12.クラス対抗バレーボール大会・その1
中学の時、クラス対抗バレーボール大会という恐ろしいイベントがあった。クラス単位でチームを作り、他の組のチームと試合をするというイベントだ。
それ自体は悪い企画ではない。バレーボールの好きな人だけがやるのならば。問題なのは
『全員参加』
という恐ろしいルールがあったことだ。
つまりバレーボールをやりたい人だけが勝手にやれば良いのに、途中で選手交代をして、必ずクラスの生徒が全員試合に出なければならないという取り決めだ。そのためずば抜けてバレーボールが下手な私も、必ず試合に出さなければならないという、クラス全体に迷惑がかかるルールだ。中学の三年間毎年この行事があったので、このイベント中は登校拒否したい期間だった。小学校でもクラス対抗競技になると
「せっかくみんなで頑張ったのに、inaさんのせいで負けた」
と言われ続けていた。
内気で口下手な私が毎日頑張って頑張って、何とかクラスの人と仲良くなろうと努力しているのに、この『全員参加制』というのは、クラスの雰囲気を壊すためにあるとしか思えない。運動が必要ならば体育の時間を増やせばいい。運動の目的は健康で体力をつけること、つまり個人の能力向上のためにあるのに、なぜクラス対抗という団体戦をしなければならないのだろう。それならクラス対抗算数大会とか理科実験大会とか、全ての科目を対抗戦にすればいいのに。
その恐ろしい行事。中学生になってもクラス対抗と言うと、なぜかみんな熱くなる。
「みんな、朝早く学校に行って練習しましょう」
などと、変に張り切る人間が旗を振る。どうせ私はほとんど出番が無いだろうから、練習する必要などないはず。試合に長く出場するうまい人だけが練習してもっとうまくなって、試合に勝てばいいのに。低血圧の私が無理して早起きして練習しても、どうせ出番はほとんど無いのだから無駄だ。
そう思っていたが、そこはクラスの雰囲気を壊してはいけない。クラスの人と仲良くしなければならない。小心者の私は、しぶしぶ早朝練習に参加した。そしてある日の早朝練習、その日は自分なりに案外うまくできた。なぜかミスすることもなく飛んできたボールをレシーブすることができた。そんな奇跡の早朝練習が終わった後、クラスのキャプテンからの一言。
「みんな、もっとちゃんとやろうよ。もっとボールをよく見て。今日はinaさんの方がボールを見ていたくらいよ。そんな事じゃダメよ」
結局私はどんなに良いプレーをしても、それを評価されることはない。やはり無駄な早起きだと思った。




