20.クラス対抗ソフトボール大会
学校というのはどうしてクラス対抗で争うことが好きなのだろう。
私が行った高校は進学校だ。みんなは良い大学に入るために勉強したくて、この学校に入った。それなのに高校に入ったら、今度はクラス対抗がバレーボールからソフトボールに変わっただけだった。
私が運動ができない事は、高校でも瞬間的に皆に周知されている。その中で、私という使えない人間をどのように処理するか。
私がバッターの時。
いわゆるヒットとかホームランを打つための普通の構えは禁止された。絶対バットに当たらないからだ。
「バントだ。バント専門でやれ」
そう指示されてバットを両手に持って低く構え、ボールをバットに当てる事を目標とさせられた。しかし結果としてどんな構えをしても当たらなかった。
守備の時は
「inaさんはセカンド」
と、セカンドという場所を指定された。なるほどここが下手場所なのだろう。野球やソフトボールのルールを知らない私は、セカンドと言われて二塁ベースに立った。するとそこに別の人が立っている。
「ここじゃない、あっち」
と言われて、一塁の方角を指し示した。言われて一塁ベースに行くと、そこにも人が立っている。どうやらセカンドというのは一塁と二塁の間に立つらしい。それならセカンドと言わずにファースト・アンド・ハーフくらいに言えばいいのに。
立ち位置も決まって練習が始まると、私のところにもボールが飛んできた。それを拾って投げる。投げる、しかし私は生まれてから今までキャッチボールをした事が無かった。テレビだと簡単そうに投げているが、初めてのキャッチボールはあらぬ方角に飛んでいき、アウトにできるタイミングなのにランニング・ホームランになってしまった。
それ以降、私に対するクライメイトの指示は
「ボールを取っても投げてはいけない。一番近くの人に走って手渡ししろ」
になった。
そしてそれから数日後
「後ろの人がボールを取るので、ボールが来たら取らずによけろ」
に変更になった。




