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笑顔と人付き合い

 いきなり余談ですが、このエッセイの下書きで『笑顔』という今回のタイトルが、最初何故か『英語』となっていました。書き間違いにも程がある気がします。『え』しか合っとらんやん。

 思わず最初、これを書く時『英語』について真剣に考えてしまいました。アメリカ英語とイギリス英語があって云々とか、今や公用語のひとつとして数えられる云々とか……それじゃただの辞書ですね。エッセイだと言っているのに。

 ちなみに、私が英語に対して思っていることはただ一つ。『私は日本人だから英語なんて知らなくてもいいんだよ!』ってことです。

 これじゃ一行でエッセイが終わってしまうので、流石にボツりました。

 無駄に過ごした時間を返してください(誰に言っているんだ)。


    ◆◆◆


 さて。関係ない話はここまでにして、本題に入ります。

 これは私の持論ですが……笑顔とは、心から楽しかったり嬉しかったりした時――つまり心を動かされた時に、自然と零れるものではないだろうかと思っています。

 だからこそ、でしょうか。私は昔からどうも、自然な作り笑いというものが上手く出来ません。

 就職試験の面接など、笑顔を作るよう求められることがそれなりに多かったですが、楽しくもないのに笑うなんて芸当ができるのか? と疑問に思っていました。

 もちろん、社交辞令としての笑顔は必要です。第一印象をよくするにはやっぱり、笑顔というのは最高の武器でしょうし。

 でもねぇ……本当に、心の底からのものではない笑みを顔に貼り付けるだなんて、それこそ気持ちが悪いんじゃないですかね。

 無表情の時より、むしろ何考えてるかわかんないっていうか。

 その笑顔の奥に、何が潜んでいるのか……覗いてみたいような、さっさと逃げ出したいような、不思議な気持ちになります。

 まぁ、無表情で来られるのも同じくらい恐怖を感じますが。コイツ人造人間か? とかありもしないようなことを疑いたくなるレベルですが。

 ――まぁ、それはともかく。

 笑顔というのは、自然に零れる方が魅力的なんです。養殖的な笑顔じゃない、ありのままの笑顔が一番素敵です。

 それこそが、一番のおめかしじゃないですか?

 ……なんて、口説き文句でもなかなかないような寒いことを書いてみましたけれども。あとで読み返して悶絶するんだろうな(汗)


 もともと私は、周りから表情の変化がほとんどない人間だと言われていました。大抵、無表情が多いよね、と。

 自分ではそんな風に考えたことはなくて、むしろ感情が顔に出やすいタイプなんじゃないかなぁなんて思っていたのですが……よくよく考えたら、ただ単に思ったことをすぐ口に出しちゃうだけなんですよね。それもどうかと思いますけど……ってか、そっちの方がよほど性質が悪いような気がしなくもないですね。

 でもまぁ、無表情の方が楽と言えば楽なんですよね。

 常に笑顔を作っていると、ほっぺた痛くなるでしょ? 逆に怒ったりしてたら、眉間の方が痛くなるでしょ? 悲しい顔してたら、目の辺りが痛くなっちゃうし。

 だから、顔に何の負担もかけない『無』が一番やりやすいんですよ。人間にとっての、自然体なわけですよ。

 おかげで、全然そんなことないのに周りから『クール』とか『冷たい』とか、そういうレッテルを散々貼られ続けてきました。それを多少不本意に思ったことはあっても、直そうとか、そういう風には思いませんでした。まぁ、それが自分なんだし別にいいんじゃない? って。


 ……と、子供の頃は気楽にそう言ってられましたが、成長してくると徐々にそういうことも言えなくなってきます。

 やりたくないことでも、周りとうまくやっていくためには半ば強制的にそれをやらないといけない。

 とかく此の世は住みにくい、なんてよく言ったものですが……いやぁ、ホントに生きていくのは大変ですね。


    ◆◆◆


 初めに笑顔を強要されたのは、中学時代。

 前にも言いました通り、当時私は合唱部に所属していました。

 そこで、歌う時には口角を上げて……つまり笑顔を作って歌うようにと教えられたのですが、当然そういうことをするのに慣れていない私は、よく注意を受けたものです。まぁ、単純に言えば無表情に慣れすぎたあまり頬が強張ってて、上手く口角が上げられなかったっていうだけなんですけど。

 御存じの方は御存じでしょうが、毎年夏になると某有名放送局が主催するコンクールが開催されておりまして、音楽をやっている学生たちはみんなこぞって参加しています。

 それに初めて参加させて頂くことになった時、ほぼ例年全国上位に食い込んでいる学校の生徒さん達が歌っているビデオを見ました。

 ……と、まぁ彼らの顔の不気味なこと。

 今だから言いますけど、笑顔を通り越してもはや変顔になってました。もはやこれ、口角を上げて笑顔を作るためじゃなくて、こっちを笑わせるためにやってるでしょ? って疑いたくなっちゃうくらいのレベル。

 結局、合唱ってあの顔ができるくらい練習を重ねているかどうかによるんですよね。強豪校という言葉が物語る通り、それはもう、彼らが織りなす合唱の素晴らしさはまさに本物でした。

 あれは楽しそうなのを演出するためのものでも、印象をよくするためのものでもなくて、歌うための笑顔です。

 笑顔と呼べるかどうかも、疑問ですけど。


 次は高校時代、一度目の就職試験を受けようとした時。

 面接の練習の時、当然のごとく笑顔についてまず注意されました。

 もともとかなりの緊張しいで、しかも笑顔が苦手となると、もうコイツ面接試験に向いてないな……くらいのレベルなんですけれども。

 そんな私に、こう言ってくれた先生がいました。

「あなたは、笑うと可愛いんだから」

 その時、あまり思い出したくない過去のことがふと脳裏を過ぎりました。

 お前の笑顔は気持ち悪いから笑うな、と、かつて同級生の男の子から言われた時のこと。

 んで、気付きました。

 ――あ、私がうまく笑えない一因これだわ。

 もちろん、もともと喜怒哀楽の少ない性質だった(らしい)というのもありますが……その時に負った傷が、もしかしたらいくらか影響しているのかもしれないな、と。

 もっと自然に笑えるようになれば、みんながあなたの魅力に気づいてくれるよ、とその先生は私に言いました。

 それが出来たら、苦労はしないんですけどねー。

 結局、その時の就職試験には見事に落ちまして、私は当初全く行く予定のなかった専門学校へと進学することになりました。


 んで、その専門学校時代にも笑顔のことについて言われました。それはもちろん言わずもがな、就職試験の時ですね。

 その時にも、同じようなことを言われましたよ。

「あなたは、笑うと可愛いんだね」

 ……いや、もうホントにね。なんなんだって話ですよ。あなた方は私に、何を求めているのかと。

 そのね、自然と浮かぶ笑みをね、故意的に浮かべることが出来たらね、私だってこんなに苦労することもなかったんです。もっとうまく、世渡りができたはずなんです。

 そもそも致命的なまでの人見知り(それこそ、いわゆるコミュ障なんて言われるようなレベルの)を抱えた私ですから、そういうことが難しいんです。

 仕方ないだろとか、分かってくれだとか、そんなことはあまりに傲慢すぎるから絶対に思わないですし、言いませんけど。


 まぁ、その後いろいろ紆余曲折あって、結果今の仕事場でお世話になることになったんですけれども。

 今の仕事場でも、当然笑顔が求められます。接客業ですからね。

 私は一応、これでも税理士を目指している身ですから、いずれは今の仕事も辞めて会計事務所(できれば地元の)に行きたいなと思ってます。

 そのために、コミュニケーション力を必死で高める努力をしているつもりです。苦手な作り笑顔だって、そのためならいくらでも頑張ります。笑顔を心がけすぎて、最近頬が筋肉痛になるくらいです。


 最終的な目的は、税理士になることというよりも、上手く人と付き合えるようになること。んで、上手く世渡りができるようになることです。

 ……まぁ、正直遠回りもいいところですが(笑)

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