人間と魔導士の確執
200年前、突如として始まった人間と魔導士の戦い。
人間は魔法を操る魔法使いを恐れ、差別した。
また、魔導士は自分らを蔑む人間を不快に思い、同じ種族だけの国を作り上げた。
魔導士達は戦いを避け、自ら姿を消したが、いつか復讐に来るのではと考えた人間達は魔法使いの国を滅ぼそうと国に攻め入った。
もはや戦いから逃れられないと判断を下した魔導士達はその不思議に満ちた力で人間を次々と殺した。
だが人間も負けてはおらず、魔導士を殺していった。
第一次大戦後、被害は多岐にわたり、戦士や成人の魔導士だけでなく、戦いに参加していなかった小さな子供や女の死体も多くみられた。
それでも戦争は終わらなかった。
第一次世界大戦から200年後の第四次世界大戦後、ようやく人間と魔導士の戦いに終止符が打たれる。
人間の王子と、魔導士の姫が結婚したのだ。
誰かが謀った結婚ではなかった。
二人は愛し合っていた。
王子と姫の結婚を誰もが喜んだ翌年、第一王女が誕生する。
母親譲りの滑らかで美しい金色の髪、父親譲りの空を映したようなスカイブルーの瞳。
それはそれは愛らしく、その寝顔を見つめるだけでどんなポーカーフェイスもたちまち締まりのない表情にさせるほどだ。
後の王と王妃は愛しい娘に平和の象徴としてオリヴィアと名付けた。
だが平和は長くは続かず、王女の誕生後から体調を崩しがちだった王妃がオリヴィアの7歳の誕生日の朝に亡くなった。
最愛の妻を失った王は嘆き悲しみ、仕事をしなくなった。
7歳の幼くか弱い一人娘の相手すらしなくなった。
幼いオリヴィアは母が突然いなくなり、父が自分を相手にしてくれないことに深く傷つき心を閉ざしてしまった。
それから国は荒れに荒れ、賊が蔓延る貧しい国へと転落した。
王の堕落に耐えかねた王妃、アリシアの父はオリヴィアを連れて魔法使いの森へと姿を消した。
それから10年間、魔法使いの森の入り口閉ざされたままである。