15.クラス対抗バレーボール大会・その4
中学校恐怖のイベントであるクラス対抗バレーボール大会は、試合に出る他にその試合の手伝いという仕事もある。
一度、ボールボーイ、いや女だからボールガールというのか、の仕事をやらされた事がある。コートの外に出たボールを拾ってサーブ権のあるチームに渡し、早く試合を進める手伝いをするのが役割らしい。その時になって初めてそんな仕事があるのを知ったくらいだから、手順も今一つ分からない。もともとやり方をよく知っているバレーボール部の人がやれば良いと思うのだが、その人は審判の仕事と決まっているので、なぜかこの仕事が私に回ってきてしまった。
しかしやっているうちに、だんだんボールガールのやり方が分かってきた。ボールが外に出て地面に着いた時点で、走ってボールを取りに行けばいいのだ。
最初、他のクラス同士の試合の時にボールガールを務め、試合では味わえないフル出場の達成感を味わって、次は自分のクラスの試合。
審判は前の試合と同じバレーボール部の上級生だ。その上級生は試合前に両チーム全員に向かって言った。
「前の試合の時はボールガールがもたもたして、なかなか試合が進みませんでした。みんな、だらだらしないで素早く試合を進めてください」
おそらくこの審判は、誰が前の試合でボールガールをやったかなど、全く覚える気がなかったのだろう。そのもたもたしていた張本人は、今、ここで話を聞いています。始めてボールガールをやった人間が、初めからテキパキと動ける訳が無いだろう。それにもたもたしたと言われても、他の試合と比べて一時間も長くかかった訳ではない。試合のスケジュール消化には何の支障も起きていなかった。
このバレーボール部の上級生は、技術や勝ち負けにばかり熱中しているから、周囲が見えていないのだ。あるいは見えていても、無償で初めてボールガールをした人に対して、感謝でなく仕事のアラしか見えなくなっているのか。団体競技で健康と体力以外に得るものがあるとすれば、それは周囲に対する感謝と思いやりではないだろうか。少なくとも中学時代のクラス対抗バレーボール大会では、感謝と思いやりは一つも得ることはできなかった。




