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だから私はスポーツが嫌い  作者: とみた伊那
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番外編2・学校給食

番外編なのでスポーツではなく給食について。前に書いたように、私は子供の時は病気勝ちで身体が弱かった。だから食が細く、給食のあの量を食べるのはかなり大変なことだった。


給食の思い出としてよく話題になるのが、脱脂粉乳だ。牛乳のように一人一本ではなく、大きなヤカンに暖かいミルクが入っていて、それをアルミの器に入れて各自に配る。小学校一年か二年までは脱脂粉乳でその後牛乳に替わったので、私が最後の脱脂粉乳世代になるのだろう。

「あれはまずかったね、臭くって」

必ず言われる。給食を食べていた当時もみんな「くさい、まずい」と言って、鼻をつまみながらイヤイヤ飲んでいた。もちろん私もそれに参加。「まずい、まずい」と言いながら脱脂粉乳を飲んだ。


今だから本当のことが言える。

「私は給食の脱脂粉乳は美味しいと思う。好きだった」

当時はクラスのほとんどの人がまずいと言っているものに対して、それを否定できる雰囲気は無かった。小学生ながら、私はずっとまずいという演技をしていた。

医学的にも説明できる。虚弱体質というものは、消化器官も発達が遅れて弱い。冷たい牛乳をごくごく飲むより、温めた脱脂粉乳をゆっくり飲んだ方が胃腸に優しい。つまり身体が要求していたのだ。


逆に給食で私が一番嫌いなものは、揚げパンだった。これが世論では思い出の給食の人気ナンバーワンになっているので、かなり驚いた。食が細い私にとって、普通の食パン二枚を食べるのもかなり大変なことだった。これが揚げパンというと、さらにカロリーが高くなる。私にとっての揚げパンは、例えれば風邪気味で食欲が全くない時に出されたトンカツのようなものだった。

さらに苦い思い出の、ある日の給食の揚げパン。普通揚げパンは外がカリッとして中がふんわりしているもの。ところがその日の揚げパンはコッペパンの中心まで油が浸みていて、パン全体がぐしょっとしていた。当時は給食を残してはいけない規則だったので、泣きながら食べたのを覚えている。


 今から思えば、美味しいものでも「まずい」と言って空気を読んでいた小学生の私は、忖度ができる立派な子供だったと思う。


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