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身の回りの人たち・親族篇

 一番尊敬する人は誰か、と問われたら、昔は迷わず父親と答えていた気がします。考え方の根本というか、人生の基準というか。

 私には兄弟がおらず、周りには大人ばっかりいたのですが、その大人の中でも父親だけは別格というか。とにかく、父親の言うとおりにしていたらなんでも正解だと。

 昔は父親の言うことに反発してて、喧嘩して三日くらい口きかないとか、そういうことがしょっちゅうあったんですけど……成長するにつれて「あぁ、あの時お父さんが言ってたことは正しかったなぁ」とか、「お父さんが昔言ってたのって、こういうことだったんだ」とか、そういうことがだんだんと分かってきたというかね。

 もちろん、今もそれは変わりません。

 成長するにつれて、以前のエッセイにも書いたようにひどく酒癖が悪かったり、ギャンブル好きで借金があったりするなど、どえらいダメ人間の類に属することを知りました。だけどそれでも軽蔑なんてできないし、嫌いになんてもっとなれない。

 今でも、信じきっている人です。

 何でなんでしょうね。一度植えつけられた価値観は、そう簡単には消えないのかもしれません。


 それからもう一人、私には尊敬する人というか、絶対的な信頼を置いている人がいます。それは、一つ上の従兄です。

 彼は私と真逆で完全な理系。成績はさほど良くなかったみたいで、私よりランク下の高校に進学したほどですが、それ以外のことではよく頭が回るんです。良くも悪くも、天才型なんですよね。

 加えて、手先が器用。幼い頃は遊び道具として置いてあったレゴブロックを使って、かなり緻密な車や家などをよく作っていました。

 私の創作の原点は、思えばそこにあったかもしれませんね。

 幼少期には従兄と遊ぶ時、例えばおままごとなんかでも、主に従兄が作った物語で進めていたんですよ。そこに私が、自分の好みに合わせて設定を上乗せしていくみたいな。

 何でも生み出せる、魔術師みたいな彼に、昔から憧れていました。この人だけは、一生掛かっても越えられないなと、ずっと思っていました。

 今でも、その気持ちは変わりません。

 まぁ……今だから言えることですが、思春期の頃には少し……私の気持ちを利用したような、ちょっとした悪戯もされましたけどね。そのことで、少し悩んだ時期もありましたが。

 それでも、ずっと慕ってる人なんですよ。

 一応言っときますが、この気持ちが恋ではないことは明白なんです。私の中ではね。でも……絶対に、嫌いになんてなれない。

 仕方ないですね、こればかりは。


    ◆◆◆


 『似たもの母娘と完熟桃』という短篇を書いた高校時代に、これは実体験なのかという質問を受けたことがありました。

 もしかしたら、そう思ってる方もいるかもしれません。

 既に読んでくださった方はお分かりの通り、あれは主人公の母親が病気で死ぬ話です。しかし私の母親をモデルにしたわけではありません。私の母は、バリバリ生きてます。超元気です。

 性格はかなりおっとりしてる方だと思いますね。あまり行動が早い方ではないです。病気かというくらい忘れっぽいし、十個何か頼んだとしたら、ちゃんと実行してくれるのは一個だけ。九個は忘れる。そんな人です。

 でもこれはうちの一家特有というか、家族の共通事項なんですが、変なところで頑固です。気が強い。まぁ、そういう性格じゃないと父親みたいな人とはやっていけないかなって気もしますが(笑)

 まぁ、そんな母親ですが、すごいなと思うところもありますよね。

 例えば私の趣味嗜好だとか、どういうスタンスで生活してるとか、親だからって別にあれこれ言わないんですよ。自分から。

 親に恋愛相談とか、絶対しませんもんね。言ったことありませんもん。

 友人とのことも……幼少期から交流のある子についてはある程度知られていますが、基本的に普段どういうことを話してるとか、何をして遊んでいるとか、そういうことはあまり伝えていません。

 なのに、うちの母親は私の好みを、スタンスを、ものの見事に理解していらっしゃる。離れて暮らしていますが、おそらく母親が誰より一番、私のことを分かってると思いますね。

 やっぱりこういう時、母親ってすごいなと思いますよ。子供のことをよく見ている。愛されてるなぁと思いますよね、月並みながらも。


 『似たもの母娘と完熟桃』のモデルの一人として、今(二〇一六年現在)からおよそ八年ほど前に子宮頸がんで亡くなった叔母がいます。うちの母親の妹で、先述の従兄から見て母親に当たる人です。

 この叔母には、従兄の他にもう一人子供がいます。私より三つ年下の、私から見て従妹にあたる女の子です。彼女は来年の一月に成人するんですが、叔母が亡くなったのはこの子が小学校六年生の時でした。

 この従妹に、私は随分悪いことをしたと、今でも後悔しています。

 一人っ子だった私は、素直に懐いてくれる従妹に対してなかなか素直になれませんでした。どう接したらいいのか、分からなかったというか。

 先述の通り、昔から従兄に対して若干偏りがちな執着があった私なので、その妹である彼女に対して嫉妬していた部分もあったかもしれません。

 だから昔から、彼女に対してちょっと中途半端な態度を取っていたんですよね。天邪鬼に意地悪したりして、随分と振り回していた部分はあったと思います。

 叔母が亡くなってからは、特にその傾向も強くなりました。

 というのも、うちの母親が結構彼女を気にかけることが多くなって。……まぁ、こればかりは仕方ないんですけどね。

 でもまぁ……とにかく、そのせいかな。今でも少し、彼女とは距離があるような気がします。

 いや、会ったら全然普通に話はするんですけどね。でも、二人っきりはちょっと苦手かもしれません。向こうも居心地が悪いと思っているかも。

 甘えの対象であったはずの母親を早くに亡くしたという背景もあってか、彼女は少し素直じゃない、大人げない子に育ちました。そのことに対して、私は勝手に罪悪を感じています。

 彼女がひねくれたのは、私のせいでもあるのかな、と。

 もう少し、素直に接してあげていれば。姉代わりとして、もっと彼女を可愛がってやれたら。お母さんがいない寂しさを、少しでも癒してあげられる存在だったら。

 ……ま、今更ですね。

 どう謝っていいのかもわからないですし。謝ったところで自己満足という感じかな。向こうがどう思っているのかがそもそもわからない。

 せめて今度会った時、成人祝いに何か買ってあげようと思っています。

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