三国の王並び立つ
よろしくお願いします
各人物の詳しい年齢等は決めておりません。
「ふわぁ……今朝は…軍議があるな、着替えよう」
「若様、おはようございます。着替えの準備は出来ております此方へ」
「自分でやりたいんだけど…」
「若様は私達の仕事を奪うと言われるのですか?」
「わかった、わかったよ!ごめんよ!」
「それで宜しいのです」
大人しく着替えさせられ、軽めの朝食を取りに食堂へ向かうと其処には既に俺の祖父が居た。
「かっかっか!その顔ではまーた抵抗したようじゃの?」
「仕方ないじゃないか、慣れないんだから」
「儂でもあやつに敵わないのにお前さんが勝てる筈もなかろう?」
「爺様も勝てないの?」
「あやつの母親が儂の最初の世話係じゃったが、よう似ておってな逆らえないんじゃよ」
「五虎将軍なのに?」
「家に帰れば只の老将じゃ、ほれ早く飯を食わんか」
…
……
………
「やぁ、天祥相変わらず君と黄将軍は早いな」
「趙雲将軍、おはようございます稽古をされてたので?」
「あぁ、息子達にね熱が入って慌てて準備をしたよ」
「やぁやぁ、子龍殿今度ひさしぶりに稽古をせぬか?」
「是非!黄将軍の熟練の技は素晴らしいですから」
「趙雲、老将軍朝から元気ですな」
「やぁ関羽殿お主も久しぶりに稽古をどうじゃ?」
「それなら他の将軍皆誘ってみましょうぞ」
「私も馬超殿と槍を競ってみたいです」
「はっはっは、我が将軍達は変わらず逞しいな」
「「「劉備様!!!」」」
「よい、集まっておるな。では軍議を始める」
軍師殿がここ数ヶ月の報告を行う。
俺達はそれを聞き各地の状況を知る。
前回の軍議と変わらず、ここ蜀では大きな異変は無いようだ。数年前まだまだ天下を統一せんと曹操率いる魏、孫呉三代の基盤を持つ孫権の呉。そして漢の血を引く我等劉備様率いる蜀。
そんな戦乱の最中勅令が届く。
三人が帝に勅令で呼び出され、ある通達を渡された。
「曹魏、孫呉、劉蜀を王と認める。これより其方達はそれぞれが治める領地で平和保ちこれ以降の戦乱を禁ず、これは献帝である朕の命である。破る国は他の国より滅ぼすまで攻められるであろう」
「陛下!」
「なんだ曹操」
「我等三国これまで長く争っておりました、その遺恨を無下にしろというのですか!!」
「そうだ」
「なれば我が軍の兵は!!赤壁で破れた多くの兵は!!!その家族はどうするのですか!!!?」
「なれば再び三国で争うか!!!朕が献帝となり永い月が経った…しかし戦乱は続き、民は泣いた。よいか国とは民だ!!民なくば国など無い!!!!遺恨は簡単に無くならないであろう!なればそれ以上に太平の世を作るのだ!!」
「劉玄徳…その命を拝命致します。蜀を治める者として太平に勤めます…」
「劉備貴様!?」
「曹操殿…私も遺恨は無くならないと思います。だがそれ以上にこれ以上戦火を広げてはいけませぬ…なれば蜀が魏より奪った領地もお返ししましょう」
「しかし…!」
「これ以上!!!民を無くして何が王ですか!?」
「ぬっ!?」
「孫仲謀、拝命致します。劉備殿荊州はそのまま治めてくだされ、そして妹をそちらへ送ります」
「孫権!其方まで!!」
「帝の命です、納得は難しいかもしれませぬが…私も孫呉の民をこれ以上戦乱に巻き込みたくございませぬ。曹操殿貴方は何故董卓を討ち、呂布を退けたのですか?」
「それは…帝を…」
「曹操よ其方の忠義はわかっておる、その苦しみもわかっておる。やろうと思えば朕を退け新たな帝を据える事も簡単であっただろう。其方はそれをしなかった、それが答えである」
「…そうか、そうであったか。曹孟徳拝命致します」
「うむ、三人のその忠義大義である」
「「「はっ!!!」」」
長く続いた戦乱は閉じ漢は再び太平の世を築いていった。
…
……
………
「ご注進!!!!」
「どうした」
「東広漢で賊が出現!現在村を襲っております!!」
「黄忠!趙雲!!急ぎ軍を率い救援へ迎え!!」
「「はっ!!!」」
「軍師よ我等も行くぞ」
「はっ急ぎ準備をします」
軍議は中断し、素早く屋敷に戻る。
鎧を着て愛用の槍を準備する、爺さんから貰った弓も馬に括り付け矢を背負う。
「久しぶりの戦じゃ、早く向かって民を安心させねばの」
「そうだな」
「初心は忘れておらんか?」
「勿論だ『我が弓は民の為、我が刃は国の為』」
「よしよし、立派になったの…黄忠軍出るぞ!!!」
「黄忠殿!!早いですぞ!!趙雲将軍をお待ちに!!?」
「何を言っとるんじゃ厳顔!!彼奴らの軍の早駆けは蜀一じゃ!!少しぐらい早く出立しても大丈夫じゃい!!」
「あ、ちょ…!このジジイ!!!儂もジジイじゃが…伝令を!黄忠軍は先に出ると趙雲将軍に伝えるのじゃ!!」
「はっ!」
靡くは蜀の旗。
太平を信じ、桃園の誓いから走り続け蜀を治めるまで駆け上がった龍の旗。
彼等は民を守る為走る。
主人公
黄 仁 こう じん
字名 天祥 てんしょう
蜀の将軍である、黄忠の孫。
父は戦争、母は病気で早くに亡くなっている。
祖父より教わり、弓の腕前は蜀軍で二番目
武器は槍
実力は高いがまだ荒削りな部分がある。
武将の中でも若手になる。