い砂浜を赤い血で染めてェ〜のか??」
「あらあら!誤解しないでくれる?あちしは仕事をしてんねんで?可哀想な子を救うという、し ご と を!」
「は?お前!前来た時は学校の先生だっただろが!いきなり児相で働いてるなんて意味のわからねぇーことを言いだしやがってよぉ!ここに来て、なんのつもりだ!?」
ナナ、本名:鳥蠍 奈々実。4年前に出会った時の職業は学校の先生をしていた。あれから時間が経ち、連絡も全く取っていなかったっていうのもあり、詳しい状況について、アネゴは知らなかった。
「そうやね〜。まぁ〜とりあえず落ち着きいや!こんな会話、挨拶代わりみたいなもんやし!血圧あがるで〜?」
「はぁ…。先に言ってきたのはお前だろうが!!全く、旅行中にひでぇ事いいやがる……でだ。何が目的だ?」
「うん…そやねー。…あんな!あの子…マイって子、あちしにくれへんか…なんて?」
「…は?何、寝ぼけたこと言ってやがる。お前にはすでに2歳になる子供がいるんだろう?全く、わけわからねぇー事言い出しやがるぜ…ほんと…。そんなにも俺をからかって海に沈められテェーのか?冗談抜きで本当の事を話しやがれ」
そういうとアネゴはタバコを取り出し、タバコを吸おうとタバコに火をつけようとした。ナナは海を見ながら話し始めた。
「そうやね〜。実はね、もう…いないんよ。あちしの子は…」
「え…?」吸おうと口にしていたタバコが砂浜に落ちる。
「あはは…冗談やと…思うか?」
「おいおい!ちょっと待てよ…。俺は確かにお前の腹に子供がいたのも覚えてる…。産んだのことも知人から聞いたぞ!」
「うん…。産んだよ…。赤ちゃん…。あのね…年末年始にね…あんたらとこうやって、遊んでるのに…なんか疑問とか思わんかったんか?」
「………………」
「子供はね…、昨年、天国に行ってもうたわ…。生まれた時に心臓に重い障害があってね。医者からも手の施しようがないとも言われ、余命宣告もされてたんよ。…それから1年間、ずっと病院だったけど、その子は命を繋ぐ事は出来たんや。だけどね…昨年の4月4日、急に容体が急変してね…。そのまんま、行ってもうたや。まさかこんなに早く容体が急変するなんてね。子供が亡くなってから…私は絶望した。しばらく落ち込んで…毎日、あの子の笑った顔の写真を見るたびに泣いて泣いて…それで眠れない日々を過ごしんや…。学校の先生もやめたんよ。…でもね…これじゃダメだと思おてね、精神科に通いつめたんや。薬を飲む事で落ち込む事はなくなったんやけど、あちしの心は空っぽになってもうた…。そんな時、市役所から仕事を紹介してもらって、児相で働く事になったんや。そこから持ち直そうと思ったんよ。そして今年、あんたらが来ると聞いてね。気分転換になるのかなって、思ってついて来たんや」
「なるほどな。で?マイに興味を持ったわけだな?」
「せやね〜。あんたが子供を産んだなんて聞いてへんし、マキさんの子でもない。じゃぁどこからか拉致ってきたか、虐待されてる子を保護してるんやないかなって、思おてね。もしそうだったらあちしが面倒みようかなって、考えたんや。あんたらから奪ってね」
「ふん。奪ったところでどうするんだよ。お前がそう言うことしたところで、死んだ子の代わりにはならないだぞ?それにこれはあいつ(マイ)と俺らの問題だ。これ以上の面倒ごとはごめんだぜ」
「あはは!そうやんな〜!ごめんごめん!いきなりこんな話されてもどーせいっちゅうねんて話やね!ホンマごめんな!つまらん話してもうて!」
ナナは高らかに無理に声をあげて笑って話した。アネゴは海を見つめながらナナの頭を撫でながら優しく言った。
「お前はな…よく…頑張った。だからな、誇れ。お前の頑張りは俺が評価する…」
その瞬間、笑っていたナナの目から涙が流れた。
「あれ…?おかしいな…。悲しくないのに…悲しくないのに…。涙が…止まんないの…どうしてなんやろ…」
「お前はよく頑張ったんだよ…。最初に産んだ子の代わりにはならないが、子供なんてまた作ればいい。おまえならできる。感情的になる過去は忘れられないだろうし、これからも背負っていかないといけないだろう。でも、立ち止まってちゃ前に進めない…。だから今はな、涙を流して強くなれよ…ナナ…」
「…うっ…うん…ごめん…」
「はぁ…全くッ!無茶しやがってッ!こいつッ!…俺もな、何も事情を知らずに連絡も何もなしに…悪かったな…」
ナナの鳴き声はさざ波と風の音でかき消された。アネゴは、涙を流すナナの頭を撫でながら海を眺めた。ものの数分で、ナナは泣きやんだ。それと同時にマイとマキが星砂集めから帰ってきた。
「ただいま…」
「ただいまっす!いや〜日に焼けそうっすね〜!」
「おう!星の砂は取れたか?」
「はい!二人で探しやしたので結構取れやしたっすよ!見てくださいっす!」
星の砂がつまった小瓶をマキとマイはアネゴに見せた。
「へ〜いいじゃねぇーか!で、お前らはこれになんの願いを込めるんだ?」
「あー、あっしは健康第一っすかね〜!やっぱり健康が一番っすよ!」
「ふ〜ん、普通だな」
「な、な、なんすか!普通じゃいけないんすか!?健康的でいいじゃないっすか!」
「願いがジジババクセェ〜んだよ!もっとロマンをもてよ!」
「えぇ…。じゃーアネゴは何を願うんすか!?」
「無論、億万長者」
「…あ、はいっす」
「あん!?文句あっかよ!?世の中カネなんだよ!金!」
「わ、わかりやしたって!落ち着いてくださいっすアネゴ!」
「全く…んじゃーマイは何を願うんだ?」
「……んー…わからない…」
「はぁ…わからないってお前…。なんのために集めたんだよ…」
「わからない。願いなんて…ない…もの…」
「はぁ…相変わらずの反応だな。夢とか願いなんていくらでもあるだろうに…願いはないって、ある意味、贅沢だな」
「あっし的にはマイらしさがあるとおもいやすよ!これはこれでいい気がしやすね。旅行から帰ったら意味のあるものをあっしから何かプレゼントして見やす!」
「そうか。なら、話は一旦ここまでだ。そろそろ移動するぞ!案内方、頼むぜ!ナナ!」
「……………………」
「…あれ?ナナさん?大丈夫っすか?なんか…元気なさそうっすけど…」
「わーーーーーーーーー!!!さっきアネゴに砂かけられて、目に砂がー!!!」
「えぇー!!だっ!大丈夫っすか!?目薬がありやすよ!!!これをつかって目を!!!」
マキはあたふたするナナの目に目薬をさそうとあたふたした。
「ふっ。全く、世話の焼ける奴らだな〜」
「アネゴも笑ってないでナナさんを押さえてくださいっす〜!!!」
「やれやれだな…」
アネゴはそんな光景に、にこやかに笑った。ナナに目薬をさし終えてから、アネゴ達はまた二人乗りをして、次の場所、竹富島の観光名所のコンドイ浜に向かったのであった。
小説…じゃないよね…と思う今日この頃です。




