命
「箱に魔法をかけてごらん?」
小さな妖精は、魔法の杖をふった。
小さな箱はみるみるうち大きくなっていく。
妖精の何十倍にも。
「触ってごらん?」
美しい女性の声がささやく。
青空のすっごくすっごく遠いどこからかささやく。
妖精の美しい手がその箱に触れた。
その瞬間光が散った。
きれいな放物線を描いて光は落ちていく。
どこまでも、どこまでも。
あれ?光はポッと消えてしまう。
そこに広がるのは闇。
真っ黒くて、何もかもを吸い込んでしまう闇…
「あああああああああああああああああああああ!!!!!ああああああああああぁ!!!」
妖精は、叫び狂う。
闇は妖精を吸い込もうとしている。
闇に入ったらでてこれない。
闇は妖精を飲み込み、もう妖精は見えなくなりそう。
すると、大空から大きな手がでてきた。
美しい手。
優しい手。
妖精を救い出す。
光が散った。
パァー!!!
箱が開き、光とともに妖精を吸い込む。
「おぎゃぁ!おぎゃぁ!」
産婦人科に赤ちゃんの泣き声は響く。
帝王切開により救われた命。
命、、、、、、、、。
あなたは、それでもおろしますか?