18.苦痛の三学期
中学生の時、冬休みに一週間だけ塾に行ったことがある。他の人が行くので自分も行ってみようと思った。
塾の内容は三学期で習う勉強の予習だった。その時は塾の先生の話を「なるほど」と思いながら聞いていた。ところが塾が終わって三学期に学校へ行って授業を受けた時、学校の授業が苦痛に変わった。一度習ったことを再び勉強するということが、これほど辛いものだとは思わなかった。先生が
「ここはこの後、どうすればいいと思いますか」
と言っても、自分はすでにその先を知っている。知っているが初めて聞くような態度をとらないといけないのだろうか。そこまでは分かっているからもっと先に進んで欲しいのに、塾に行っていない人のために先生は最初からかみ砕いて説明する。
この時私は、塾というものは学校がつまらなくなるという害があって、何の役にもたっていないことが分かった。
ところが突然状況が変わった。高校に入った途端、私が落ちこぼれになったのだ。高校入学は試験を受けて入るので、だいたい全員の生徒の学力が同じになる。努力して勉強しない人は、当然授業に付いていかれない。他の人は取り残されないために、学校が終わってから予備校に行っていた。しかし私の頭の中には、ただ塾に行くと学校の授業がつまらなくなると、いう記憶だけが刷り込まれていて、遅れた勉強に追いつくために予備校へ行こうという考えが起こらなかった。高校生活の三年間、毎日合唱部の練習で歌を歌って過ごしていた。
その結果、スポーツだけでなく勉強もできないという完璧な人間になった。




