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だから私はスポーツが嫌い  作者: とみた伊那
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4.クラス対抗リレー

小学校の運動会に、クラス対抗リレーというものがあった。バトンを渡しながら順番に一人ずつ走るという競技である。その前に徒競走という個人競技があった。そこでとりあえず走るという義務は果たしたのだから、あとは走るのが速い人だけが勝手に好きに走ればいい。それなのに全員参加という変な競技をやらされる。企画した先生は全員一緒の行動をすることにより、お友達の絆が深まるとでも思っているようだ。そして小学生はこういう時、たかが棒を持って走るという競技に、無駄に勝ち負けにこだわって熱くなる。

 もちろん私もその時はバトンを受け取り、自分なりに一生懸命走った。速くはないが、自分では大きなミスもなく次の人にバトンを渡すことができたつもりだった。


 ところがその翌日の授業は、それだけでは終わらなかった。運動会の感想文などというものを書かされたのだ。頑張って楽しかった、全員で力を合わせて感動した、みたいな感想を期待したのだろう。さらにその感想文は先生だけが目を通したのではなく、印刷されてクラス全体で読むものとなってしまった。その中の一人の感想文。

『クラス対抗リレーで途中までは速かったけれど、inaさん(私のこと)のところでペースが落ちて一位になれなかった。残念』

と書いてあった。

違う!

全員が知っていたはずだ。私は確かに速くはなかった。しかしリレーの時に途中で転んだ人がいた。それが原因で数人の他のクラスの生徒に抜かれた。それなのにその事は一言も書かれず、ビリ常連の私がリレーに勝てなかった原因とされていた。

(先生も見て知っていたはずだ。転んだ人が原因なのに、私のせいにされている)

理不尽な作文に対して、心の中は不満でいっぱいだった。しかし誰のせいで遅れたかというのはあまりに低レベルの原因追及なので、私は何も言わずに黙っていた。

結果としてこの全員参加クラス対抗リレーは、クラスのみんなと力を合わせて仲良しが深まったのではない。私にとっては同級生が嫌いになり、同級生にとってはノロノロ走る人のせいでリレーに勝てなかったという、不満を作っただけだった。


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