31.体育会系の人間なんて、大っキライだ
柔道が趣味のヤワラさんと二人の薬局での仕事。
ヤワラさんは良い人だが、だんだんこの職場について疑問を感じるようになってきた。こここに長くいても、これ以上自分の勉強にはならないと思い始めた。しかし辞めるにしても、何と言えば良いのだろう。それなりの理由をいろいろ考えている時だった。
ある日、ささいな事でヤワラさんと喧嘩になった。その原因が分からないくらいささいな事だった。まるっきり文科系かつ女性脳の私はだんだん怒りが強くなり、今までの職場での不満をぶちまけた。
○月○日、どの場所でこう言われたが、その言い方はおかしい。何故なら……。
その三日後にこうされたが、その行動には正当性が無い、など。
つまりねちっこい、しつこい、理屈っぽい攻撃をしたのだ。ヤワラさんはついに切れて
「この職場は体育会系と同じだ。何でもハイッと言って従えばいいんだ。イヤなら辞めろ」
と言い放った。
その喧嘩に対しては、辞めるほど嫌ではなかった。しかしそう言われた途端
「今だ、チャンスだ」
と思った。ここ数日何と言って辞めたらいいか、悩んでいた時期だった。このチャンスを逃したら辞められなくなる。
「では辞めます。体育会系の人間なんて大っキライだ」
そう言って、そのままその職場を辞めた。
お互いに勢いで言い合っただけで、ヤワラさんがそんなに嫌いではない。その後も何回か穏やかにお話をさせていただいている。
でも体育会系的考えが嫌いなのは変わらない。




