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34.バレエを踊り始める
大人になってバレエを見るのが趣味になった。バレーボールではない。踊るバレエである。
初めの頃は見るだけだったが、ある時ふと間違えて自分でもバレエを習うようになってしまった。近所のカルチャーセンターでバレエ入門という講座ができたからだ。
「カルチャーセンターというものは、誰でも気軽に楽しく学べるもの。ここなら運動が苦手な私でも大丈夫だろう」
そこから間違いが始まった。
最初はそこの生徒全員がバレエを全く知らない大人の集まりだった。足のポジション、立ち方など初歩の初歩から教えてもらった。
このくらいのレベルは、バレエとは名ばかり。ラジオ体操の延長のようなものである。よく知られているような横に広がったスカートを着て、つま先で立ったりしない。誰でもできる簡単な内容だったので、スポーツの苦手な私でも楽しく習うことができた。
しかし全員同じスタートラインに立っていても、人それぞれ進歩の速さは違う。今から思えば、その時に指導したM教師は私の並外れた運動能力を見抜き、すでにイラッとしていたようだ。しかし鈍感な私はそれに気付かなかった。
そしてそれがカルチャーのままだったら、M教師は我慢を続けたまま仮面の平和は続いていたかもしれない。




