季節を楽しむ~秋冬篇~
今回は、予告通り前回の続きになります。私なりの、各季節の好きなところとか、魅力とか、思い出とかについて語ります。
今回は、残る秋と冬ですね。まさにこれからですね。寒くなってきたよこんちきしょー!
……ってなわけで、語りまっせ。
◆◆◆
秋は別れの季節と申しますが……実はかくいう凛も、秋にはあまりいい思い出がありません。
というのも、ちょっと不謹慎かつ個人的な話になりますが、知り合いの命日がめちゃめちゃあるんですよ。秋にばっかり。見事に固まってます。
まず十月十五日が、小学校時代の同級生(当時小三)。十一月一日は、叔母(母の妹)。そしてさらに十一月十五日には、母方の曾祖母の命日があります。
そして今年、また秋です。さらに知り合いが二人ほど、亡くなったとの連絡を受けました。まぁ、直接血が繋がっていたりするわけでもないのですが。
何か……何だよ、このラインナップ。呪われてるんじゃないの。
まぁ、これ以上語るとまた『似たもの家族の一人語り』みたいな暗ぁい、辛気臭ぁいエッセイになっちゃうので、多くを語るのはやめておきましょう。叔母の話は、先述のエッセイでもうしてますしね。
そんな、ちょっとだけ寂しい気持ちになる季節である秋ですが、それでも私は秋に魅力を感じています。好きですよ、秋。
夏から秋にかけて涼しくなって、特にここ数年は気温の変化が突如激しくなったりもするから、寒暖差アレルギー持ちの凛には少々辛いところもありますが……好きですよ、秋!
清少納言は『秋は夕暮れ』だとおっしゃっておりますが、個人的に夕暮れはむしろ寂しさとか切なさとか悲しさを増長させるような気がして何かアレです。小学校時代に行った、同級生のお葬式を思い出すからあんまり……何かアレです。
じゃあ、何が好きかってね。まず紅葉ね。月並みですけれども。
昨年、春先にちょっと永平寺に行ってきたのですが、秋に行くと色づいた紅葉が寺院を囲んで、すごく綺麗なのだそうです。今度、休みの日に行って来ようと思ってます。
そういえばこれは余談なのですが、私の実家に植わっていた紅葉は、この時期になっても何故か色づかないのですよね。普通は今の時期とか、十一月とかになると、ある程度色づいてくるじゃないですか。見頃って、言うじゃないですが。
そんな中、我が家の紅葉だけはずっと緑なんですね。
じゃあいつ色づくんだというと……十二月近くなって、雪とかちらついてきた頃に、ようやく紅くなるんです。ものすんごく遅いんです。
実家にいた頃は、雪のちらつく中そびえ立つ紅い木を、大器晩成型なんだなコイツは……としみじみ思いながら見ていました。
……とまぁ、それはともかくね。話を戻しますよ。
紅葉の他に私が好きなのは、金木犀です。ふわりと濃厚な甘い香りが漂ってくると、知らず知らずのうちに心が弾みます。道を歩いているとその辺の木にオレンジ色の小さな花がぽつぽつと咲いているのを見つけて、つい頬が緩んでしまうのですね。
いい香りだし、花は可愛いし。秋の花というとコスモスなどもあるのですが、私は金木犀の方が好きです。鮮やかな小さい花を見て、強く甘い匂いを感じて……あんなに和む花はないなぁと思います。
特に私の実家には金木犀の木と、銀木犀の木も植わっているので、家の周りはふわふわといい匂いが充満していて、お気に入りでした。
そうそう。紅葉やら金木犀やら銀木犀やら、色々と植わっている私の実家の庭なのですが……祖父がもともとそういう家庭菜園系が好きな人だったらしくて、未だに色んな木が鬱蒼と生えているんですよ。
上記の他には梅や椿、栗、柿、オレンジなど、多種にわたる木を祖父は植えたようです。さすがに育ちすぎて若干邪魔になったので、撤去してしまった木もあるのですが。
祖父は私が生まれる前に亡くなっているので、当然会ったことも話をしたこともありません(あったら怖い)。物心ついた時から、私にとって祖父は写真の中の存在でしかありませんでした。
しかし祖母が生前教えてくれた情報や、たまに父親が話してくれる想い出話などから、わりかしおっとりした性格の人だったんだろうなぁと勝手に想像してます。
一度くらい、話してみたかったですね。
◆◆◆
さて。ここまできたら皆さんもお分かりでしょう。もちろん最後は、冬のお話になります。
清少納言は『冬はつとめて』……つまり早朝が良いだなんて少々アレなことを言ってますが、凛は冬の朝なんて本当に大っ嫌いです。なくなればいいのに、ぐらいの気持ちです。
だってめちゃめちゃ寒いじゃないですか。ただでさえ朝が嫌いなのに(低血圧かつ怠け者なので)、さらに寒いなんて最悪ですよ。布団から出たくなさすぎて、本気で泣けてきます。
布団から出たら出たで、寒いし。寒いと手がかじかんで、上手く作業できないのが辛いところです。まぁ、暑くてダルくて動けないよりは多少マシかなと思いますが。
そんな冬ですが、好きなところももちろんあります。少ないけどね。
まず、雪。ふわふわとしていて、白くて、冷たくて。毎年初雪が降ると、年甲斐もなくテンションが上がりますね。とうとうこの時期が来たか、としみじみ思ってしまいます。
私が住んでいるのは雪国でお馴染みの(?)北陸地方ですから、少しでも雪が降り出すと後々大変なことになるんですけど。ものの数十分で真っ白、一日も経てばもっさり積もってます。家の前とか公道とか、雪かきが大変です。除雪車が走ったりもしてます。
さすがに北海道などのように雪の重みでドアが開けられないとかそういうことはないですが、凍り付いて窓が開けられないとかはよくありますね。バキッて音がすると――まぁ、これは貼り付いた氷の割れる音なんですが――窓を壊したんじゃないかと思ってちょっとヒヤッとします。
氷柱もなかなか立派ですね。家の屋根や、車のボディなんかにもよく下がってて、見かけると何となくパキッと折っちゃうのが癖です。氷柱を折ったり、雪を丸めて電柱などに投げつけたり……こういう癖は、昔から抜けないですね。もう二十一なので、そろそろ自重しないといけないのですが。
そんな私は幼少期、子供らしく外で遊んだりもしていたわけですよ。友人たちと公園で、びしょびしょになりながらひたすらかまくら作りにいそしんだり。当時流行っていた韓国ドラマ『冬のソナタ』の真似をして、微笑みながら空を見て、両手を掲げて……チャ~ラ~r(自主規制)
また、私は中学、高校と電車通学でして、雪が多く積もると電車が動かなくなってしまうため、雪のせいでちょいちょい遅刻したり学校を休んだりしてました。こういう特権……と言っていいのかは分かりませんが、ちょっとだけ得したような気持ちになってしまうのは、どうしてなのでしょう。
そういう日に、暖かい家でコタツに入りながら……みかんでも食べて、ね。外の真っ白な世界を眺めるのが好きでした。ちらちらと降る雪は、綺麗です。実は迷惑なんですけど。
寒い日に、暖かい家で過ごすのも、私的には冬の醍醐味という感じで好きでしたね。家族でテーブルを囲んで、鍋なんかやったりして。凛はキムチ鍋が一番好きで、親にせがんでは定期的にやってもらってました。お鍋自体も、食後に父親が作ってくれる雑炊も……美味しかったな。一人暮らししている今は、そういうことってしないですけど。一人鍋って寂しいし。
それから他に冬といえば、やはり椿の花。
冬の花というと他に山茶花なども挙がりますが……ちなみに余談なのですが、山茶花というと『山茶花山茶花咲いた道~♪』という歌を思い出します。何で二番だよってツッコミは受け付けません。
秋の時に少し触れましたが、私の実家には様々な木が植わっていまして、椿もあります。花弁が多いゴージャスな椿と、花弁が五、六枚ほどのオーソドックスな椿と。どちらも同じ花なのだと、知ったのは私が成長してからなのですが。
ちなみに今、このエッセイを書いている片手間で調べたんですけど、山茶花という花は椿に似ているそうなのですね。画像を見て「あっ、これうちに咲いてた花に似とる!」と思ったんですが……うちに山茶花なんて植わっていたのでしょうか。
それから昔、二月頃だったかに庭を散策してたら、ふきのとうっぽいものが植わっているのを見つけたことがあります。うちにはフキも植わっていたのでしょうか。
このあたりのことは、今度家の者に聞いてみようと思います。
◆◆◆
長々と語りましたが、私はそれぞれの季節に(どんな形であれ)思い入れを持っているのです。そのことを、きっと読んでくださった皆様には理解して頂けたかと思われます。
今は秋から冬にかけた頃、という感じですね。もうすぐ十一月になりますが、気温の変化が激しく、体調を崩しやすくもある季節です。
凛は現在絶賛風邪っぴき状態ですが、皆様におかれましては……私が言うのも何ですが、どうかお身体の方を大切に。体調管理等、しっかりとご自愛いただければと思います。