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ヤンキーアネゴと謎の男の子と別れ【類友編】

 朝方・午前4時ごろ


 スッ…


 男の子はバレないように静か目を覚ました。状況を確認した。ゆっくり静かに立ち上がって、そして自分の体を軽く動かし、動けるか試した。


「大丈夫だ」男の子は静かに独り言のように喋り、確認した。


 マキが寝ている隙に男の子は静かに玄関まで歩き、ドアに手をかけた瞬間だった。


「おい」


 その声に男の子はビクッと驚いた。声のする方にそっと顔を向けるも暗くて見えなかった。そしてその声に聞き覚えがあった。すると…


「人がタバコを吸おうとしてる前で何してんだ?」


 暗闇から一つの火明りがポツンと暗闇に浮かんでいた。アネゴがタバコを吸おうと起きてきていたのだ。


「フゥ〜、お前…、やっぱり出て行くんだな?」


「俺の…勝手だろ…」


「フゥ〜、確かにその通りだ。お前の行動にとやかく言う資格は、俺にはね〜けどよ、お前を助けた恩人に何か言うことはないのか?」


「………………………」


「フゥ〜、まったく…2回も助けてもらい、飯も風呂も病気も全部あいつ(マキ)にしてもらい、その上、何も言わずにお前はこの場から逃げようとしている。しかしまぁ…ちゃんと見てろって、あれほど言ったのに…相当疲れてたんだろうな…」


 男の子は手をギュッと握りながら、悔しそうに答えた。


「仕方ないだろ。わからないことばっかりで…どうしていいかなんてわからないんだから。恩ってなに?人って何?俺を見て…笑って、追いかけて、捕まえて……、殴られて、泣いて……そしてまた殴られる!!俺にはもうどうしていいかわかんない。わからないことばかりで頭がいたい!それがわかるか!?人間!!!」


 ジュー アネゴは タバコの火を消した。


「わかんねぇーな。わかりたくもねぇーしよ。考えたくもねぇーな。だがな、けじめだけはちゃんとしろや。そしてお前が今やろうとしている行動はな、お前をひどい目に合わせた連中と同じことをしようとしているだぜ?」


「あいつらと…あんな…あんなやつらと一緒にするな!!!どこが一緒なんだよ!!!」


「はぁ…。その辺りはまだガキだな。いいか〜?お前はいじめや暴力で心を傷ついた訳だ。わかるな?」


「心?」

「そう。お前のその胸がズキズキすることがあったはずだ。目から涙も出たはずだろ」

「うん…何回か…あった…」

「だろ?でだ、そのズキズキを今お前は寝ているあいつ(マキ)にしようとしているんだぞ」


「俺が…あの人に…?なぜだ?なんでそうなるの!?俺には何が何だかわかんない!!!」


 ガチャ!バン!


 男の子は勢いよく扉を開け、その場から逃げるように走って行った。アネゴも扉の外に出、遠くから男の子が走っていくのを静かに見送った。激しく扉の開ける音で、マキも何事かと飛び起きてきた。


「どうしたんすか!?何があったんすか!?それに…あの、男の子は……」

「はぁ…やれやれ、あいつはさっき出て行った…。…それだけだ…。」

「そんな………あっしは…何か悪いことでもしたんすかね…?」

「いいや…お前はよくやったよ。あいつは…これからも辛い人生を歩むんだろうな」


 そう言うとアネゴはマキの頭を、部屋に入るすれ違い際に優しく撫でた。


「アネゴ?どうして…?」

「さぁ〜な。寝るぞ」

「でもアネゴ…男の子は…?」

「あいつに…俺たちしてやれることはもう何もない。…あいつはしぶとく生きるだろうよ」


 そう言うとアネゴ部屋に入って行った。マキは空を見上げ、少し青くなる夜空を見上げて独り言を呟いた。


「次、会うときはお礼をいってくれると嬉しいっす」


 その後、マキとアネゴは3時間ほど寝たのであった。


 完全に日が昇った頃に、ミナとマイが家に帰ってきた。


「ただいま♡いやん、もう昨日はマイちゃんとラブラブだったわ〜♡」

「…ただいま」どことなく疲れていそうな雰囲気がでていた。


「おう。おかえり。悪いな、昨日は急遽そっちに行ってもらって」

「お…おかえりっす!マイちゃんにミナさん!朝食はできてるっすよ!」


 どことなくぎこちないマキの笑顔にマイは気になり、聞いてみた。


「…?マキー?なにかあったの?」

「なっ!なんでもないっすよー!いつも通りっすよ!」

「ん?マイちゃん何か気になったの?」

「なんでもないっすよ!ほら!ミナさんもご飯食べましょう!今日はオムライスっす!」


「マキ、話してもいいんじゃないか?もう済んだ話だ」

「アネゴ…」

「抱え込むな。俺たちは仲間だ。そうだろ?」

「はい…ありがとうございやす…」


 マキは、あの謎の男の子についてミナとマイに話した。二日間も開けた理由も含め。


「そんなことがあったの!?でもなんで…別に私にも教えておいてもよかったじゃない!」

「ミナ、俺は今、教えたぞ。さっきも言ったがもう済んだ話だ」

「…その男の子知ってる…」

「あん?お前も会ってたのか?あいつに?」


「うん…」

「どこでだ?」

「自動販売機で」

「詳しく教えろ」


 マイはアネゴにあの謎の男の子が何をしていたのかを話した。


「はん!あい〜つ当たり屋までしてやがったのか!どこまでも憎めないやつだなー」

「当たり屋って何?」

「マイは気にしなくていいっすよ!」

「ヘェ〜そんな頭がいい、凄い子がいたのね…。だって、もう数回、死にかけてるのに生きてるなんて奇跡よ!」


「ふん。たまたま運が良かっただけじゃねぇーか。まぁ理屈ではありえない確率だけどな。ただ、いい方向に向かっているわけじゃないのが痛々しい話だがな」

「本当っす!マイといい、あの男の子といい、世の中の親が憎いっす…」

「あの子…これからどうするのかしらね…」


「そうだな…まぁ…なんとかするんじゃないか?はぁ…朝食が…冷めちまったな」

「すいやせん…話をきいてくれてありがとうございやす!少し気が紛れました…。マイもありがとうっすね!」

「うん」

「はぁ…マイちゃんとセットで着せ替え人形したかったのになー」


「おい、言葉に気をつけろ。シバクぞ?」

「いいじゃない。もう済んだ話なんでしょ???」

「チッ。この話は終わりだ!終わり!!」

「さあ!マイちゃん♡ご飯食べよー♡」


 振り回された慌ただしい2日が終わった。


 その1年後、謎の男の子とは、また思わぬ所で出会い、再会するのであった。

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