表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
だから私はスポーツが嫌い  作者: とみた伊那
33/45

26.職場のボーリング大会

大学を卒業してすぐ、病院に就職した。

まだ純粋だった私は「早く一人前に仕事ができるように頑張ろう」と思った。朝、他の人より早めに出勤して掃除をして先輩のお茶を煎れる。そこそこうまく行っていたはずだった。ところが、ここでも変な行事があったのだ。


病院職員のボーリング大会。

今は勤務時間以外の個人の生活が大切にされるようになってきたが、この頃はこういう行事があると積極的に参加して職員同士の親睦を深めなければならない、という社会だった。


たかがボーリング。バレーボールやテニスと違って止まっている玉を転がすだけじゃないか。そう思って仮病も使わずに参加した。あともう一つの理由。一年上の先輩が

「私は最初、上司の一人とうまくいかなかったけれど、ボーリング大会に出てからお互いのことを理解しあえるようになったの」

と言っていたからだ。


しかしボーリングもやはりスポーツだった。他の人がストライクとか数本だけ残すとか、心地よい音でピンを倒している中、私の投げたボールは全て両側の溝に落ちた。途中から見るにみかねた周囲の人が教えてくれるようになった。ところがその指導は、ある人は

「inaさん、とにかく思いっきり投げなよ」

と言い、別の人は

「inaさん、ゆっくり丁寧に投げてみなよ」

と逆のことを言う。新入社員の私は、周りは全員上司である。誰の言う事に従えば良いのか。もっとも誰の言うことを聞いても、最後まで一本もピンを倒すことはできなかったが。

結局、私のチームは私一人の最低得点のために最下位になった。親睦どころか、しらっとした空気に包まれた。今まで苦労して雑用をしたりお茶を煎れたりした苦労が、ここで吹っ飛んでしまった。


学習した私は、その翌年からのボーリング大会には参加せず、隣で応援をするという参加に変えた。それ以来そのひんやりした空気は無くなった。私はそれで楽しいかと言えば、もともと興味の無いボーリングを、他人がやっている姿を見ても楽しいはずはない。応援と言っても、どのチームが勝っても関係ない。仕事のための苦行だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ