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第40話 戦争準備

 御前会議は終わり、軍部と要人たちのみが残り、戦争準備が開始された。


 カール帝国は最後通牒を突きつけてきたようだ。最後通牒には、アルビオン王国の軍隊が、カール帝国国境付近を奇襲攻撃したと明記されている。


 俺は、軍隊を統括している各部隊の隊長に尋ねる。


「アルビオン王国の軍が、カール帝国に攻めたという事実はあるか?」

「今のところ、そのような命令が出ていたことは確認されません」

捏造ねつぞうされたか……」


 おそらくカール帝国は、アルビオン王国に存在する内通者に、カール帝国を攻めさせたのだろう。自作自演の可能性が高い。


 この内通者は、宦官派である可能性は低い。ユスタキウス含めた宦官派は、軍事力を持たない。それに、裏切ったばかりの人間を信用するほど、相手は安易な人物ではないだろう。


 ユスタキウスの目的は、【宦官】という組織を残すことであった。つまり、アルビオン王国が滅亡することは望まないはずだ。だが残念ながら、カール帝国は、アルビオン王国を侵略しようとしている。国家総動員で戦争を仕掛けるということは、それくらいの覚悟があるということだし、それになにより……。


「カール帝国の大義名分は……」

「国民の解放でございます」


 ガレス将軍が俺に告げる。


 アルビオン王国の正規軍が戦争を仕掛けてきたから、戦争に応じた。大義名分であれば、これだけで充分だ。しかし、カール帝国の大義名分は『国民の解放』だ。


 この大義名分で、戦争を仕掛けたということは、カール帝国は戦争に勝利したあかつきに、王族・宦官の処刑を実行しようと考えているのだろう。アルビオン王国の国民は、不安定な経済のため、王族に不満を抱いている。その国民感情を利用しようとしているのだ。


「ユスタキウスも、単なる駒として使われたということか」


 俺はぽつりとつぶやいた。ロデリックとユスタキウスを欠いた、この絶望的な状況。これも彼らなりの演出の一つなのだろう。


 政治と財政が停止したこの局面で、俺ができることは、ただ一つ。


 自堕落に勝つこと。


「ガレス、勝ち筋が見えた。策を説明する」


 俺は地図を広げると、軍部に向けて、今回の戦争における策を説明した。



◇◆◇◆

 バルバロッサ。


 この港湾都市に、爆撃を受けながらも戦う革命家たちがいた。


 【黄金の天秤】である。


 カール帝国が攻めてきて、まだ半日しか経っていないが、被害は凄まじい。【黄金の天秤】の長であるナルニアは、部下を引き連れ、地下壕で策を考えていた。


「この地を失うことは、僕らにとって損益でしかない。お得意様であった宦官の情報を売ってまで、手に入れた都市だ。だけど、衛兵や市民は逃亡し、今、この都市にいるのは、物好きな連中と僕らくらいだ」

「ナルニア、俺たちは、リアム王子に捨て駒として使われたんじゃないか?」


 鎧を身に纏った、小太りの男が言う。ナルニアの腹心・トコナ。元マフィアで、裏社会のビジネスを牛耳っていた男。ナルニアに敗北して以来、彼の相談役として付き従っている。


「そうだろうね、トコナ」


 ナルニアは、タバコを吸う。煙が、狭い室内に充満する。煙に包まれながら、ナルニアはおぞましい笑みを浮かべ、言う。


「まぁでも、僕たち、強いからね」

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