竹富島とアネゴ達【旅行編】
アネゴ達は竹富島の港からバンに乗りこみ、少し車を走らせ、竹富島の中心にあるレンタル自転車屋に着いたのであった。アネゴのたちはバンを降り、まずは自転車屋のオヤジさんから島についての説明を受けた。周りを見渡すとたくさんの自転車が並べてあり、電自動自転車か普通の自転車かで選べるシステムだった。アネゴのたちはそこから電自動自転車を2台を選んだ。
「ほい!じゃあ楽しんできなー!!ガーハッハ!!」
レンタル自転車屋のオヤジさんが元気そうにそう言って、見送ってくれた。見送られてからアネゴは一つ疑問に思ったことをナナに聞いた。
「おい…ナナ。俺は思うんだが、なんで2台だけ借りたんだ?明らかに何かがおかしいよな?」
「ん〜?しゃーないやん。マイちゃんが車から降りるときに転んで、足を怪我したんやし、一人だけ自転車を使わずに歩きなんて可哀想やろ〜?」
マイは車から降りるとき、アネゴに急かされ、コケてしまっていた。その際に、膝に軽いかすり傷をおってしまっていた。幸いマキが持っていた絆創膏と消毒液のおかげで治療はできた。だが、マイは歩くのはかなり困難な状況になってしまっていた。
「チッ!こいつがドンくさぇいからこけたんだろ!俺は悪くねぇーよ!……はぁ…その件についてはわかった…。…だがな。俺のニケツの相手がなんで俺とマイなんだよ!普通にマキとマイのコンビでいいだろうが!!」
「え〜?仕方ないやん?アネゴが急かして、マイちゃんが転ばしたんだし、原因を作った本人が責任を取らなにゃーあかんとちゃう?それにあちしはマキさんともお話ししながら見て行きたいし!ねーマキさん!」
「あはは…そうっすね!すいやせんアネゴ!マイこと…よろしくおねがいしやすっす!」
「チッ!はぁ…しゃーねぇーかー。わかった!しっかり掴まっとけよ!マイ!後、帽子も落とすなよ!拾いに行くのめんどうだからな!」
「…うん」
アネゴたちは二人乗りして、島を回ることにした。もちろん違法であるがアネゴ達には関係なかった。島の道路はあまり舗装されていないので自転車で走るとかなりガタガタと揺れた。オフシーズンってこともあり、人もあんまり見かけなかったのでゆっくりと町並みを観光ができ、アネゴ達は南国を味わった。天気も晴れており、凄くのどかな風景を爽やかな風に吹かれながら、アネゴ達は村を見て回った。
「さて、村は、一通り見たな。次どこ行くんだ?」
「せやね〜。ん〜ここからちょっと遠いんやけど、カイジ丘ってとこに行って見るか?星の砂がいっぱい取れる所やでー!」
「ヘェ〜!いいじゃねーか!じゃーそこに向かうぞ!」
アネゴ達は二人乗りをしながらカイジ丘に向かった。先頭をアネゴとマイ達が走り、少し後ろでマキとナナ達が走った。その機会にナナはマキに、マイについて聞いた。
「ねーマキやん。あの銀色の子、どうしたんや?なんか…普通じゃなさそうやけど?」
「え…っとっすね。色々ありやして…あはは!」
「あはは!で誤魔化されへんで!正直に言うてみ!悪いようにはせえへんし!」
「あ!あっしの従兄弟の子っす!今、預かってるんすよ!」
「ふーん。じゃぁさ!マイちゃんの本当の名前って何?マイって名前、あだ名だよね?」
「そ、そんなことないっすよ!…ちゃんと小原マイって名前がありやして…!けして!あだ名で読んでるわけじゃないっすよ!」
「ふ〜ん。そうか、じゃぁ、本人に聞いても問題ないんやね?本人に聞いたら…色々わかっちゃう話なんやけど?」
マキは頬に汗を流しながら答えた。
「えぇ…。あの…できれば、あんまり詮索しないで…いただけると…助かりやす!」
「え〜?あちしらって、仲間だよね〜?車も出して〜観光案内もして〜、ウンマイ飯屋も紹介して、あんたらはあちしに少なからず恩とかがあると思うんや〜。ね?今!その情報をおしえてくれるだけで、あちしらは円満な関係が続けられると思うんやけどさー?……どう?本当のこと…………教えてもらえんか?楽になれるで〜?」
マキは嫌な汗がダラダラと背中からにじみ出るように流れた。それは確実なる恐怖とプレッシャーによる何かだった。一方、そんなことも知らずに前で走っているアネゴとマイはというと、しばらく沈黙が続いていた。
「…………………」
「…………………」
アネゴは自転車をこぎ、マイはただひたすらにアネゴの服をギュッと掴んでいた。あまりの沈黙が続いたため、アネゴから話を切り出した。
「……マイ」
「?」
「足…悪かったな…」
「…大丈夫」
聞こえてくるのは緩やかな風の音と自転車のこぐ音。ぎゅっと背中の服を掴むマイの手はとても小さい力だった。照らす太陽は青空で輝き続けている。周りの緑は海の景色を消していた。マイはある話をアネゴに聞いてみた。
「…アネゴ」
「…うん…?なんだ?お前から喋るなんて、旅行に来てから初めてだな」
「……嵐くんと伝説の船乗りの少女…」
「え!?は!?何故…お前がそれをしってやがる!?どこでそれを知りやがった!?!?」
「…秘密って、言われた…」
「チッ!あんにゃろうか…後で覚えてやがれ…」
「あの…話、好き…」
「あの本のどこがいいんだよ。全く…」
「なんでそんなこと言うの?」
「くだらねぇーからだよ。あの少女は結局……」
「…?」
「あいつの事だ、いい話に風に話したんだろう。実際の話は…違うがな」
どこか寂しげそうにアネゴはそう答えた。マイもその話以降、話をやめた。少し自転車に揺られ、アネゴ達はカイジ丘に辿り着いたのであった。アネゴ達は自転車を適当に止め、アネゴがマイをお姫様抱っこし、海岸に向かった。歩いた先には、広く、大きな青い海を見渡せた。この海岸の砂浜にはちょっと大きめな砂がそこら中にあり、そこから星の砂を集めることができた。
「お〜!今日は青いな〜。いつも来る時は灰色だから新鮮味があるな〜」
「それだけかい!もっとこう…感動ってないんか!?」
「ないな〜。もっと綺麗なとこ知ってからな。始めてきたわけでもねぇーしな」
「はぁ〜!贅沢やな〜!まったく…、今日はあんたら恵まれすぎちゃうか!?その運、少しはあちしにも分けて欲しいぐらいやわ!」
「あはは…。それじゃぁアネゴ!あっしはちょいっとマイと一緒に星の砂を集めてきやすのでマイを預かります!」
マキはアネゴが抱えていたマイを受け取った。
「おう!それじゃ〜俺らは木の陰でナナとだべってっから、気が済んだら戻ってこ〜い」
「了解っす!じゃぁマイ!いきやしょうか!あと、足…大丈夫っすか?」
「…うん。大丈夫」
マキはマイを抱えながらは星の砂を集めに砂浜の波打ち際に向かった。残されたアネゴとナナは木の陰で二人で座り込んで、さざ波の音を聞きながら海の地平線を眺めた。そこからアネゴが愚痴とか適当にだべっていたらナナがいきなり本題を聞いてきた。
「ねぇ。アネゴ。あの…マイって子、どこで誘拐してきたんや???」
「あん?お前に関係ねぇーだろ?聞いてくるなよ。くだらねぇー」
「残念!実は…関係あるんだよねぇ〜!だって…、あちしね…児相の…者だから…ね?」
「………は?」
ナナがそれを口にした瞬間、波の音も暑い紫外線も全て、灰色になり、一瞬、時間が止まった。




