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第24話 火遊び

 長旅から帰ってきたカインは、俺に宦官かんがん周辺について調べた財務調査表を手渡した。


 表に目を通すだけで、金が不自然にうごめいていることが分かる。しかし、ほとんどの場合は証拠すら残されていない。その金は一度、仮想通貨に変換されてから譲渡されている痕跡があった。


 しかし、この仮想通貨を運営している組織こそ、革命組織【黄金の天秤】だ。彼らは、国家に介入されない資金経路を裏社会で作ることで、不足した革命資金を集めているのだ。俺は【黄金の天秤】の党首であるナルニアにカインを接触させることで、通貨の購入履歴(りれき)から譲渡履歴、そして、ユーザの個人情報にいたるまで、仮想通貨に関する情報を手に入れたのだ。


 これで、ようやく1つ目の手が打てる。


「ありがとな、カイン」

「このくらい、どうってことはない。それよりも……」

「エリアスのことか、気にするな」


 心配そうな顔で、カインは俺を見る。


「あいつも危険な任務だが、大丈夫だ。頭なら、俺よりもあいつの方が良い。なにかあっても、上手く立ち回るはずさ」


 俺はそう言うと、次の準備に取り掛かった。



◇◆◇◆

 エリアスは、場末の飲み屋で、酒をあおりながら、頭を抱えていた。


「クソっ、あの王子。俺にばかり、面倒ごとをおひつけやがってぇ」


 グラスを机に叩きつける。エリアスはリアムに献身的である一方で、野心も人一倍強い人物であった。


 自身の頭脳を活かし、アルビオン王国の宰相になりたい。それが彼の夢だった。


 しかし、あのやる気のない王子のもとでは、その夢は叶うことはないだろう。


随分ずいぶんと、荒れておられるようですが……」


 エリアスが顔を上げる。心配そうな顔で、獅子の獣人が隣に座った。


「たしか、有名な料理人の……」

「ジュリアスって言います。覚えておいてくれると、うれしいな」


 そう言うと、爽やかなその獣人は、泡立つビールを木製のジャッキに注ぎ、豪快に飲んだ。軽い笑みを浮かべて、ジュリアスはエリアスの肩をたたく。エリアスも微笑を浮かべて、自己紹介をした。


「俺はエリアスって言う。リアム王子の文官をしているものだ」

「えぇ!? 名前も一文字違いだし、職場まで同じって…… 僕、宮廷料理人してるんですよ。もしかしたら、どこかで会っていたのかもしれませんね」

「はは、かもな」


 酔いが回り、あまりさえない頭で、エリアスはジュリアスと名乗る大男を見た。そのたてがみが、優しく揺れる。


「よければ、悩みお聞きしますよ」

「ありがとう、実は……」


 エリアスの相談。その相談を、宦官ジュリアスは、甘美な笑みを浮かべて、ゆっくりと聞いく。


 そして、


 ジュリアスが口を開く。


「よければ、手伝ってほしいことがあるのですが……」

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