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Jバスケット  作者: 神谷頼杜
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第2話 フィジカルという才能

第2話 フィジカルという才能



ーおお俺とバスケしてくれるのか!ありがたい!やっぱり強豪校といわれるだけあるな!


2mの大男は嬉々として着替え始めた。


その間部員と杏先生とで戦略会議が始まっていた。


ー先生やばいっすよあれ。どうにもこうにももしあれでバスケが上手かったらどうするんです!?

心配性のピュアシューター北上が真っ先に口走った。

ー大丈夫よ策はある。私の言うことにしっかり耳を傾けなさい!

杏先生は何か秘策があるような顔をしてキーマンの北上にアドバイスを送った


着替え終わった巨人に杏ちゃんが問いかける。


勝負はここのルールでやってもらうわ。

1on1先攻後攻で1セット

ファウルと3Pありでそのセット終了時に5点差ついていたら決着よ。


ーそして…今回はあなたに勝負を挑むのはここにいる全員よ!ここにいる人間で誰か一人にでも負けたらあなたはバスケ部活に入ってもらうわ!いいわね?


・・・なるほど!

部員全員は杏ちゃんの狙いがよく理解できた。

つまり弱い順で当てていき体力を減らしたところで勝ちに行く。


今回はもしバスケが凄く上手かったとしても相手の分が悪い勝負。

確率論的に勝ちにくい勝負だ。進学校だからだろうかみんなある程度の先生の思惑が把握できた。


ーいいですよ!楽しそうですね!

巨人がすごい目をキラキラさせて準備運動を始めた。



さて作戦はこうだ。

できるだけ動かすように疲れさせるような立ち回りで行こう。もちろんオフェンスはガチで勝ちに行け。点を取るたび決着は伸びる。それだけ相手の体力は奪えるからな。



では始めましょう。

最初はさっき入った新入生!

ーえっ!?もう入部決定ですか!?

ーいいから早くかまえなさい!ある意味これがこの部活に適性があるか審査させてもらうわ。


ーわかりました・・・自分は十和田「とわだ」といいます。よろしくお願いします!


ーよろしくな十和田!俺は八戸「やと」だ


ーじゃぁ八戸君が先行ね!

名乗ってからの勝負…古風だなぁ~この子…

杏が関心していたのもつかの間




勝負が始まった。




しかしそれは一瞬の出来事だった。

八戸はボールを受け取った瞬間にドリブルで※ペネトレイトのフェイクをいれ、十和田の足が浮いた瞬間逆に切り返した。  ※ドリブルで相手を抜こうとする行為のこと

あっというまにクロスオーバーが決まりゴールへ向かう。それを止めようとして十和田の手が出てしまう。




ピーーーーーーーーー!!!




気付いた時はすでに遅かった。 完全にシュートモーション中のファール。ハッキングだ。

そしてそれを見越したかのようなボディバランスで笛の音を聞いた後のレイアップが綺麗に決まった。

3点プレイ


2点のシュート中にファウルをしてしまった時そのシュートが入った場合さらにフリースロー1回が与えられる。


ーこの場合はどうするんだ?先生さん?

八戸が訪ねる。


ーそのままフリースローまでワンプレイに入るわ。


八戸はなんなくフリースローを決め次は十和田の攻撃に移る。


ーここでなんでも点を入れれば少しでも長引かせられるんだ。絶対に何が何でもいれてやる!これでも中学3年間バスケを頑張ってきたんだ!


ボールが十和田に渡ると。即ペネトレイトを仕掛けた。そしてレイアップに移ろうとした瞬間…絶望という2文字が十和田の頭をよぎった175センチしかない十和田にとって2mとはとてつもない壁に見えた。八戸は1m手前にいて十和田の進路は全く妨害をしていない。なのに、どうしてだろう。。どうやってもシュートが決まらない未来しか見えないのである。


十和田は苦し紛れにレイアップを中断しゴールの下を通りすぎ、一息ついた瞬間に振り向いてジャンプシュートを試みた。しかし…そこには長い手がボールの進路に立ちふさがっていた。


ーなんでだ…※フェイダウェイだぞこっちは…それでも届くってか…

                     ※後ろに飛びながらシュートをうつこと


ボールをはじく音とともにしりもちをつく十和田。

その時みんなが静まり返ったそして誰もが十和田のこころがボキっと折れた音がしたように聞こえた気がしたのだ。

十和田はバスケ人生で初めて味わっただろう完全な敗北がそこにはあった。


そのあとも新2年生が次々とやられていく。

しかも思った以上に早く。彼のフィジカルによる圧力。

そして身長の低い子は全くと言っていいほど点が取れなかった。


ここまで10人中8人やられた。北上も6対11と一番検討はしたもののやはり3Pの確率がいつもより悪かった。


あとは井村と滝沢だけだ。ここまで完敗と言っていいだろうこの局面で果たして勝てるだろうか…負けた部員は八戸の圧倒的なフィジカルの差というものに、ただただ何も言えず味方に気軽な言葉さえかけることができなかった。



その時だった。



ーあれま!もう練習始まっちゃってるんですか!?すみませーん入部希望のものです~~~

今からでも練習に参加させてください~


日本人にしては少し大きめ185センチのすらっとした男性が入ってきた。


杏ちゃんが口を開く。


ー今部員の適正審査をしているから今からこの八戸君の相手をしなさい!


ーえっマジですか!んじゃ今着替えますんでちょっとまっててください~


どんよりムードに変なおちゃらけた空気が流れる。

ーいいわよね?八戸君?彼も一応部員ってことになるけど?


ーもちろんいいっすよ!強い相手だったらもっと嬉しいっすけどね!


もっとバスケがしたいという欲求だけがふつふつと感じる八戸をみて

フィジカルというものは人間においての一種の才能だとその時初めて思った杏だった。


第2話フィジカルという才能 Fin


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