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第48話 グラーノフ奪還戦 1日目 特攻

 帝国軍。


 魔法梯団を率いるルシウスのもとに、伝令部隊が駆けつける。


「アルビオンの歩兵部隊3千が、突撃してきました! 歩兵部隊の隊長は、あのファビアンです。アルビオン王国軍の死地を何度も助け、敵国に楔を打ち込んだ、カカシの異名を持つあの男です」

「ほう、王国軍は気でも狂ったか」


 ルシウスは、魔法梯団に向き直る。そして、魔杖による一斉攻撃を命じた。


「あの愚かな部隊に、火炎魔法をぶちこんでやれ」


 魔法の閃光。矢の豪雨。ファタール率いる歩兵部隊が、赤い血飛沫を上げた。3千の隊列は赤黒い色になりながら、モルグ平野を進行する。


「馬鹿め」


 帝国歩兵軍を指揮するホーネッカーは、ファタールの部隊を見ながら、吐き捨てるように言った。眉間に皺を寄せた老将は、ファタール率いる歩兵部隊を睨むつける。


 が、ファタールの部隊は突如として、変形を始めた。その形は、徐々に錐のようになる。


 加速。


 前線に配備した熟練の戦士たちが、鋭い槍や斧で魔法部隊を叩き割る。


 ルシウス率いる魔法部隊は、混乱を始めた。彼らは、遠距離攻撃には高い力を誇るが、近距離戦では力を落とす部隊だ。本来であれば、敵軍の突撃が開始される前に、後方に控える中央の重装歩兵部隊と位置を交替し、迅速な陣形展開を行うのが定石である。しかし、急激なファタールの加速を読みきれなかった。魔法部隊に鋭い攻撃が入る。


「まずいぞ! 全軍、魔法部隊を守るのだ」


 ホーネッカーは、重装歩兵を前進させる。だが、ファタールの勢いは止まらない。なにより突撃を行ったのは、ファタールの精鋭である。普通の兵士よりは格段に訓練されており、戦慣れしているのだ。


 その中でも、異彩を放つものが1人。


 ドガーン


 魔法部隊の首が、宙を舞う。


 ファタールの副官、ドワーフの戦士・ガンニバル。戦斧をバサリバサリと振り回し、周囲の兵士を薙ぎ払っている。


「血湧き、肉踊るわい。のう、帝国軍の皆様よ」


 ルシウスが苦虫を噛み潰したように、全軍に指令を出す。


「防御魔法を展開し、できるだけ損壊を少なくするのだ! 数は我が軍の方が、圧倒的に多い。多少の奇策で覆すことはできない! 耐え忍ぶのだ!!」


 その言葉に冷静さを取り戻した魔法梯団は、守りに徹し始める。さらには、ホーネッカー率いる歩兵隊が、ファタールの前に立ちはだかり、援護を始める。


「若造、なかなか面白いことをやるな」


 ファタールに対し、遠方からホーネッカーが叫ぶ。その顔は、先ほどまでは打って変わり、武人としての笑みを携えていた。ファタールは、面倒くさそうに頭を掻く。


「全軍、あのじじいからやるぞ」

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