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23.校舎の周り十週
マラソンの授業となった。
都会の高校なので、校舎はそんなに広くない。マラソンができるほどの長い距離が学校に無いので
「校舎の周り十週。終わった人から終わり」
という課題になった。私も他の生徒と一緒に走りながら校門から外に出た。
「マラソンなんて、かったるくてやってられないね」
だんだん世の中が分かってきた私は、ちょっとひねくれた友達と、そんな話をしながら校舎の周りをだらだら走った。
三週くらい回った時だった。どちらが先か覚えていないが
「疲れたから隠れていようか」
「そうだね」
と意気投合。そして校舎の隅に隠れて、他の人が真面目に何週も走るのを見送った。そして他の人が十週走って校庭に戻っていく様子を見て、”ちょうど良い遅れ方”で私と友達も校庭に戻った。いかにも十週走り切ってフラフラという演技も忘れずに。
そしてその日の授業は何も問題なく終了した。
もし私が真面目に十週走り続けていたら、多分体育の時間内には終わらなかったと思う。そして他の人はイライラしながら待たなければならなかっただろう。こうやって、だんだん社会に出ていくためのやり方を身に着けていく。
立派な人間になったと思う。




