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序奏
ベートーベンの交響曲第五番「運命」の第四楽章がホールに鳴り響く。
美しく奏でられたのその音は見るもの聴くものを神の園へといざなっていく。
音楽とは天から与えられた人々への贈り物だ。人は音楽から喜怒哀楽を受け取り、また自分自身の感情をコントロールするのに音楽を聴いたりする。
人は音楽から凄まじい力を得ているのだ。仮にこの世界に音楽が存在しなければ、どれほど単調で味気ないものになっていただろうか。つまり、音楽とはこの世界の一部であって、切っても切れない関係にあるということだろう。
しかし、これは必ずしも人をいい方向へ導くものではない。人の考えや感じ方は、この世の中の人間の数ほど存在する。しかも、一人の人間の中でも、そのときの気持ちや状況で良いものにも悪いものにも変わる。
この「運命」という曲も、このホールにいる聴衆それぞれの感じ方がある。だから音楽は美しく素晴らしいものなのだ。