17.ガリ勉と言われる
小学生の時、憎まれ者の男の子からガリ勉と言われたことがあった。勉強ができてスポーツができなかったからだ。
正確にいうと私はガリ勉ではない。ガリ勉というのは朝から晩まで机に向かって勉強をしている人間のことだ。私はそれほど熱心に勉強をしなかった。中学生までは、勉強をしなくても成績が良かった。一度聞いただけで授業の内容を理解することができたから。
その中学までの成績が良かった時代、スポーツができなくて勉強のできる自分が恥ずかしかった。だから授業中に分かっていても手を上げなかったりした。また、人前ではなるべく勉強しないようにしていた。
当時は「サインはV」とか「巨人の星」のような、スポーツ根性ドラマが全盛の時代だった。どんなに辛くても朝から晩まで頑張ってスポーツをする、というストーリーが美談だった。一日中勉強する人が主人公の話などなかった。「ガリ勉」という言葉があるように、勉強ばかりするのは恥ずかしいことのような空気があった。勉強ばかりしていて運動音痴のヒーローなどいない。
大人になって分かったことは、人間は得意なことならばどんどん身に付くし進歩もする。苦手なことを無理してやっても苦痛なだけで、苦労した割に得られるものは少ない。
今思えば、ガリ勉に見られることを気にすることは無かった。スポーツはいくら努力しても、私にとっては大きな苦痛と小さな進歩だった。決められた体育の時間だけその義務を果たせば、それで良かった。それより世の中のいろいろなことに対して、こんなに何もかも知らなかったのかと驚いている。子供の時、ガリ勉になっていればよかった。




