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だから私はスポーツが嫌い  作者: とみた伊那
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33.師匠と山登り

ある時期、病気になった。西洋医学の治療をしたがなかなか良くならない。その時に漢方の師匠に出会い、いろいろ助けてもらった。漢方薬を飲むだけではなく、普段の生活指導をされたし、人生についても教えてくれた。だからこれから師匠に対してどんな事を書いたとしても、私にとって師匠はやはり師匠であり、とても大切な人だと思っている。


生もの、冷たい物は食べない。クーラーは使わない(当時は今ほど猛暑ではなかった)。そして毎日歩くこと。その時から私は時間ができるとせっせと歩くようになった。スポーツ競技と違って歩くだけならば技術はいらない。誰かと競って勝ったとか負けたとかにこだわらなくても良い。

そういう生活を何年か続けていたら、だんだん体力がついて丈夫になってきた。


師匠の趣味は登山だ。当時、師匠に付いて登山までさせられた。と言っても師匠も高齢なのでハイキング程度の山だったが、私には大変な登山だった。師匠は私が病気で悩んでいると、よく

「悪くなることばかり考えていては本当に悪くなってしまう。良くなるイメージをすれば、自然に治そうという力で元気になれる」

と励ましてくれた。そうやって確実に私は体力が付いて丈夫になっていった。


しかし全体の体力と部分的な病気とは違う。師匠と会った数年後に私の卵巣はテニスボール大に腫れて、いよいよ手術を決意した。


その手術の日取りが決まる少し前に、師匠とまた登山をした。その時、たまたまザイルを使って急な斜面を降りなければならないような道があった。帰ってから

「あの日、無理な体勢で坂を降りて、いつ卵巣が破裂するかもしれないと思って怖かった」

と話すと師匠は

「そう思うからいけない。破裂するなど考えなければ大丈夫」

と言った。

ああ、ここでもやはり精神論が出てしまった。師匠が言うことは半分は正しい。しかしどんなに気持ちを強く持っても、科学的に危ないものはそれを正面から受け止めなければならない。あの登山の時に卵巣が破裂する危険があったのは確かだ。師匠を責めるつもりは無いが、師匠が全て正しい訳ではなかった。


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