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前世と今世

勢いで書いたため、色々とおかしなところがあるかもしれません。

 この気持ちが恋だと自覚したのは、いつだっただろうか。




 千沙はまたか、と嘆息する。目の前には、一方的に絶縁された幼馴染とその取り巻きたち。彼女に冷静を悟らせてはいけない。あくまで動揺したふりをして、愛しい人を欺くのだ。


「…おめでとう、螢ちゃん!優華ちゃん!」


 ああ、胸が、どうしようもなく痛い。悔しい。優越感を隠しもせず、私を見下す彼らに、何度目か分からない失望の念が湧く。

 我慢するんだ。前回の失敗を繰り返してはだめだ。


 物語のエピローグ。私が死んで、この物語は終わる。いつからか、彼の千沙を見る目は冷ややかなものに変っていた。それでも、千沙は彼を嫌いになれない。あの記憶がある限り、この思いを捨てきることなど出来はしないのだ。

 

 次は、次こそは。

 千沙は何度目か分からない決意を胸に、空を飛んだ。


「ばいばい、螢ちゃん。また来世で。」







 私こと、高橋千沙が育った家庭は、お世辞にも良い家庭とは言えなかった。父は大企業の副社長で、母は良いお家のご令嬢。父は家にいないことは多く、母はそんな父への不満を私で発散していた。夢見がちなお嬢様は、愛のない冷めきった関係に我慢がならなかったのだろう。ヒステリックに喚き散らしては、子供の頬を打つような人だった。家政婦は我が身かわいさに見て見ぬふりをし、父は「死なすなよ」とだけ言って、家をでた。


 あれ?と思ったのは、4歳の頃。いつものごとく母が連れ込んだ男の顔を見た時だった。男の顔に既視感を覚えて、思い出そうとしたときに私はぶっ倒れた。前世の大量の記憶が流れ込のだ。

 慌てたように駆け寄ってくる男性が何か言っているが、全く頭に入らなかった。だって、そっくりすぎだったのだ。


 …ああ、この人、螢のお父さんだわ。


 一目見て納得するくらい、そっくりだった。いや、32歳であの童顔はやばいわー。なんてどうでもいいことを考えながら、私は意識を手放した。 




 高橋千沙は「君と桜」、通商「きみさく」の主人公のライバルキャラだ。といっても、よくある悪役のように実家を勘当されるとか、断罪されて死刑だとかはない。ヒロインに嫌みは言えど、実力行使には至らないからだ。せいぜい嫌な当て馬だなーくらいな役だ。ライバルキャラは、ただ主人公に許婚を取られるだけ。なんたって、「きみさく」は全年齢の平和なゲームだからね!

 だがしかし、前世も今世も千沙は許婚の高梨螢が大好きだ。愛しているといっても過言ではない。ヒロインにとられるなんて、まっぴらごめんである。

 幸いにして、千沙と螢の最悪な出会いイベントはまだ起きていない。これからヒロインが転校してくるまであと12年、ゆっくり愛を育もう。転生万歳である。



 と、思っていた時期も確かにありました。


 

 いや、確かに私が転生してるんだから、他にも転生者がいても何ら不思議なことはないよ?でもさ、


「こんにちは!千沙ちゃんって呼んでもいい?」


 ヒロインまで転生者で、しかもフライングかましてくるなんて思いもしなかったよ。てかヒロインちゃんは一般人だよね?どうやってこのパーティーに侵入したの?そのドレスはどこから入手したんだ?!

 混乱して返事をしない私に苛立ったように、ヒロインちゃんはその麗しい顔をゆがめた。怖い!


「は、はい。どうぞ!」

「やった!私のことは優華って呼んでいーよ!」

「ワア、アリガトウ!ウレシイナア!」


 丁重にお断りしたい。だが断れない。だってチキンだもの。

 そんな衝撃的な出会いを済ませ、その後無事に螢との出会いイベントもつつがなく終えた。ヒロインちゃん付きだったけど。ヒロインちゃんが有り得ないものを見る目で私たちのやりとりをみていた。

 「この子も転生者…?」とかぶつぶつ言っていたけど、無視無視。原作のように彼を傷つけないように、細心の注意を払った。

 

▼主人公は、へこたれない!

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