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だから私はスポーツが嫌い  作者: とみた伊那
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5.顔色いろいろ

私は小さい時から小児喘息があり、年中病気で学校を休んでいた。それは私が運動音痴になった原因の一つでもある。


小学校低学年の授業の時である。人間の顔色についての話題になった。担任の女の先生が言った。

「A君の顔色は黒い、たくましい」

みんなA君を見た。スポーツができて活発なA君がますます格好よく見えた。次に先生は

「B子さんの顔色は白い、美しい」

と言った。今度はB子さんが注目された。クラスで一番の美人のB子さんは、いつもよりもっとキラキラして見えた。次に先生は

「inaさんの顔色は」

と話した。おお、今度はなぜか自分に振られた。そのくらいの年齢では、学校の先生の言葉は絶対だと思っている。私はどんな内容でクラスの中でスターになれるのだろう。無関心を装いながら、ちょっと期待した。

「青白い。弱弱しい」

クラスのみんなの視線と、うなずく気配を感じた。私はその後の授業ではずっと、何も言わなかったけれど下を向いて涙をこらえていた。

子供の時、私はそのように真面目で小心者だった。


もしこれが小学校の教師という絶対的地位の人間ではなく、単なる同級生だったら

「○○先生の顔色はシワシワでシミだらけ」

と言うことができただろう。


大人になってからも小心者は変わらない。それにも増して権力のある方には巻かれる、という社会で生きていくための知恵を身に着けたので、やはり言われるまま黙っているしかないだろう。

もっとも今は日本も国際的になってきて、世界にはいろいろな肌の色の人がいるから『はだ色』という言葉も無くなってしまった。顔色の話題すら昔話なのだろう。



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