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ヤンキーアネゴと真顔少女の体調不良【変わった日常編】

「………………………」

「これでよし。どうやらただの夏風邪ぽいっすね」


 マキはミナさんが作ってきてくれた、病人用の濡れたタオルで真顔少女のデコに乗せた。


「ケッ!せっかく楽しんでたってー言うのに、急に倒れやがって…」

「マイちゃん…ご飯は?食事はどうだったの?」ミナが聞く

「朝から少食でしたっすね。無理して食べていたのはわかっていやしたが…」

「こいつ、顔に何も表情ださねぇーからこうなるんだ。こいつの自業自得だ」


 それを聞いたミナさんは急に立ち、言った。


「何もそんな言い方ってないんじゃない!?マイちゃんだって、心配させないために頑張って…」

「その結果がこれだろ?自分のピンチの時に誰にも頼らないなんて傲慢(ごうまん)すぎんだよ!だから自業自得って言ってんだろ!」

「二人とも!!!……外で話して来てくださいっす…。」

「チッ」


(ガチャ) アネゴは何も言わず、ミナさんと外に出て行った。


「マイ…ごめんっす…気づいてあげられなくって…私の…落ち度っす…」


 追い出された二人は、アネゴはタバコを吸いながら、ミナはドアにもたれながら夜空を眺めていた。


「はぁ…まったくー、どうしてこうなっちまうんだかなー」

「マイちゃんはあなたの何?」

「あん?なんだよいきなり?」

「答えて」


「あいつは…か…考えたこともなかったが…たぶん、厄病神かなー」

「厄病神!?保護者なのにそんな冷たいこと言うの!?」

「そうだよ。文句あっか?」

「納得できないわ!ねぇ!納得できる理由を言って!」


「ったく、保護者だってな、優しいだけじゃダメなんだよ。いいか?ガラスコップで例えるとだな?ガラスコップは"心"で、その中に注ぐ液体が愛情だ。だがこれは普通の…何も怖い経験とかしたことのない奴のたとえだ。マイの場合は、コップにヒビが入っている状態だ。マキがマイに優しくするたびに愛情が注がれる。だが、ヒビのはいったコップだから、そのヒビから愛情がこぼれ落ちてしまう。それを漏らさないようにするには冷たく、さげすんで対応する必要があるんだよ。そうすることでヒビから愛情が漏れなくなり、ヒビが入っても愛情を貯めることができる。俺はな?あいつの真顔を直してみテェーんだよ。あいつ…ずっと真顔だろ?まだ子供なのにさ。なんか大人ぶってる感じがして嫌なんだよ俺わ」


「…あなた…バカに見えてたけど、ちゃんといろいろ考えているのね」

「バカは余計だ。ところでお前はどうなんだよ?ミナ」

「え?」

「なぜあいつにこだわる?子供なんてそこらじゅうにいるだろ?子供が好きなら、保育士にでもなればいいじゃんか?」


「それじゃダメなの…。私がマイちゃんにこだわるのは、あのクールで冷たい表情をしているからよ。あの歳で、そんな顔のできる子なんてそうそういないわ。だから私はマイちゃん惚れたの!いろいろ凝った服を着せて、写真撮って、アルバムとか作っちゃったりして?私から見たらマイちゃんは私の夢そのものなの!わかる!?この気持ち!!」


「いや…わかりたくはねぇーけど…。あいつも、とことんついてないな」

「何よその言い方!でも、あなたの意見が聞けてよかったわ。これで安心して預けられる…。でも!いじめすぎないようにね!絶対にね!」

「わかったわかった。しつけ〜な〜」


 真顔少女とマキはというと…


「……………マキ?」

「お!起きたっすか!気分はどうっすか?」

「うん、大丈夫」

「い、一応〜熱を測りやしょう!」


 ピピーッピピーッ


「うーん、どうやら38度5分っすね。やっぱり夏風邪みたいっすね」

「マキ、ごめんなさい、心配かけて…」

「本当っすよ!急に倒れるから、夏なのに冷や汗をいっぱいかいたっすよ!もう乾いたっすけど!」

「マキ?」


「ん?どうしたんすか?」

「私って、もういらないよね…」

「え?え?なぜそう思ったんすか!?そんなことないっすよ!!」

「私ね、迷惑ばかりかけて、困らせてばかりで、アネゴ達にも何もしてあげられなくて…それでいいのかなって、思って…」


「マイ…。大丈夫っすよマイ。あっし達はもうそんなこと思ってないっすよ。そうっすねー最初会った時は、「なんなんだこの子は!」って驚きやしたけど、今はマイのおかげで助かってることって、たくさんあるんすよ?たとえばそうだな〜マイが家に来て、3人でご飯食べる、てーのは初めてで楽しかったっす!それに…マイが来たことで人脈は増えやしたし!ミナさんとかミサさん、白ひげとも仲良くなれたっす!おかげで毎日賑やかで楽しいんっすよ!マイは…全然いらない子じゃない。私たちの大切な家族だよ!」


「…………………」

「あれ?マイ?もしかして泣いてる?」

「わからない。でも止まらない…」

「マイ…。マイ!おいで!」マキはマイを抱っこした。


「案外軽いっすね!ほら!いっぱい出したらいいっすよ!」

「うん…」マキの肩をギュッと握る

「マイはいい子いい子!大丈夫!大丈夫!」マキは優しくそういった。

「うん…」マイは泣き声は出さなかったが涙を流し続けた。


 それぞれの思いがあり、彼らはこれからも繋がっていく。この街で。

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