天敵・頭痛!
凛の天敵。
爬虫類やレバーやネギなど、それは非常に数多くありますが……まぁそれはさておき。それでもこれだけは絶対に、何があっても勝てないという奴がいます。そいつとは幼い頃からの付き合いで、まさに腐れ縁といっても過言ではないでしょう。なくせるもんならなくしたいですが、こればっかりはどうしようもないのかなという気がします。
……簡潔に言えば、凛は頭痛持ちです。すぐに頭が痛くなる人です。
例えば目を酷使しすぎた時とか。目からずっしりと、鈍い痛みが来ます。これが地味にきつくてね……しばらく目閉じてクッションに突っ伏してないと、治まりません。
それから、風邪を引いた時などはまず頭痛から来ます。どえらい頭痛が一週間ほど続いた後、熱が出るんです。まぁ微熱の時は普通に鼻や喉から来るんですが、高熱の場合はほぼ毎回そういうパターン。
だから、某半分が優しさでできている錠剤とは良いお友達です。
んで、さらに私が大嫌いなのは、偏頭痛(片頭痛)と呼ばれる類の頭痛です。私の場合は不定期にコイツが来るので、ホントに嫌なんですよね。いつ来るか分からないのが、何より嫌。
偏頭痛というのは主に頭の片側(文字通りですね)でのみ起こる頭痛で、激しい痛みと吐き気を催す大変めんどくさくはた迷惑な奴なんです。人によって個人差があると思いますが、私の場合はまず前兆が来て、その数時間後に脈打つような頭痛が始まり、やがて吐き気を催し、数回リバース(嘔吐)の後、半日ほど本格的に動けなくなって、その後何とか起き上がれるようになってからも頭がくらくらして、何となく気持ち悪い状態が一日~二日続きます。
何度か襲われて、パターンを覚え始めたからこそ嫌気がさしますよね。あっ、前兆きた。次は頭痛だ。あぁ頭が割れそうだ、気持ち悪い。吐く。あぁもうダメ再起不能。……ちょっと楽になってきた、でもこれから行動するの辛い。しんどい。あぁもう嫌だ。偏頭痛嫌だ。滅べばいいのに。
というスパイラルです。
ちなみに先ほどからちょいちょい出ている『前兆』とは何ぞや、と思われる方いらっしゃると思うので、ここでちょっと説明しときます。
偏頭痛が始まる前に、目の前がくちゃっとなるんです。説明しがたいんですが……こう、視界の一部がかき混ぜられたみたいな感じ。
例えるなら、ダイヤモンドですね。あれってカットの仕方が独特だから、光り方がちょっと複雑でしょう。虹色に光るというか。あぁいう光が、少しずつ視界に広がっていくんです。
その鈍い光が徐々に大きくなっていくと、目の前がだんだん見えにくくなってきて、字すら読めない状態になります。とにかくぐっちゃぐちゃなんです、視界が。
もうその時点でちょっと、気持ちが悪いんですが。
それが徐々に治まってきたかと思うと、次には割れるような頭痛が始まるんですね。だから視界がぐちゃぐちゃになって完全に使い物にならなくなる前に、薬を飲んでどうにかマシにしようとするんです。
薬は、私は一応『ゾーミック』というものを貰って飲んでいます。まぁぶっちゃけあんまり効くもんでもないんですが、ないよりはずいぶんマシという感じでしょうか。
頭は相変わらず死ぬほど痛いですが、リバースするまでではなくなるのでね。とりあえずそれを飲んで、あとはひたすら目を閉じて頭痛に耐えつつ無理矢理寝れば、翌日にはなんとか動けるようになります。
◆◆◆
そんな偏頭痛と凛のエピソードは、いくつかあります。
そいつとの出会いは、中学時代。
登校中に例のごとく視界がくちゃくちゃになったんですが、その時は「何だろう、これ」程度の違和感でした。
そのあと学校に着いてから、頭が割れるように痛くなったので、保健室に行きました。確か、数学の授業が始まる少し前のことだったと思います。
んでまぁ、リバースして。
その後早退することになったんですが、早退が決まった時点ではリバースしてある程度スッキリしてたんですね。
だから教室に戻って「先生、早退します」と言った時は、そりゃあまぁブーイングものでした。「お前元気やん!」と。身振り手振りで「いや、ちゃうねん。さっきはマジやばかってん。一回吐いたもん」と必死で説明しました(笑)
ちなみにその後、帰ってる時にまた気持ちが悪くなってきたので、公園のトイレで再びリバースしました。
そこがまたね、アホみたいに汚くてね。あまりの臭さに耐えきれなくて、その悪臭が逆に助けてくれたみたいな感じになりましたね。トイレが汚かったおかげで、気持ち悪さがマシになったわけですから(ちゃんとリバースできたわけですから)。
ごめんなさいね、汚い話して。
ともかく……その時はまだ、これが偏頭痛だということが分からなかったので「何か……疲れてたんかな」で終わりました。ちょうど三年生で、高校受験が控えていましたからね。
で。その正体がはっきりと分かったのが、高校の時です。
あれは高校に入ってすぐのこと、時期にしてだいたい四月末くらいのことだったかと思います。
授業中――あれは忘れもしない、ビジネス基礎の授業の時でした――いきなり視界がくちゃくちゃになって。最初は小さかったダイヤモンドみたいな光が、視界の中で徐々に大きくなっていくのが分かりました。最終的にはほとんど黒板が見えなくなって……いやぁ、あれは困りましたね。
実はその時、私は猛烈にトイレに行きたかったんです。だから、トイレを我慢しすぎてそうなったのかなぁ程度に思ってました。
どうにかビジネス基礎を最後まで受け終えて、私は半ばかき混ぜられた視界の中、必死こいてトイレに向かいました。
んでまぁ、無事すっきりして。
さっきまでのアレも治まったみたいだったので、「あー、やっぱトイレ我慢しすぎてあぁなったんやな」程度に思って安心した私は、そのまま次の授業を受けました。
が……。
その授業中――確か、国語の時間でしたね――かち割れるほどに頭が痛くなって。
「何だこれ、死ぬ……マジ死ぬ。割れる。いやガチで。冗談抜きに、もうすぐパッカーンって割れる!」と思いながら、配られたプリントそっちのけで机に突っ伏していました。
そしたら、前の席の子が私の様子がおかしいことに気付いてくれて、先生に声をかけてくれました。なので私は「頭が痛すぎてそろそろ死ぬので保健室行ってきます」と言い残し、教室を出ました。
んでその後、保健室でしばらく唸ってから早退することになり。しかしうちの父親は仕事で出てこれず、母親はそもそも車を持っていないから迎えに来られないという理由で、担任に送ってもらうことになりました。
それから仕事場の母親を拾って、病院へ直行。そこで、ようやく正体が判明したというわけでございます。例の薬――ゾーミックもちゃんともらいましたし、対処法も教えて頂きました。
いやぁ、長かった。そして、色んな人に迷惑をかけてしまいました。
特に担任。私の点滴と診断が終わるまで待っててくれたそうで、ホントに感謝です。元々保健体育の教師だからかは分かりませんが、その後も時折私の体調について心配してくれることがあって、その心遣いがとても嬉しかったです。
こんなところ見てないとは思いますが(見てたらそれはそれで問題ですが)、この場を借りてお礼を言わせていただきます。ありがとう担任!
それ以来も何度か、偏頭痛は私を苦しめました。薬と対処法を教えてもらったおかげで、高校の時のような酷さはないのですが。
専門学校に通ってた時も、何度かありました。軽いのが数回、高校時代ほどではないにせよ、相当重かったのが一回。
その時はいつもの前兆がなくて、朝起きたらとにかくアホみたいに頭が痛くてね。気合と根性で学校まで行ったはいいのですが、教室に行くまでで力尽き、結局授業に出ることなく早退してしまいました。
担任ではなく、授業を持ってもらってた別の若い先生に助けて頂きましたが……思えばあの人にも迷惑かけましたね。
んで、卒業して今の職場で働き始めてからも、一度。
いつものように前兆があったので、暇な時を見計らって慌てて薬を取りに行き、飲みました。その日は仕事がいつもより早く終わる日だったので、それで終わりまで持たせましたけど。根性で。
しかし事務所に戻ってからが駄目でしたね。力尽きました。
仕上げの仕事が残っていたのに、限界が来てたのでひたすら事務所の机に突っ伏してました。「気持ち悪いです……」と訴えたら、見かねた先輩が代わりに全部やってくれました(苦笑)
ちなみにその後、いつもなら歩いて帰るはずだったのですが、私の体調を心配してくれた上司の計らいで、なんと家まで送ってもらえることになりましたよ。ラッキーでした。
……いや、ごめんなさい。迷惑かけました。
◆◆◆
ってなわけで、私はこれまでも、これからも、この厄介な持病こと偏頭痛と向き合い、戦い続けるわけでございます。
最近はとにかく、前兆が来たら早めに薬を飲んで、帰ったら即行寝るようにする、という対策を打ち出しています。
そもそも、ならないように気を付けろ……との突っ込みを頂きそうですが、如何せんいつ来るのかわからないのだから、対処のしようがありません。
こればっかりはもう、仕方ないとしか言いようがありませんね。
他に効果のある対処法などがございましたら、是非ご教授くださいませ。